異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
92 / 161
第六章 初めての 異世界旅行は エルフ村

第86話 ハクトさんちのドラゴンメイド

しおりを挟む
 リューナを雇うことになってから数日が経った。
  
 その間には、アオイに魔道具の感想や意見を言ったり、魔皇の城にある俺の部屋に、いくつか私物を運び込んだりした。

 それと、魔界旅行の準備をしようかと考えたのだが

「私がいますので、ハクト様が何か準備する必要はございません」

 とリューナに言われた。

 雇っているんだしそれでいいとは思うんだけど、全部まかせっきりっていうのは何だか落ち着かないな。
 ……やっぱり、誰かに上の立場から指示を出すのは苦手かも。

 魔皇の城に行き来している間、何人かの魔皇に会ったので、俺におすすめする旅行先が決まったのか確認してみた。

 アオイ、ホムラ、レイはどうやら決まったみたいだが、ハヤテがまだ悩んでいるみたいだ。

 ちなみにその四人は、結構な頻度でこのお城に来ていた。
 それぞれが理由いいわけを言っていたが、

「おう、リューナ! ハクトに雇われてからどうだ? 何か必要なもんとかあるか?」

「何か魔道具が必要になってはいないかい? ちょっとした調整とかでも大丈夫だから、いつでも相談して大丈夫だよ」

「リューナ、きちんとご飯は食べているかしら? そう? ならよかったわ」

 なんて、リュートがちゃんと俺のもとで働けているか心配みたいだった。
 ……まだ何日も経ってないし、そんなに仕事を頼んでいるわけでもないんだけど。

 ハヤテは、

「あ、ハクトとリューナだ~! 丁度よかったよ! 今、時間は大丈夫? 遊びたいボードゲームがあるんだ~」

 と遊びに誘いつつ、ゲーム中に雑談のような感じでリューナの様子を色々と聞いていた。

 ヒカリはともかく、メイも一度も見かけなかったな。
 ……そういえば、物語のアイディアがまとまったって前にソフィアから聞いたな。

 今は、それの作業に集中してるのかもしれないな。

 ちなみに、魔界旅行に関しては既に三人がおすすめを決めているので、随時ずいじ行けばと思うかもしれないが、
 
「全員のおすすめが決まったら、くじとかで順番を決めるからね!」

 なんてハヤテが主張したので、いまだに行けていない。
 ……リューナが心配なのはまあわかるけど、遊ぶより先にそっちを決めて欲しい。



 そんなこんなで、魔界旅行を楽しみにしつつ、今日は何をするか考えていた。

 ……そういえば、あれからアキナの方はどうしているんだろうか。
 気になる事が多いし、そろそろ連絡してみるか?

 とりあえず、魔皇たちと俺の試練について話し合った事と、時間がある時にアキナとも試練達成に向けて話し合いたい旨を送信しておいた。

 他には、何かあったっけな?
 ……あ、そういえばここ数日は魔界に行ってばかりだったから、ソフィアの所に行っていない。

 アキナからの返事が来たとして、流石に今日話し合おう! とはならないだろうし、……ならないよな?
 まあ、多分大丈夫だろうと思うので、ソフィアの手伝いに行くか。

 それと、ソフィアにリューナを会わせるっていうのもいいな。
 これから何度も会うことになるだろうし、顔合わせは早い方がいいよな。

 ……リューナとソフィア、この二人が会ったらどんな会話をするのだろうか。



 リューナに連絡をすると、少し準備をしたらこちらに来てくれるとのことで、教会前で待ち合わせることにした。
 
 ちょっと早めに巡礼者用の宿を出て教会前で待っていると、遠くから小さな人影がこちらに向かってきていた。
 
 ……あれは、メイだな。
 彼女もこちらに気づくと、こちらに近づいてきた。

「……おはよう、ハクト。……ハクトは、教会まで待ち合わせ?」

「メイ、おはよう。今日はリューナとソフィアを会わせようと思ってな。今それで待っているところなんだ」

「……そう。……私も、二人を会わせたいと思ってた。……私も、一緒に待っててもいい?」

「それはもちろん。……なんて言ってる間に来たみたいだな」



 合流したリューナとも挨拶を交わし、さっそく教会に入った。
 シスターたちに挨拶しつつ、いつものようにソフィアのいる部屋に向かい、ノックをして入室した。

「ハクトさん、メイさん、おはようございます。それと、そちらの方は?」

「おはよう、ソフィア。彼女はリューナって名前で……」

 まずはソフィアに、リューナがどういった人物か、俺がリューナを雇うことになった経緯を説明した。
 魔皇との関係についてや、彼女が信頼できる人物であることは、メイが証明してくれた。

「私はソフィアと言います。こちらの教会で巫女をしています。リューナさん、よろしくお願いします」

「ソフィア様。こちらこそ、よろしくお願いいたします。現在は、ハクト様の使用人として雇われております」

 とりあえず無難に自己紹介が終わったな、と思っていると

「ハクトさん、おめでとうございます。ついにメイドを雇われたのですね。魔皇全員からの信頼も厚いようですし、ハクトさんが騙されてメイドを雇った、というわけでもないようですので安心しました」

 なんて急にこちらに話題を振って来た。

「あ、あー。まあ、女性の使用人と言う意味ではそうと言えなくもない、かも?」

 ……確かに、部屋の掃除とかも任せてるし、否定はしない。
 メイド服を着てないから違う、なんて言いそうになったけど、それを言うと面倒なことになりそうだしな。

 それと、俺が騙されて雇う、なんて言ってたし、一緒にメイがいてくれてよかった。
 ……微妙に否定できないのがつらいところだ。

「リューナさんは龍人族りゅうじんぞくということですし、二つの意味で”ドラゴンメイド”ということなのですね」

 ……まあ、そうだな。

「あの、ソフィア様。その”ドラゴンメイド”というのは一体何なのでしょうか?」

 あ、リューナが食いついてしまった。

「ハクトさんの世界では、ドラゴンが女性になったり、一部ドラゴンの特徴がある女性の事をそう呼称することがあるそうです。”ドラゴンメイド”の”ドラゴン”とはドラゴンや龍、”メイド”はメイドという意味ですので、二つの意味で、ということになります」

「あー、まあ、一応そういった呼び名はあるけど、そんなに一般的ではないと思うぞ。確か、神話に出てきた、みたいな話もあったけど、それも曖昧あいまいみたいだったし」

 漫画とかそういった作品でたまに見られる、って感じだったと思う。

「なるほど。私の名前の元とである、ブリューナクと少し似ていますね。……これからは、ハクト様の”ドラゴンメイド”、リューナと申します、と名乗るのも良さそうですね。なんといいますか、特別感がありますので」

 ああ、リューナが気に入ってしまった。

 確かに言われてみれば、リューナの名前の由来になったブリューナクと近しいものがあるのか。

 けど、ドラゴンのメイドだからドラゴンメイドだ! っていうのは、それでいいんだろうか?
 うーむ、どうしたものか、と悩んでいたら

「……特別感は、大事。……私の名前も、特別」

 なんて、メイからも賛同の声が出た。

 ……これは、諦めるしかないか。



 ソフィアとリューナの顔合わせも終わったし、ソフィアの手伝いをしようかな。
 それと、ソフィアの漫画をリューナに読ませたらどうなるかな? なんて思っていると

「……ソフィア、これ。……前に見てもらいたいとお願いした、原稿」

 と、メイがソフィアに紙の束を渡していた。

「わかりました。後で確認させていただきますね」

 おそらくだけど、物語のプロットか何かかな?
 ……ちょっと気になるな。

「それ、もしかして新しい物語のあらすじとかなのか? もし大丈夫なら、俺も見てみたいかも」

「……完成するまでは、ハクトにはないしょ。……完成を、お楽しみに」

 うーむ。
 そう言われると余計に気になる。

 まあ、本人がないしょ、って言っているし、完成を楽しみに待っていよう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...