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166話
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今日は昨日のようにギルドで働かせてもらえるため、今はアルトさんとギルドに向かっている最中だ。ギルドの前に降りると、アルトさんは私を降ろしてから手を差し出してくれるため、その手を繋ぐ。そして扉をくぐるとまたもや好奇の目で見られるが、アルトさんはコソコソと聞こえる声にご満悦のようだ。職員の控えに向かうといち早く気付いたホルンさんが出迎えてくれる。
「おはよう、ギルドマスター。おっ!今日もハル君と一緒か。よろしくな。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
アルトさんに手を引かれ机へ向かう道中で通りがかった職員から同じように挨拶され、アルトさんと共に返していた。席へと座ると羊の半獣人のジルさんがやってきた。
「あの~、ギルドマスター。ギルドマスターの番に受付をしてもらいたい、という声が多くてですね……、」
「却下だ。」
まだジルさんが話している途中なのに、アルトさんはそう切り捨てた。そんなスッパリ言って良いものかとジルさんの方を見ると、まるで答えが分かっていたかのような顔をしていた。
「ですよねー……。丁度今日、休みの子が出て受付が一つ空いてしまったのでよければ……という感じだったんですが、ダメですよね……。」
「そうだな、ダメだな。」
「あの、人が足りていないのなら、私はやってみたい、かもです……。」
私はアルトさんがダメだという理由が分からなかったこともあるが、シンプルに今後再開したいと思っている冒険者業のために、冒険者さん達を色々と知りたいためそう言った。すると、アルトさんは考えるような素振りを見せる。
「ふむ……、ハルがやりたいのか……。なら、こうしよう。ハルの隣に俺がつく。それでいいか?」
「え?ギルドマスターの仕事はどうするんですか?」
当然の疑問だ。私が聞く前にジルさんがアルトさんに質問する。
「それはもちろん、ハルが受付をしている隣でやるさ。」
「う~ん……。まぁ、ギルドマスターがそれでいいならいいんじゃないですか?番が心配な気持ちも分かりますし。」
「決まりだな。」
そうしてアルトさんが隣で仕事をすることになったので、てっきり二つ椅子を並べるのかと思っていた。だが、ふたを開けてみれば何故か昨日の仕事始めのようにアルトさんの膝の上に乗せられていた。何人か対応した後、思い切って聞いてみた。
「あの……、なんで私はアルトさんの膝の上にいるんですか……?」
「ん?それは他のヤツが安易にハルに手を出せないようにするためだが?」
「そんな~。そこは信じてくださいよ、ギルドマスター。」
そうこぼしているのは目の前の冒険者だ。こうやって親しげに話しかけてくるあたり、やはりギルドマスターは顔が知られているうえに冒険者との関係性も良さそうだ。そんなアルトさんは肩をすくませ口を開く。
「さて、どうだか。」
「えー……。でも、それにしても番さん可愛いですね~!」
「そうだろう、だからって手は出させんぞ?そら、さっさと依頼に行ってこい。早くしないと日が暮れてしまうぞ?」
「はいはい……。じゃあ、番さんも受付頑張ってくださいね!」
その冒険者さんは手を振って受付から離れていく。私は一応それに、手を振リ返しておいた。その時に今までの人が全員、私に話しかけてきたことで、気付いたことがある。
きっと冒険者さんの皆さんが私に受付に立って欲しかったのは、私がアルトさんの番としてふさわしいのか見るためだろう。
それならばと私はより一層気を引き締めて受付の業務に当たろうと決意した。ひとまずは最初の印象が肝心だからと精一杯の笑顔を作ることから始めたのだった。
「おはよう、ギルドマスター。おっ!今日もハル君と一緒か。よろしくな。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
アルトさんに手を引かれ机へ向かう道中で通りがかった職員から同じように挨拶され、アルトさんと共に返していた。席へと座ると羊の半獣人のジルさんがやってきた。
「あの~、ギルドマスター。ギルドマスターの番に受付をしてもらいたい、という声が多くてですね……、」
「却下だ。」
まだジルさんが話している途中なのに、アルトさんはそう切り捨てた。そんなスッパリ言って良いものかとジルさんの方を見ると、まるで答えが分かっていたかのような顔をしていた。
「ですよねー……。丁度今日、休みの子が出て受付が一つ空いてしまったのでよければ……という感じだったんですが、ダメですよね……。」
「そうだな、ダメだな。」
「あの、人が足りていないのなら、私はやってみたい、かもです……。」
私はアルトさんがダメだという理由が分からなかったこともあるが、シンプルに今後再開したいと思っている冒険者業のために、冒険者さん達を色々と知りたいためそう言った。すると、アルトさんは考えるような素振りを見せる。
「ふむ……、ハルがやりたいのか……。なら、こうしよう。ハルの隣に俺がつく。それでいいか?」
「え?ギルドマスターの仕事はどうするんですか?」
当然の疑問だ。私が聞く前にジルさんがアルトさんに質問する。
「それはもちろん、ハルが受付をしている隣でやるさ。」
「う~ん……。まぁ、ギルドマスターがそれでいいならいいんじゃないですか?番が心配な気持ちも分かりますし。」
「決まりだな。」
そうしてアルトさんが隣で仕事をすることになったので、てっきり二つ椅子を並べるのかと思っていた。だが、ふたを開けてみれば何故か昨日の仕事始めのようにアルトさんの膝の上に乗せられていた。何人か対応した後、思い切って聞いてみた。
「あの……、なんで私はアルトさんの膝の上にいるんですか……?」
「ん?それは他のヤツが安易にハルに手を出せないようにするためだが?」
「そんな~。そこは信じてくださいよ、ギルドマスター。」
そうこぼしているのは目の前の冒険者だ。こうやって親しげに話しかけてくるあたり、やはりギルドマスターは顔が知られているうえに冒険者との関係性も良さそうだ。そんなアルトさんは肩をすくませ口を開く。
「さて、どうだか。」
「えー……。でも、それにしても番さん可愛いですね~!」
「そうだろう、だからって手は出させんぞ?そら、さっさと依頼に行ってこい。早くしないと日が暮れてしまうぞ?」
「はいはい……。じゃあ、番さんも受付頑張ってくださいね!」
その冒険者さんは手を振って受付から離れていく。私は一応それに、手を振リ返しておいた。その時に今までの人が全員、私に話しかけてきたことで、気付いたことがある。
きっと冒険者さんの皆さんが私に受付に立って欲しかったのは、私がアルトさんの番としてふさわしいのか見るためだろう。
それならばと私はより一層気を引き締めて受付の業務に当たろうと決意した。ひとまずは最初の印象が肝心だからと精一杯の笑顔を作ることから始めたのだった。
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