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149話
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「随分と長いシャワーだったなぁ?一体何をしていたんだ?」
マズい……。絶対にアルトさんにバレている……。
「別に。ただハルの体を念入りに洗っていただけだ。」
シャワーから戻ってもなお、私をお姫様抱っこしているガルムさんは平然とそう言った。
「ほう……。なら、なぜそんなにもハルにお前の匂いがべったりとついているんだ?ん?」
眉間にシワをよせ、笑っているが、その顔が逆に怖い。これ以上どう言い訳をするべきかガルムさんが言い淀む。
「それはだな……。」
「わ、私が悪いんです……!」
「ハル……?」
私が会話の間に割り込んだことで、アルトさんが少し驚く。私としては、ガルムさんではなく私に非があるように思っているため、弁明をかわりに始める。
「私が、その……ガルムさんに入れてくれるよう、ねだっただったので……ガルムさんは悪くありません。」
「……じゃあ、ハルは代わりに何をしてくれるんだい?」
「えと、その……。な、なんでも一つ願いを叶えます……!私にできる範囲で、ですが……。」
自分で言っておいてなんとも子供らしいと思い、言葉が尻すぼみになる。それでもアルトさんは予想に反して良いことでも聞いたと言うように笑っていた。
「なっ……!?ハル、それは……!」
「ほう……、ではそうしよう。何でもハルが願いを一つ叶えてくれる。それで手を打とう。」
「はい、でも、私のできる範囲ですからね……!」
「フッ、分かっている。」
何故か横でガルムさんが頭を抱えているが、まぁアルトさんの怒りは収まったみたいで安心だ。その証拠にアルトさんは私を抱きしめてベッドに横になっている。私は二人の温もりを感じながら眠りについた。
♢♢♢♢♢♢♢♢
うっ……、なんだか体が重い気がする……。
「ハル、起きたのかい?おはよう。」
「おはようございます、アルトさん。」
挨拶を交わし、起きたアルトさんが頭を撫でてくれる。その手の感触に安心する。すると、後ろからガルムさんに抱きしめられる。
「おはよう、ハル。腰の具合はどうだ?」
「大丈夫ですよ。」
「ん?ハル、体が熱くないか?」
なんだろう?ガルムさんもアルトさんも心配そうな顔をしている……。別にこれくらい、大丈夫なのに。
そうしてスッとアルトさんが私の額に手を当てる。
「なっ……!?熱い……!待っていてくれ、すぐに風邪薬と氷嚢を持ってくる。」
「ハル、大丈夫か?辛くないか?取り敢えず、汗を拭うついでに着替えてしまおうか。」
ガルムさんはそう言って、タンスから新たな着替えとタオルを取り出し、タオルを濡らしてから私の元へと戻ってきた。
「ハル、バスローブを脱がすぞ。」
夜の時とは違い、サッと私を脱がせていく。そして、露わになった肌に絞ったタオルを添わせていく。そのタオルがひんやりとしていて気持ちが良い。それが終わり、新しい服に着替えさせてもらう。丁度その時、アルトさんが色々手に持って戻ってきた。
「ハル、色々持って来たぞ。」
アルトさんは私を優しく抱き起こし、水を飲ませてくれる。喉を通る水がやけに冷たく感じたため、やはり私は風邪を引いたのだろう。
「ハル、飯は食べられそうか?」
「はい。でも、普通の食事で大丈夫ですよ。」
「いや、もうシータに粥を作ってもらっている。」
そうなのか、迷惑かけちゃったな……。
そう思っていると、ガルムさんが額に氷嚢を乗せて話しかけてくる。
「では、それを食べたら医者に診てもらおう。俺達が付き添おう。」
「だ、ダメですよ。流石に何日も休んでもらうのは、申し訳ないです。それに、これくらい寝てれば治りますから。」
「依頼なんて後でどうにでもなる。」
「俺の仕事だって単調なものだから、職員に任せておいても大丈夫だ。」
私はこんなよくある風邪にお二人の邪魔はしたくなかったため、どうにか考えを巡らす。そこで思いついたのがこれだった。
「では、お二人が今日の依頼と仕事が終わって帰ってきて、それでも治ってなかったら医者に連れて行ってくれますか?」
「「……分かった。」」
お二人は渋々といった感じで返事をした。その後、シータさんが粥を持ってきてくれたため、それをお二人が途中で交代しながら私に食べさせてくれた。
「じゃあ俺達は行くが、何かあったらウォルトやシータに言うんだぞ。」
「早めに帰ってくるからな。」
アルトさんとガルムさんは私の頭を撫でてそう言った。その背後からひょこっとレオさんとウィルさんが顔を出す。
「お大事にね。」
「ゆっくり休むんすよ。」
「はい。お二人とも、ガルムさんをお願いしますね。」
「あはは……。まぁ、やりすぎないようには見とくよ。」
レオさんは苦笑いをしながらそう言った。そして、とても心配そうな顔をして残ろうとするガルムさんとアルトさんをレオさんとウィルさんが引っ張っていった。私はそれに手を振って見送った後、ベッドに横になり眠りについた。
マズい……。絶対にアルトさんにバレている……。
「別に。ただハルの体を念入りに洗っていただけだ。」
シャワーから戻ってもなお、私をお姫様抱っこしているガルムさんは平然とそう言った。
「ほう……。なら、なぜそんなにもハルにお前の匂いがべったりとついているんだ?ん?」
眉間にシワをよせ、笑っているが、その顔が逆に怖い。これ以上どう言い訳をするべきかガルムさんが言い淀む。
「それはだな……。」
「わ、私が悪いんです……!」
「ハル……?」
私が会話の間に割り込んだことで、アルトさんが少し驚く。私としては、ガルムさんではなく私に非があるように思っているため、弁明をかわりに始める。
「私が、その……ガルムさんに入れてくれるよう、ねだっただったので……ガルムさんは悪くありません。」
「……じゃあ、ハルは代わりに何をしてくれるんだい?」
「えと、その……。な、なんでも一つ願いを叶えます……!私にできる範囲で、ですが……。」
自分で言っておいてなんとも子供らしいと思い、言葉が尻すぼみになる。それでもアルトさんは予想に反して良いことでも聞いたと言うように笑っていた。
「なっ……!?ハル、それは……!」
「ほう……、ではそうしよう。何でもハルが願いを一つ叶えてくれる。それで手を打とう。」
「はい、でも、私のできる範囲ですからね……!」
「フッ、分かっている。」
何故か横でガルムさんが頭を抱えているが、まぁアルトさんの怒りは収まったみたいで安心だ。その証拠にアルトさんは私を抱きしめてベッドに横になっている。私は二人の温もりを感じながら眠りについた。
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うっ……、なんだか体が重い気がする……。
「ハル、起きたのかい?おはよう。」
「おはようございます、アルトさん。」
挨拶を交わし、起きたアルトさんが頭を撫でてくれる。その手の感触に安心する。すると、後ろからガルムさんに抱きしめられる。
「おはよう、ハル。腰の具合はどうだ?」
「大丈夫ですよ。」
「ん?ハル、体が熱くないか?」
なんだろう?ガルムさんもアルトさんも心配そうな顔をしている……。別にこれくらい、大丈夫なのに。
そうしてスッとアルトさんが私の額に手を当てる。
「なっ……!?熱い……!待っていてくれ、すぐに風邪薬と氷嚢を持ってくる。」
「ハル、大丈夫か?辛くないか?取り敢えず、汗を拭うついでに着替えてしまおうか。」
ガルムさんはそう言って、タンスから新たな着替えとタオルを取り出し、タオルを濡らしてから私の元へと戻ってきた。
「ハル、バスローブを脱がすぞ。」
夜の時とは違い、サッと私を脱がせていく。そして、露わになった肌に絞ったタオルを添わせていく。そのタオルがひんやりとしていて気持ちが良い。それが終わり、新しい服に着替えさせてもらう。丁度その時、アルトさんが色々手に持って戻ってきた。
「ハル、色々持って来たぞ。」
アルトさんは私を優しく抱き起こし、水を飲ませてくれる。喉を通る水がやけに冷たく感じたため、やはり私は風邪を引いたのだろう。
「ハル、飯は食べられそうか?」
「はい。でも、普通の食事で大丈夫ですよ。」
「いや、もうシータに粥を作ってもらっている。」
そうなのか、迷惑かけちゃったな……。
そう思っていると、ガルムさんが額に氷嚢を乗せて話しかけてくる。
「では、それを食べたら医者に診てもらおう。俺達が付き添おう。」
「だ、ダメですよ。流石に何日も休んでもらうのは、申し訳ないです。それに、これくらい寝てれば治りますから。」
「依頼なんて後でどうにでもなる。」
「俺の仕事だって単調なものだから、職員に任せておいても大丈夫だ。」
私はこんなよくある風邪にお二人の邪魔はしたくなかったため、どうにか考えを巡らす。そこで思いついたのがこれだった。
「では、お二人が今日の依頼と仕事が終わって帰ってきて、それでも治ってなかったら医者に連れて行ってくれますか?」
「「……分かった。」」
お二人は渋々といった感じで返事をした。その後、シータさんが粥を持ってきてくれたため、それをお二人が途中で交代しながら私に食べさせてくれた。
「じゃあ俺達は行くが、何かあったらウォルトやシータに言うんだぞ。」
「早めに帰ってくるからな。」
アルトさんとガルムさんは私の頭を撫でてそう言った。その背後からひょこっとレオさんとウィルさんが顔を出す。
「お大事にね。」
「ゆっくり休むんすよ。」
「はい。お二人とも、ガルムさんをお願いしますね。」
「あはは……。まぁ、やりすぎないようには見とくよ。」
レオさんは苦笑いをしながらそう言った。そして、とても心配そうな顔をして残ろうとするガルムさんとアルトさんをレオさんとウィルさんが引っ張っていった。私はそれに手を振って見送った後、ベッドに横になり眠りについた。
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