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第六章 初めての 異世界旅行は エルフ村
第97話 みんなでお茶かい?
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結構似た部分があるから忘れがちだけど、やっぱり常識の違いがある、って事を再認識した。
……そして、リューナから、事前にお伝えすべきでした、大変申し訳ございません、と謝られてしまった。
いや、異世界の常識なんて知る機会はほぼないだろうし、これは仕方ないと思う。
それと、交通機関の話をしていて、ふと蒸気機関とかは異世界からは誰も伝えなかったのかな? なんて思ったけど、ベイラに聞くのはやめておいた。
もしも知らなかった場合、確実にベイラの興味を引くだろうからな。
それに、元いた世界では産業革命をもたらした要因だったはずだし、ソフィアに確認をした方がいいだろう。
◇
さて、気を取り直してし、さっそくエルフの村を観光しようか。
なんて思っていたら、リーンという音が俺のリンフォンから鳴った。
……これから観光って時に、ちょっと不穏だ。
誰からだろうと確認すると、まさかの神様からだった。
……このタイミングで神様からなんて、すごく見たくないんだけど。
そう思いつつも、そう言っていられない内容かもしれないし、皆に断りつつ急いで確認してみることにした。
『観光に集中できないかもしれないから、伝えておこうかと思ってね。蒸気機関に関しては、誰かに伝えても問題ないよ。ただ、それを実現しようとすると大変な事になるだろうね。……もちろん、ハクト君が』
俺かい!
……危ない、思わず声に出しそうだった。
というか、神様は俺の様子を見ていたのね。
……なんでこのタイミングなんだろう?
なんて思ったら、
『ハクト君がソフィアの近くにいなかったからね。気になって様子を伺ってみれば、エルフの村で観光をしているじゃないか。面白、ではなく、異世界から来た君がどんなことをするのか気になってね。せっかくなので観察させてもらった、というわけさ。ああ、もちろん、プライベートな部分まで見るつもりはないので、そこは安心してくれたまえ』
と、どこか言い訳じみた感じの内容が帰って来た。
……まあ、いいけどさ。
さて、本当に気を取り直して、観光をしていこう!
まあ、行き先は全部ディニエルにお任せなんだけどな。
◇
というわけで、ディニエルの案内で次に向かったのは、
「お茶屋さん、だよな?」
和風な感じの佇まいをした、木造の建物だった。
俺の言葉にディニエルが頷きつつ、
「東方から伝わった。かなり昔。おすすめ」
と紹介してくれた。
「んじゃ、とりあえず店に入ろうぜ。会話はお茶を飲みながらでもできるしな」
とのベイラの声に、全員でさっそく中に入ることにした。
◇
中もやっぱり和風な感じで、小上がりの畳になっていた。
それじゃさっそく上がるかなと思い、靴を脱いで、横に備え付けてあった靴箱にしまった。
そしてふと振り返ると、何故かディニエルが硬直していた。
……え、どうした?
「何故知ってる? 旅行の経験、無いと言った」
……あー。
そういえば、前にアキナでもあったな。
「えっとな。この国の東方の文化と、俺が元居た国の文化が結構似通っているんだ。だから、ここでは靴を脱ぐんだろうなって思ってな。靴箱もあったし」
「納得。だけど不思議」
本当にな。
「んじゃ、あたしも脱いて上がるか。……なんだか、変な感じだな」
「私も、初めて畳に上がった時は不思議な感覚がしました。ですが、この柔らかさに慣れてきますと、歩き心地が良く思えてきました」
「……言われてみれば、そうかもな。うん、こういうのも悪くはないな」
確か、魔皇の城に和室があるって言っていたし、リューナはそこで体験したんだろうな。
……ハヤテとかが、よく寝っ転がってたりして。
とりあえず皆で座布団に座り、さっそく注文することにした。
「お茶と和菓子。セットがおすすめ」
というディニエルの言葉に、じゃあそれにしようかな、と思いつつメニューを見てみた。
……ん?
「なあ、ディニエル。お茶の名前が世界樹茶ってなってるけど、これってもしかして……」
「世界樹の若葉。乾燥したもの」
……流石は、世界樹のある村だな。
結局、ディニエル以外はお茶と和菓子のセット。
ディニエルは抹茶ぜんざいを頼んでいた。
……そんなのもあるのね。
ちなみに、使われている抹茶も世界樹から作られているみたいだ。
ディニエルが席にあるベルを鳴らすと、女性のエルフが注文を取りに来てくれた。
それにしても、この村に来て多くのエルフを見たが、どのエルフも整った容姿をしていたな。
もちろん、この店員さんもだ。
「あらディニエルちゃん、いらっしゃい。他の三人はお友達かい? あら、やっぱりそうなのね。それじゃ、ちょっとサービスしようかねぇ。あ、注文を聞かなくっちゃだったわ」
……喋り方が完全におばちゃんだった。
見た目が若く見えるから、なんというか違和感がすごいな。
というか、ディニエルはかなり常連って感じだな。
もしかして、ここ出身だったりするのかな?
注文が終わり、店員さんが離れたタイミングで、さっそく聞いてみることにした。
「なあ、ディニエル。もしかして出身がこの村だったりするのか? さっきの店員さんとも親し気だったし」
「出身は違う。月に一回来る。落ち着く」
なるほど。
それと、落ち着くって言うのは、俺もこの村に来て最初に思った。
月に一回ってほどじゃないけど、定期的に通いたくなる気持ちはわかるな。
そういった所も、有名な観光地になった理由なのかもな。
「こちらも質問。異世界に興味ある。特に服」
……洋服か。
あんまりこだわりはなかったから、着心地がよかったり、見た目が気に入ったものを買ってるくらいなんだよな。
「あー。服に関しては、そんなに詳しくないんだ。こんな見た目の服がある、くらいなら説明できるんだけど」
「問題ない。魔道具で共有する」
……五感を共有する魔道具か。
「えっと。それはいいんだけど、観光が終わった後でもいいか? 異世界についての質問も含めてな」
これを使う時って、結構集中する必要があるからな。
それに、短い時間じゃ終わらなさそうだ。
「わかった。楽しみ」
「私も、異世界に関して興味があります。先ほどのような失態をなくすため、ハクト様のいた世界の様々な事について知っておきたいです」
……リューナは、さっきのことをまだ気にしているみたいだな。
というか、今回の旅行はリューナに丸投げだったし、俺ももう少し色々と聞いておくべきだったかもしれない。
◇
そんな感じで会話をしていると、注文した商品が運ばれてきた。
お茶の色は、見慣れたものより少し青みがかってる、かな?
さて、まずは一口と飲んでみると、あまり苦味や渋味は感じられず、それでいてコクと甘味があった。
それに加え、強い旨味のようなものも感じた。
口当たりもまろやかで、香りもすごくよかった。
……これは、今まで飲んだお茶の中で一番おいしいかもしれない。
他の二人も驚いたようで、お茶を見つめたり、うまいな……、なんて思わず口にだしていた。
さて、次は和菓子も食べてみるか。
見た感じは、大福っぽいな。
食べてみると、見た目通りの大福だった。
味は甘さが控えめになっていて、お茶の苦味が少ない分そうしてるのかな? なんて思えた。
それと確かめるべく、再度お茶を飲んでみると、大福の控えめな甘さがお茶の旨味を引き出し、さらにおいしかった。
そうしてお茶と大福を交互に食べ進めていくうち、あっという間に無くなってしまった。
その後、全員が食べ終わったタイミングで、サービスとして小盛のお茶漬けを持ってきてくれた。
……帰れ、って意味ではない、はずだ。
こっちは、よりお茶の旨味が感じられたし、甘い物の後ということもあってか、よりおいしくいただけた気がするな。
ごちそうさまでした。
うん、連れてきてくれたディニエルには感謝だな。
……そして、リューナから、事前にお伝えすべきでした、大変申し訳ございません、と謝られてしまった。
いや、異世界の常識なんて知る機会はほぼないだろうし、これは仕方ないと思う。
それと、交通機関の話をしていて、ふと蒸気機関とかは異世界からは誰も伝えなかったのかな? なんて思ったけど、ベイラに聞くのはやめておいた。
もしも知らなかった場合、確実にベイラの興味を引くだろうからな。
それに、元いた世界では産業革命をもたらした要因だったはずだし、ソフィアに確認をした方がいいだろう。
◇
さて、気を取り直してし、さっそくエルフの村を観光しようか。
なんて思っていたら、リーンという音が俺のリンフォンから鳴った。
……これから観光って時に、ちょっと不穏だ。
誰からだろうと確認すると、まさかの神様からだった。
……このタイミングで神様からなんて、すごく見たくないんだけど。
そう思いつつも、そう言っていられない内容かもしれないし、皆に断りつつ急いで確認してみることにした。
『観光に集中できないかもしれないから、伝えておこうかと思ってね。蒸気機関に関しては、誰かに伝えても問題ないよ。ただ、それを実現しようとすると大変な事になるだろうね。……もちろん、ハクト君が』
俺かい!
……危ない、思わず声に出しそうだった。
というか、神様は俺の様子を見ていたのね。
……なんでこのタイミングなんだろう?
なんて思ったら、
『ハクト君がソフィアの近くにいなかったからね。気になって様子を伺ってみれば、エルフの村で観光をしているじゃないか。面白、ではなく、異世界から来た君がどんなことをするのか気になってね。せっかくなので観察させてもらった、というわけさ。ああ、もちろん、プライベートな部分まで見るつもりはないので、そこは安心してくれたまえ』
と、どこか言い訳じみた感じの内容が帰って来た。
……まあ、いいけどさ。
さて、本当に気を取り直して、観光をしていこう!
まあ、行き先は全部ディニエルにお任せなんだけどな。
◇
というわけで、ディニエルの案内で次に向かったのは、
「お茶屋さん、だよな?」
和風な感じの佇まいをした、木造の建物だった。
俺の言葉にディニエルが頷きつつ、
「東方から伝わった。かなり昔。おすすめ」
と紹介してくれた。
「んじゃ、とりあえず店に入ろうぜ。会話はお茶を飲みながらでもできるしな」
とのベイラの声に、全員でさっそく中に入ることにした。
◇
中もやっぱり和風な感じで、小上がりの畳になっていた。
それじゃさっそく上がるかなと思い、靴を脱いで、横に備え付けてあった靴箱にしまった。
そしてふと振り返ると、何故かディニエルが硬直していた。
……え、どうした?
「何故知ってる? 旅行の経験、無いと言った」
……あー。
そういえば、前にアキナでもあったな。
「えっとな。この国の東方の文化と、俺が元居た国の文化が結構似通っているんだ。だから、ここでは靴を脱ぐんだろうなって思ってな。靴箱もあったし」
「納得。だけど不思議」
本当にな。
「んじゃ、あたしも脱いて上がるか。……なんだか、変な感じだな」
「私も、初めて畳に上がった時は不思議な感覚がしました。ですが、この柔らかさに慣れてきますと、歩き心地が良く思えてきました」
「……言われてみれば、そうかもな。うん、こういうのも悪くはないな」
確か、魔皇の城に和室があるって言っていたし、リューナはそこで体験したんだろうな。
……ハヤテとかが、よく寝っ転がってたりして。
とりあえず皆で座布団に座り、さっそく注文することにした。
「お茶と和菓子。セットがおすすめ」
というディニエルの言葉に、じゃあそれにしようかな、と思いつつメニューを見てみた。
……ん?
「なあ、ディニエル。お茶の名前が世界樹茶ってなってるけど、これってもしかして……」
「世界樹の若葉。乾燥したもの」
……流石は、世界樹のある村だな。
結局、ディニエル以外はお茶と和菓子のセット。
ディニエルは抹茶ぜんざいを頼んでいた。
……そんなのもあるのね。
ちなみに、使われている抹茶も世界樹から作られているみたいだ。
ディニエルが席にあるベルを鳴らすと、女性のエルフが注文を取りに来てくれた。
それにしても、この村に来て多くのエルフを見たが、どのエルフも整った容姿をしていたな。
もちろん、この店員さんもだ。
「あらディニエルちゃん、いらっしゃい。他の三人はお友達かい? あら、やっぱりそうなのね。それじゃ、ちょっとサービスしようかねぇ。あ、注文を聞かなくっちゃだったわ」
……喋り方が完全におばちゃんだった。
見た目が若く見えるから、なんというか違和感がすごいな。
というか、ディニエルはかなり常連って感じだな。
もしかして、ここ出身だったりするのかな?
注文が終わり、店員さんが離れたタイミングで、さっそく聞いてみることにした。
「なあ、ディニエル。もしかして出身がこの村だったりするのか? さっきの店員さんとも親し気だったし」
「出身は違う。月に一回来る。落ち着く」
なるほど。
それと、落ち着くって言うのは、俺もこの村に来て最初に思った。
月に一回ってほどじゃないけど、定期的に通いたくなる気持ちはわかるな。
そういった所も、有名な観光地になった理由なのかもな。
「こちらも質問。異世界に興味ある。特に服」
……洋服か。
あんまりこだわりはなかったから、着心地がよかったり、見た目が気に入ったものを買ってるくらいなんだよな。
「あー。服に関しては、そんなに詳しくないんだ。こんな見た目の服がある、くらいなら説明できるんだけど」
「問題ない。魔道具で共有する」
……五感を共有する魔道具か。
「えっと。それはいいんだけど、観光が終わった後でもいいか? 異世界についての質問も含めてな」
これを使う時って、結構集中する必要があるからな。
それに、短い時間じゃ終わらなさそうだ。
「わかった。楽しみ」
「私も、異世界に関して興味があります。先ほどのような失態をなくすため、ハクト様のいた世界の様々な事について知っておきたいです」
……リューナは、さっきのことをまだ気にしているみたいだな。
というか、今回の旅行はリューナに丸投げだったし、俺ももう少し色々と聞いておくべきだったかもしれない。
◇
そんな感じで会話をしていると、注文した商品が運ばれてきた。
お茶の色は、見慣れたものより少し青みがかってる、かな?
さて、まずは一口と飲んでみると、あまり苦味や渋味は感じられず、それでいてコクと甘味があった。
それに加え、強い旨味のようなものも感じた。
口当たりもまろやかで、香りもすごくよかった。
……これは、今まで飲んだお茶の中で一番おいしいかもしれない。
他の二人も驚いたようで、お茶を見つめたり、うまいな……、なんて思わず口にだしていた。
さて、次は和菓子も食べてみるか。
見た感じは、大福っぽいな。
食べてみると、見た目通りの大福だった。
味は甘さが控えめになっていて、お茶の苦味が少ない分そうしてるのかな? なんて思えた。
それと確かめるべく、再度お茶を飲んでみると、大福の控えめな甘さがお茶の旨味を引き出し、さらにおいしかった。
そうしてお茶と大福を交互に食べ進めていくうち、あっという間に無くなってしまった。
その後、全員が食べ終わったタイミングで、サービスとして小盛のお茶漬けを持ってきてくれた。
……帰れ、って意味ではない、はずだ。
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