異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
97 / 161
第六章 初めての 異世界旅行は エルフ村

第91話 俺、また何かやっちゃいました……(不本意)

しおりを挟む
 全員が揃い、クレアの方も作業? が終わったみたいなのでそれぞれが席に着いた。

 さて、改めて今日の参加者だが……。

 俺。
 教会の巫女(と天使)であるソフィア、その教会のシスターであるモニカ。
 今井商会の代表の娘で本人も商人であるアキナ。
 人形職人であるイズレの娘、ディニエル。
 魔道具職人のベイラ、有名な武具職人であるヴェイグルの娘でもあるな。
 祖父であるガレムのおもちゃ屋を手伝っていて、商品の開発とかもしているユズ。
 このお城の王女様であるクレア、とそのメイドであるメアリさん。
 それと、俺が雇っているリューナ。

 それと、ディニエルがエルフ、ベイラがドワーフ、リューナが魔族だな。
 
 うん、改めて考えると本当に色々な人たちが集まったな。

 本題に入る前にまずは、全員が軽く自己紹介することにした。

 今回はディニエルがいるから、俺も参加できるぞ!
 ……なんて思ったけど、ディニエルから

「問題ない。父から聞いた」

 と言われてしまった。
 ……まあ特に面白いことを言うわけでもないし、いいんだけどさ。

 各自が自分の事を話す中で、リューナがドラゴンの魔物から魔族になった、といった説明では皆驚いていたな。
 その中でも特にディニエルが反応していて、それがすごく気になった。

 声とかは発していないんだけど、その話を聞いた時は一瞬目を見開いていた感じだったし、その後は少し体が前のめりになっていた。
 ……彼女の琴線きんせんに触れる何かがあったのだろうか?
 後で聞いてみようかな。

 ちなみに、俺がリューナを雇うことになったという下りは、へー、くらいの感じで流された。

 それと、ディニエルの挨拶は、

「ディニエル。イズレの娘。よろしく」

 と、実にシンプルな感じだった。



 さて、全員の自己紹介も終わったし、次は……。
 ……あれ? 今日って、何のために集まったんだ?

 アキナが、俺から試練の話を聞いたから集めることにした、っとは言っていたけど、その目的は聞いてないな。
 ま、まあ、俺の試練が切っ掛けだし、それに関する話だろう。

「さて、それじゃあ今日は、わたしが進行役をさせてもらうわね。皆、前に話したハクトの試練については覚えているかしら?」

 アキナが皆に確認すると、皆は同意したり、うなずいたりしていた。
 ……アキナは、ちゃんと皆に伝えてくれたんだな。

 ただ、やっぱり一度は俺から伝えたいな。
 そう思い、アキナにお願いしてその時間を作ってもらった。

 俺がこの世界に残りたいと思った理由と、一方で元の世界に戻りたい理由とか、魔皇の城で話したのと同じような内容を話した。
 皆はそれに対して、まだまだ俺と色々できるのが嬉しい、みたいな感じで、好意的な反応を返してくれた。

「皆、ありがとうな。そう言ってくれて嬉しいよ」

 と、思わず感謝の言葉が出た。

「わたしも、こっちの世界にもいたいと思ってくれて嬉しいわ。もちろん、商会のことを除いてもよ! それで、そんなハクトには色々な手伝いが必要だと思って、今日は皆を集めたの。これも、前に連絡したから大丈夫だと思うけど」

 ああ、やっぱり俺の試練を手伝うために皆を集めてくれたんだな。
 やっぱり、アキナには感謝しないとな。

「というわけで最初の議題は、ハクトがこっちで生活する家についてよ!」

 ……あれ?

「ちょ、ちょっと待った! アキナ、俺の手伝いって、試練についてじゃないのか?」

「ええ、もちろんそれも後で話し合う予定よ。でもまずは、ハクトが今後生活していく上で必要な準備を手伝おうと思ったの。全く常識が異なる世界から来たんだもの、何をすればいいか分からないことが色々と出てくると思ってね。それに、そっちの方が試練に集中できるでしょ?」

 ……確かに、どこかの国に旅行するなら表面的な知識があればよさそうだけど、そこに定住するとなれば色々な知識が必要そうだし、手続きとかもしなくちゃだもんな。
 俺一人でそれをやるのは、ちょっと大変そうだ。

「……そうだな。それを手伝ってもらうのは助かるよ。けど、家ってどういうことだ? 確かに、今住んでいるところは出ていく必要があるけど、その後はしばらくアパートとかでも借りようかと思ってたんだけど」

 住む場所をどにかしないと、と思いつつ街を散策した時に、入居者募集中! と書かれた紙を見かけたので、この世界にもアパート、ないしそれに近い形態のものはあるみたいだからな。

 ……最悪、魔皇の城に用意してもらった部屋に住むってこともできるけど、なんというか居候いそうろうって感じがして落ち着かなそうだ。

「そうね。確かに、普通の人であればそれでいいかもしれないわ。けど、今のハクトはそうじゃないもの」

「いや、確かに俺の周りにはすごい人たちがいっぱいいるけど、俺自身の身分は一般庶民しょみんだよ」

 ……ちょっと口座にお金がいっぱいある気がするけど、それ以外には特に重要な立場で仕事をしてるとかはないしな。

 たまに誰かの手伝いをしているだけって現状は、フリーター的な感じだろう。
 今までは観光客的な感じでよかったけど、これからこっちの世界でも生活するなら仕事も探さないとだしな。

「……そう考えると、アキナの商会で雇ってもらいたくなるかもな」

「……どうしてそんな発言が出てきてのか不思議だけど、ちょっとそれは難しくなったわね。わたしとしても残念だけど」

 え?
 ……俺、何かやらかしちゃったんだろうか?
 
 というか、履歴書を出す前にお祈りメールが届いてしまった……。

「というか、ハクトが普通の人だって思っている人は、ここには一人もいないわよ。それに、アオイから聞いたわ。まだ正式には発表していないけど、魔界では異世界親善大使しんぜんたいしって肩書で活動するのよね? つまり、外交で一番偉い人ってことじゃない!」

「それは本当なのですわ? それなら、わたくしの国でもその肩書で活躍して欲しいのですわ! 国の公式な賓客ひんかくとして、正式に迎えるのですわー!」

 ……あれ?
 俺としては、芸能人とかがやってる、あの親善大使のつもりだったんだけど。
 そう言った人たちについて、国が公式に賓客扱いとかは、しないよな?

 ……まさか。

「えっと、聞きたいんだけど、親善大使って、この世界にある?」

「そういった呼び名は聞いたことがないけど、親善のための大使、つまり外交官ってことよね? それならもちろんあるわよ!」

 ……あ、これ、俺がやらかしちゃったパターンだ。

 そういえば、俺が異世界親善大使ってのはどうだ? って言った時に、魔皇の皆がちょっとびっくりしてのも、あっさりそれに決まったのも、そういうことだったからか。

 ……どうしよう。

「あー、えっとな。俺の世界で親善大使っていうのは……」

 と、とりあえず世間で有名な人が宣伝のために与えられる肩書、みたいな説明をした。



 その後、クレアをメインにして皆で話し合った。
 結果として、国が正式に保証する肩書として、異世界親善大使を名乗ることになった。

 ……偉い立場っていうのは落ち着かないけど、今後活動する上でやっぱりそう言った立場が必要だとクレアに力説された結果だ。

 それに、どこかの国の外交官、といった扱いではなく、異世界から来た、この世界で親善の為に活動する、国が身分を保証する人物、という扱いにしてくれるみたいだ。

 それなら、俺が何かやらかしても国に責任は問われにくいだろうし、誰かに任命されたわけじゃないからいつでも辞められそう、ということで納得することにした。

「さて、ハクトの肩書が正式に決まったことだし、元の議題に戻るわよ! ……というか、正式にそういった肩書を名乗るなら、ちゃんとした住まいは絶対に必要になるわよね」

 ……うん、まあそうなるよな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...