37 / 121
第三十七話 決意(2)
しおりを挟む
鏡に映る自分は、もう自分じゃないみたいだった。それは見た目だけじゃなくて、初めて夢を持って、誰かのために何かをしたいと思ったからかもしれない。いつも生気の無い、虚な瞳をしていたはずが、髪を切って化粧をしてもらっただけで、そして、初めて好きになれた人の悩みや、頑張ろうとしている姿を見て、鏡に映る私は見たことの無い、輝いた瞳をしていた。
私も自分を変えてくれた、この人のために何かをしたい。
悩んだり暗い過去を持っている人を、少しでも前向きな気持ちにしてあげたい。救われたような今の気持ちを、誰か悩んでいる人にも伝えたい。
「私、美容師になりたいです。こんなに自分が変われるなんて、誰かをこんなに充実した気分に出来るなんて凄いです!まるで魔法でもかけられたみたいに、鏡を見てるだけで嬉しくて。今まで辛いことが沢山あって、何のために生きているんだろうって、良く考えていたんです。いじめられないように、理由もなく勉強してきました。どうせ社会に出ても嫌な人が沢山いて、嫌な思いをするためだけに産まれてきたのかなって。誰も信じれなくて、誰とも仲良くしたくなくて。でも……」
「うんうん」
彼女は、ただ優しく頷いて聞いてくれた。それが嬉しくて、こんな気持ちになるのが自分でも不思議だった。
「本当は誰かとデートとかしてみたいんです」
「ふふ、そうよね」
「お洒落だって興味が無いふりをして、強がって内心馬鹿にしたりしてたけど、羨ましかった……」
「うんうん、これから沢山出来るわよ」
「私も、誰かを変えてあげたいんです。変われるよって伝えてあげたいんです。本当に辛かったから……」
「その気持ち分かるわよ。やっぱり優しいのよ、あなたは」
「私が……、この店を……」
「ふふ、ゆっくりで大丈夫よ。今日は他に予約のお客様入れてないから。今まで辛かったのね、もう泣かないで大丈夫よ」
「……はい」
私が美容師になって、この店を守ります。だから、安心して彼を探しに行ってください。そう言いたかったのに、思いが溢れるように流れて、自分が何を言っているのかも分からないまま、気付いたら涙が止まらなかった。こうして優しく頭を撫でてくれる彼女が、お母さんだったら良かったのに……
「あなたを紹介した男の子がね、『変わってほしいと思っている女子を紹介するので、カットしてあげてもらえませんか?』って、言ってたのよ。あれは下心とかも無かったわ。きっと、今のあなたのように考えていたのでしょうね」
今なら、その気持ちも分かる気がしていた。でも、彼が美容師になりたいと言うなら、止めた方がいいと彼女は言っていたから、私も止められると思っていたのに。彼女はただ、優しく話を聞いてくれていた。
私も自分を変えてくれた、この人のために何かをしたい。
悩んだり暗い過去を持っている人を、少しでも前向きな気持ちにしてあげたい。救われたような今の気持ちを、誰か悩んでいる人にも伝えたい。
「私、美容師になりたいです。こんなに自分が変われるなんて、誰かをこんなに充実した気分に出来るなんて凄いです!まるで魔法でもかけられたみたいに、鏡を見てるだけで嬉しくて。今まで辛いことが沢山あって、何のために生きているんだろうって、良く考えていたんです。いじめられないように、理由もなく勉強してきました。どうせ社会に出ても嫌な人が沢山いて、嫌な思いをするためだけに産まれてきたのかなって。誰も信じれなくて、誰とも仲良くしたくなくて。でも……」
「うんうん」
彼女は、ただ優しく頷いて聞いてくれた。それが嬉しくて、こんな気持ちになるのが自分でも不思議だった。
「本当は誰かとデートとかしてみたいんです」
「ふふ、そうよね」
「お洒落だって興味が無いふりをして、強がって内心馬鹿にしたりしてたけど、羨ましかった……」
「うんうん、これから沢山出来るわよ」
「私も、誰かを変えてあげたいんです。変われるよって伝えてあげたいんです。本当に辛かったから……」
「その気持ち分かるわよ。やっぱり優しいのよ、あなたは」
「私が……、この店を……」
「ふふ、ゆっくりで大丈夫よ。今日は他に予約のお客様入れてないから。今まで辛かったのね、もう泣かないで大丈夫よ」
「……はい」
私が美容師になって、この店を守ります。だから、安心して彼を探しに行ってください。そう言いたかったのに、思いが溢れるように流れて、自分が何を言っているのかも分からないまま、気付いたら涙が止まらなかった。こうして優しく頭を撫でてくれる彼女が、お母さんだったら良かったのに……
「あなたを紹介した男の子がね、『変わってほしいと思っている女子を紹介するので、カットしてあげてもらえませんか?』って、言ってたのよ。あれは下心とかも無かったわ。きっと、今のあなたのように考えていたのでしょうね」
今なら、その気持ちも分かる気がしていた。でも、彼が美容師になりたいと言うなら、止めた方がいいと彼女は言っていたから、私も止められると思っていたのに。彼女はただ、優しく話を聞いてくれていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる