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116話 ガルム視点
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さて、一旦依頼も一段落ついたしそろそろ昼にするか。丁度、熊の蔵の近くだからハルのことも見れるし、そこへ食べにいくとしよう。
「レオ、ウィル。今日の昼は熊の蔵で食べよう。丁度近くだしな。」
「「はぁ……。」」
「なぜ二人して溜息をつく。」
俺の提案に何故か盛大な溜息をついた二人に疑問をぶつける。今日は午前中に依頼が急に入ったことで、ハルに弁当を断っていて手持ちは干し肉しかないから熊の蔵での食事の方が二人だっていいはずだ。
「なぜってそれは、絶対ハル君に会いたいがために言っている気がするからだよ……。」
「そうっす。ホント、ガルムさんってハル君にゾッコンすよね~。」
「別にいいだろ。あんなに可愛いのに放っておけるわけがない。それに、恋人とできるだけ一緒にいたいのはあたりまえだろ。」
「はいはい、分かったから。じゃあ早く行こう。」
こいつらの反応には少々不服だが、ハルに会えるのなら別に大したことではない。あの可愛らしいエプロン姿で微笑む姿を思えば、自然と足取りが軽くなるというもの。あっという間に目的地までついた。
扉を開けると、ある違和感を感じる。その違和感の正体にはすぐに気づいた。
ハルが、いない……!?
なぜいないのか頭を回していると、扉を開けた時にこちらに気づいたサリアが急いで寄ってきていた。何か事情があるのかもしれないが、こちらも聞きたいことを聞いた。
「おい、ハルはどうした!」
「ガルムさん……!それが、探し物があるって言ってちょっと前に出ていってね。ついていこうとしたけど、ガルムさんが来たときに事情を知る人がいないとと思って残ってたんだよ……。とにかく、心配だから追ってくれないかい?」
「言われなくとも……!どこに行ったか分かるか?」
「私もよく分からないんだよ。でもきっと近くにいるはずだよ。」
「分かった。レオ、ウィル。お前たちも手伝ってくれ。俺は上から探す。」
「「分かった」っす」
その言葉を聞いて、俺はすぐに出ていった。そして、そのまま屋根まで飛んで辺りを見回す。隅々まで見て気づいたが所々に白の鎧が目に入る。
騎士か。妙に胸騒ぎがする……。
すると、先の方で長い髪を揺らしながら走っている人物を見つけた。間違いない、ハルだ。
俺は急いでハルの行く先へと上から回り込み、地面に降り立つ。ハルは周りを見ながら走っており、こちらには気づかずぶつかってしまいそうだったため、勢いを殺して優しく抱きしめる。こんな状況なのにハルに触れられる事がたまらなく嬉しい。
「っ……、ごめんなさい!」
「ハル、俺だ。」
「っガルムさん……!?」
俺が声をかけるとすぐに顔を上げてくれたが、その顔は悲しみに包まれてしまった。俺はなぜそんな顔をしているのか、それが探し物と関係があるのか気になったが、聞いてもいいのか分からず固まってしまった。
「すみません、ガルムさん……!ガルムさんからもらった髪紐を落としてしまって……。」
なんだ、髪紐か……。そんな高価でもないもの、いくらでも買ってあげるっていうのに。そんなに大事にしてくれるなんて、ハルは優しいな。
「なんだ、探し物は髪紐か。そんなもの、いくらでも買ってあげるさ。そんなに必死になって探す物でもない。今からでも買いに行こう。なに、替えはいくらでもあるさ。」
「違うんです……!あれじゃなきゃダメなんです!……私、探しに行きます!」
「お、おい、待ってくれ……!」
その瞬間ハルが俺の腕から逃れ、走り出す。咄嗟に腕を伸ばし、その細い手首を掴む。
「っ!?」
な、なぜだ。なぜそんなに悲しい顔をしている。
俺は出会ってからあんなに悲しげなハルの顔を見たことがない。気づけば手の力が緩み、ハルが俺の手を振り払って走っていってしまった。
は、ハル……、なんで……。
「……い!……、ぉい!、おい!ガルム、しっかりしろ!」
いつまでそうして突っ立っていたのだろう。俺は気づけばレオに肩を持たれ、揺さぶられていた。ハッとしてレオの顔を見ると、俺は睨まれていた。
「なぜあんな言い方をしたんだい!?あれじゃハル君が傷つくに決まっているだろ……!……いいかい、ハル君がなくしたものはガルムが贈った髪紐なんだろう?」
「あ、あぁ。」
「あれはハル君にとって、初めてのプレゼントなんだ!"初めて"だよ、十数年生きてきた子がだ。しかも、アレをきっかけに生きることに前向きになってくれた。それを替えが利くなんて冗談でも言うんじゃない!」
そうか、ハルがあんな顔をしていたのはそういうことなのか……。クソッ……!俺はなんてことをしたんだ……!
「……レオ、俺の背中を叩いてくれ。ハルを追いかける。」
「ったく、世話が焼けるリーダーだな。……行って来い!」
バンッと背中に衝撃を感じ、それと同時にハルが駆けてった方向へと走り出す。
ハル、どうか俺にもう一度チャンスをくれ。二度とあんな思いはさせないと誓うから。お願いだ、待っていてくれ……!
「レオ、ウィル。今日の昼は熊の蔵で食べよう。丁度近くだしな。」
「「はぁ……。」」
「なぜ二人して溜息をつく。」
俺の提案に何故か盛大な溜息をついた二人に疑問をぶつける。今日は午前中に依頼が急に入ったことで、ハルに弁当を断っていて手持ちは干し肉しかないから熊の蔵での食事の方が二人だっていいはずだ。
「なぜってそれは、絶対ハル君に会いたいがために言っている気がするからだよ……。」
「そうっす。ホント、ガルムさんってハル君にゾッコンすよね~。」
「別にいいだろ。あんなに可愛いのに放っておけるわけがない。それに、恋人とできるだけ一緒にいたいのはあたりまえだろ。」
「はいはい、分かったから。じゃあ早く行こう。」
こいつらの反応には少々不服だが、ハルに会えるのなら別に大したことではない。あの可愛らしいエプロン姿で微笑む姿を思えば、自然と足取りが軽くなるというもの。あっという間に目的地までついた。
扉を開けると、ある違和感を感じる。その違和感の正体にはすぐに気づいた。
ハルが、いない……!?
なぜいないのか頭を回していると、扉を開けた時にこちらに気づいたサリアが急いで寄ってきていた。何か事情があるのかもしれないが、こちらも聞きたいことを聞いた。
「おい、ハルはどうした!」
「ガルムさん……!それが、探し物があるって言ってちょっと前に出ていってね。ついていこうとしたけど、ガルムさんが来たときに事情を知る人がいないとと思って残ってたんだよ……。とにかく、心配だから追ってくれないかい?」
「言われなくとも……!どこに行ったか分かるか?」
「私もよく分からないんだよ。でもきっと近くにいるはずだよ。」
「分かった。レオ、ウィル。お前たちも手伝ってくれ。俺は上から探す。」
「「分かった」っす」
その言葉を聞いて、俺はすぐに出ていった。そして、そのまま屋根まで飛んで辺りを見回す。隅々まで見て気づいたが所々に白の鎧が目に入る。
騎士か。妙に胸騒ぎがする……。
すると、先の方で長い髪を揺らしながら走っている人物を見つけた。間違いない、ハルだ。
俺は急いでハルの行く先へと上から回り込み、地面に降り立つ。ハルは周りを見ながら走っており、こちらには気づかずぶつかってしまいそうだったため、勢いを殺して優しく抱きしめる。こんな状況なのにハルに触れられる事がたまらなく嬉しい。
「っ……、ごめんなさい!」
「ハル、俺だ。」
「っガルムさん……!?」
俺が声をかけるとすぐに顔を上げてくれたが、その顔は悲しみに包まれてしまった。俺はなぜそんな顔をしているのか、それが探し物と関係があるのか気になったが、聞いてもいいのか分からず固まってしまった。
「すみません、ガルムさん……!ガルムさんからもらった髪紐を落としてしまって……。」
なんだ、髪紐か……。そんな高価でもないもの、いくらでも買ってあげるっていうのに。そんなに大事にしてくれるなんて、ハルは優しいな。
「なんだ、探し物は髪紐か。そんなもの、いくらでも買ってあげるさ。そんなに必死になって探す物でもない。今からでも買いに行こう。なに、替えはいくらでもあるさ。」
「違うんです……!あれじゃなきゃダメなんです!……私、探しに行きます!」
「お、おい、待ってくれ……!」
その瞬間ハルが俺の腕から逃れ、走り出す。咄嗟に腕を伸ばし、その細い手首を掴む。
「っ!?」
な、なぜだ。なぜそんなに悲しい顔をしている。
俺は出会ってからあんなに悲しげなハルの顔を見たことがない。気づけば手の力が緩み、ハルが俺の手を振り払って走っていってしまった。
は、ハル……、なんで……。
「……い!……、ぉい!、おい!ガルム、しっかりしろ!」
いつまでそうして突っ立っていたのだろう。俺は気づけばレオに肩を持たれ、揺さぶられていた。ハッとしてレオの顔を見ると、俺は睨まれていた。
「なぜあんな言い方をしたんだい!?あれじゃハル君が傷つくに決まっているだろ……!……いいかい、ハル君がなくしたものはガルムが贈った髪紐なんだろう?」
「あ、あぁ。」
「あれはハル君にとって、初めてのプレゼントなんだ!"初めて"だよ、十数年生きてきた子がだ。しかも、アレをきっかけに生きることに前向きになってくれた。それを替えが利くなんて冗談でも言うんじゃない!」
そうか、ハルがあんな顔をしていたのはそういうことなのか……。クソッ……!俺はなんてことをしたんだ……!
「……レオ、俺の背中を叩いてくれ。ハルを追いかける。」
「ったく、世話が焼けるリーダーだな。……行って来い!」
バンッと背中に衝撃を感じ、それと同時にハルが駆けてった方向へと走り出す。
ハル、どうか俺にもう一度チャンスをくれ。二度とあんな思いはさせないと誓うから。お願いだ、待っていてくれ……!
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