異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~

やとり

文字の大きさ
103 / 161
第六章 初めての 異世界旅行は エルフ村

第97話 みんなでお茶かい?

しおりを挟む
 結構似た部分があるから忘れがちだけど、やっぱり常識の違いがある、って事を再認識した。

 ……そして、リューナから、事前にお伝えすべきでした、大変申し訳ございません、と謝られてしまった。
 いや、異世界の常識なんて知る機会はほぼないだろうし、これは仕方ないと思う。

 それと、交通機関の話をしていて、ふと蒸気機関とかは異世界からは誰も伝えなかったのかな? なんて思ったけど、ベイラに聞くのはやめておいた。
 もしも知らなかった場合、確実にベイラの興味を引くだろうからな。

 それに、元いた世界では産業革命をもたらした要因だったはずだし、ソフィアに確認をした方がいいだろう。



 さて、気を取り直してし、さっそくエルフの村を観光しようか。

 なんて思っていたら、リーンという音が俺のリンフォンから鳴った。
 ……これから観光って時に、ちょっと不穏だ。

 誰からだろうと確認すると、まさかの神様からだった。
 ……このタイミングで神様からなんて、すごく見たくないんだけど。

 そう思いつつも、そう言っていられない内容かもしれないし、皆に断りつつ急いで確認してみることにした。

『観光に集中できないかもしれないから、伝えておこうかと思ってね。蒸気機関に関しては、誰かに伝えても問題ないよ。ただ、それを実現しようとすると大変な事になるだろうね。……もちろん、ハクト君が』

 俺かい!
 ……危ない、思わず声に出しそうだった。

 というか、神様は俺の様子を見ていたのね。
 ……なんでこのタイミングなんだろう?

 なんて思ったら、

『ハクト君がソフィアの近くにいなかったからね。気になって様子を伺ってみれば、エルフの村で観光をしているじゃないか。面白、ではなく、異世界から来た君がどんなことをするのか気になってね。せっかくなので観察させてもらった、というわけさ。ああ、もちろん、プライベートな部分まで見るつもりはないので、そこは安心してくれたまえ』

 と、どこか言い訳じみた感じの内容が帰って来た。
 ……まあ、いいけどさ。

 さて、本当に気を取り直して、観光をしていこう!
 まあ、行き先は全部ディニエルにお任せなんだけどな。



 というわけで、ディニエルの案内で次に向かったのは、

「お茶屋さん、だよな?」

 和風な感じのたたずまいをした、木造の建物だった。
 俺の言葉にディニエルが頷きつつ、

「東方から伝わった。かなり昔。おすすめ」

 と紹介してくれた。

「んじゃ、とりあえず店に入ろうぜ。会話はお茶を飲みながらでもできるしな」

 とのベイラの声に、全員でさっそく中に入ることにした。



 中もやっぱり和風な感じで、小上がりの畳になっていた。
 それじゃさっそく上がるかなと思い、靴を脱いで、横に備え付けてあった靴箱にしまった。

 そしてふと振り返ると、何故かディニエルが硬直していた。
 ……え、どうした?

「何故知ってる? 旅行の経験、無いと言った」

 ……あー。
 そういえば、前にアキナでもあったな。

「えっとな。この国の東方の文化と、俺が元居た国の文化が結構似通っているんだ。だから、ここでは靴を脱ぐんだろうなって思ってな。靴箱もあったし」

「納得。だけど不思議」

 本当にな。

「んじゃ、あたしも脱いて上がるか。……なんだか、変な感じだな」

「私も、初めて畳に上がった時は不思議な感覚がしました。ですが、この柔らかさに慣れてきますと、歩き心地が良く思えてきました」

「……言われてみれば、そうかもな。うん、こういうのも悪くはないな」

 確か、魔皇の城に和室があるって言っていたし、リューナはそこで体験したんだろうな。
 ……ハヤテとかが、よく寝っ転がってたりして。

 とりあえず皆で座布団に座り、さっそく注文することにした。

「お茶と和菓子。セットがおすすめ」

 というディニエルの言葉に、じゃあそれにしようかな、と思いつつメニューを見てみた。
 ……ん?

「なあ、ディニエル。お茶の名前が世界樹茶ってなってるけど、これってもしかして……」

「世界樹の若葉。乾燥したもの」

 ……流石は、世界樹のある村だな。

 結局、ディニエル以外はお茶と和菓子のセット。
 ディニエルは抹茶ぜんざいを頼んでいた。
 ……そんなのもあるのね。

 ちなみに、使われている抹茶も世界樹から作られているみたいだ。

 ディニエルが席にあるベルを鳴らすと、女性のエルフが注文を取りに来てくれた。
 それにしても、この村に来て多くのエルフを見たが、どのエルフも整った容姿をしていたな。
 もちろん、この店員さんもだ。

「あらディニエルちゃん、いらっしゃい。他の三人はお友達かい? あら、やっぱりそうなのね。それじゃ、ちょっとサービスしようかねぇ。あ、注文を聞かなくっちゃだったわ」

 ……喋り方が完全におばちゃんだった。
 見た目が若く見えるから、なんというか違和感がすごいな。

 というか、ディニエルはかなり常連って感じだな。
 もしかして、ここ出身だったりするのかな?

 注文が終わり、店員さんが離れたタイミングで、さっそく聞いてみることにした。

「なあ、ディニエル。もしかして出身がこの村だったりするのか? さっきの店員さんとも親し気だったし」

「出身は違う。月に一回来る。落ち着く」

 なるほど。
 それと、落ち着くって言うのは、俺もこの村に来て最初に思った。

 月に一回ってほどじゃないけど、定期的に通いたくなる気持ちはわかるな。
 そういった所も、有名な観光地になった理由なのかもな。

「こちらも質問。異世界に興味ある。特に服」

 ……洋服か。
 あんまりこだわりはなかったから、着心地がよかったり、見た目が気に入ったものを買ってるくらいなんだよな。

「あー。服に関しては、そんなに詳しくないんだ。こんな見た目の服がある、くらいなら説明できるんだけど」

「問題ない。魔道具で共有する」

 ……五感を共有する魔道具れいのやつか。

「えっと。それはいいんだけど、観光が終わった後でもいいか? 異世界についての質問も含めてな」

 これを使う時って、結構集中する必要があるからな。
 それに、短い時間じゃ終わらなさそうだ。

「わかった。楽しみ」

「私も、異世界に関して興味があります。先ほどのような失態をなくすため、ハクト様のいた世界の様々な事について知っておきたいです」

 ……リューナは、さっきのことをまだ気にしているみたいだな。
 というか、今回の旅行はリューナに丸投げだったし、俺ももう少し色々と聞いておくべきだったかもしれない。



 そんな感じで会話をしていると、注文した商品が運ばれてきた。

 お茶の色は、見慣れたものより少し青みがかってる、かな?

 さて、まずは一口と飲んでみると、あまり苦味や渋味は感じられず、それでいてコクと甘味があった。
 それに加え、強い旨味のようなものも感じた。

 口当たりもまろやかで、香りもすごくよかった。

 ……これは、今まで飲んだお茶の中で一番おいしいかもしれない。

 他の二人も驚いたようで、お茶を見つめたり、うまいな……、なんて思わず口にだしていた。

 さて、次は和菓子も食べてみるか。
 見た感じは、大福っぽいな。

 食べてみると、見た目通りの大福だった。

 味は甘さが控えめになっていて、お茶の苦味が少ない分そうしてるのかな? なんて思えた。

 それと確かめるべく、再度お茶を飲んでみると、大福の控えめな甘さがお茶の旨味を引き出し、さらにおいしかった。
 そうしてお茶と大福を交互に食べ進めていくうち、あっという間に無くなってしまった。

 その後、全員が食べ終わったタイミングで、サービスとして小盛のお茶漬けを持ってきてくれた。
 ……帰れ、って意味ではない、はずだ。

 こっちは、よりお茶の旨味が感じられたし、甘い物の後ということもあってか、よりおいしくいただけた気がするな。
 ごちそうさまでした。

 うん、連れてきてくれたディニエルには感謝だな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

処理中です...