異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

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第六章 初めての 異世界旅行は エルフ村

第88話 問題発生()

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「そろそろお昼も近いですし、午前中の作業はここまでにしましょうか」

 作業が一区切りついたので一休みしようかな、なんて思っていると、ソフィアが時計を確認しつつそう言った。

 もうそんな時間だったか。
 作業自体が楽しいからか、時間が経つのが早いな。

「……ソフィア。……今日のお昼は、何にする?」

「そうですね。今日は特に暑いですし、何か涼し気なものにしましょうか」

 ……まあ、この部屋は魔道具のおかげでかなり涼しいけどな。

「それでしたら、私が何かお作りしましょうか? ……知識を得るためとはいえ、本日は読書しかしていませんので、皆さんのお役に立ちたいです」

 ……傍から見たら、三人で作業している中で一人だけ漫画を読んでいるって光景だったしな。
 もちろん言わないけど。

 なんて思っていると、リーンという音が鳴った。

「あ、俺のだ」

 朝、アキナに連絡したからその返事かな、と思いつつリンフォンを取り出すと、アキナからではあった。
 あったけど、通話の方になっていた。

 ……珍しいな、なんだろう?

 三人に断りつつ出ると、
 
「突然通話してすまないわね。今、時間は大丈夫かしら? あ、それと、今どこにいるの?」

 なんて突然聞いてきた。
 ……とりあえず、間違って通話モードにしたわけじゃないみたいだな。

「あー、えっと。今は教会にあるソフィアの部屋にいるよ。それと、作業が一区切りついたとこだから、時間も大丈夫かな」

「教会ね、わかったわ! それじゃ、今から行くわ!」

「え、あ、ちょ。……切れちゃった」

 ……どうしたんだろうか。
 まあ、焦っているという感じではなかったけど。

 うーん。
 とりあえず、ソフィアたちにアキナが来ることを伝えないとな。

「ソフィア。さっきの相手はアキナだったんだ。それで、理由は聞けなかったんだけど、今からここに来るみたいなんだ。アキナだし、大丈夫だよな?」

 なんだかんだで魔皇たちとリューナ以外は、ここに連れて来たことはなかったよな。
 けど、アキナにはソフィアも何度か会ってるし、大丈夫だよな。
 
「一つ、問題があります」

 あれ?
 もしかして、商売に漫画の知識を使う可能性があるから、とか?

 ……いや、そんなわけないよな。
 現にソフィアは、漫画から得た料理のレシピをあちこちに広めまくっているし。
 
「アキナさんは、既に昼食を済ませているのでしょうか? 料理を何人前作ればよいかわからないです」

 そっちかい!

「えーと。まず、アキナにここの漫画を読んでもらう、ってのは大丈夫なんだよな?」

「? アキナさんであれば、もちろん大丈夫ですが。……なるほど、そういうことですか。アキナさんが来てから作り始めればいい、ということですね。それで、料理を待っている間にアキナさんが手持ち無沙汰ぶさたにならないか、ということですね」

 ソフィアは、何で急にそんな話をしたのだろう、みたいな感じで答えた。
 そして一人で納得して、存在しないはずの答えにたどり着いたみたいだ。
 ……完全にお昼の事に思考が行っているな。

「あー、まあ、そういうことでいいや」

 まあ、あの様子だとすぐ来そうだしな。



 五分くらいしたところで、控えめな感じで扉がノックされた。

 ソフィアがそれに返事をすると、

「あー、えっと、アキナよ。……ハクトはいるかしら?」

 と、さっきの感じとは打って変わって、声も控えめな感じで声が返って来た。

 ソフィアは、俺がいることを伝えつつ、まずは入室してはどうか、と提案した。

「それじゃ、お邪魔するわね。……あ、他にも人がいたのね。メイは久しぶりね。それと、そちらの方は……」

 アキナから視線を向けられたリューナは、待ちかねたように自己紹介をした。

「初めまして。ハクト様の”ドラゴンメイド”をさせていただいております、リューナと申します」

「……へ? ハクト、様? それと、えっと、”どらご”? あ、私の名前はアキナよ」

 あー。
 やっぱりややこしくなっちゃった。
 アキナも困惑して、名前くらいしか言えてないな。

「えっと、詳しいことは後で話すけど、色々あって俺がリューナを雇うことになったんだ。それより、突然教会に来てどうしたんだ?」

「……ちょっと色々と聞きたいけど、まずはそっちが先よね。ハクトから試練の話を聞いて、まずはハクトと面識のある人たちを集めようかと考えたの。そしたら丁度、クレアが公務で別の国に出かけていてね。それで、帰ってきたら改めて、皆の予定を確認することにしたの」

 アキナもやっぱり、色々と動いてくれていたんだったな。

「そしたらね、今度はイズレが魔界旅行に行っちゃってたの。……イズレはいつも大体お店にいるし、何かに取り組んでいると全然返事が返ってこないのよね。だから、クレアが帰って来てからお店に行けばいい、なんて思っていたのが油断だったわ」

 ……確かに、イズレはそういうとこがありそうだ。
 何かに集中して取り組んでいると、それ以外がおろそかになってそうだからな。

 話の続きだが、イズレは今日の朝ようやく帰って来たみたいだ。
 あらかじめ、皆に一度集まりたいむねを伝えていたみたいだけど、誰かに急用が入ると大変だからとすぐに皆の予定を調整したみたいだ。

 それで、落ち着いたところで俺からの連絡を確認したら、俺の予定も大丈夫かが心配になったみたいだ。
 魔皇たちとの話し合いで、魔界に滞在たいざいするかもしれない、って感じで。

 本当は、皆と一度話し合いある程度意見をまとめ、それから俺も交えて話し合うって予定を考えていたみたいだけど、俺も一緒に呼ぶことにしたみたいだ。

 それで、早く俺の予定を確認しないと! と焦った結果が今に至る、ということみたいだ。

「なるほどな。まあでも、アオイから転移の魔道具を貰ったし、魔界から人間界に戻ろうと思えばいつでも戻れたから、その心配はしなくて大丈夫になったな」

「魔界から人間界への転移が可能な魔道具……。まあ、アオイから渡されたなら大丈夫ね」

「え? ……もしかして、これって結構やばいやつ?」

 軽い感じで渡されたからあんまり考えてなかったけど、そもそも転移の魔道具ってかなり高そうだよな。
 それと、いつもホムラとがが連れて行ってくれるから忘れがちだけど、魔界に行くのには許可が必要なんだった。
 ……本当に大丈夫だろうか。

「それでしたら、問題ないと思われます。ハクト様に雇われることになってからアオイさんに相談したのですが、私の転移を用いてハクト様を人間界と魔界間を移動する許可を正式に出していただいています。ただ、私では魔皇の皆さまと違って、一度の転移でそれを行えるのは自分の他にニ、三人が限界ですが」

 あ。
 ……本来であれば、雇い主である俺が色々と確認しなきゃいけなかったやつだ。
 それと、他にもリューナが裏で色々と動いてくれているかもしれないな。
 いやまあ、本人はそうするのが当たり前と思っているだろうけどさ。

 後で色々と確認しておかないと。
 でもまずは、とりあえずお礼を言っておかないとな。

「俺の代わりに確認してくれてありがとな、リューナ」

「いえ、これも私の役目ですので」

 予想通りの返事だったな。

「とりあえず、問題なさそうね。それで、そちらの、リューナさん、と呼んで大丈夫かしら? 彼女の紹介をしてもらってもいいかしら?」

「そうだよな。えっと、リューナ。どこまで話して大丈夫なんだ?」

「そうですね。……いえ、私自身が説明させていただきますね」

 と、前に俺に説明してくれたのと同じような内容をアキナに説明した。

「……という感じです。アキナ様、改めてよろしくお願いしますね」

「……ちょっと、衝撃の事実が多すぎて咀嚼そしゃくするのに時間が必要ね。それで、あなたとは是非とも仲良くなりたいって思えたし、リューナって呼ばせてもらってもいいかしら?」

「ええ、構いませんよ」

「それじゃリューナ、これからよろしくね! あ、そういえば、私の事について全然話してなかったわね。今井商会、って名前は多分知らないわよね。私はそこで……」

 そんな感じで、お互いの自己紹介が無事終わった。
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