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第七十三話 傷物(12)
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「……ごめんね、でも私はもう」
「嫌だ!お姉ちゃんが居なくなるなら私も死ぬ!」
「もう!まだ子供のくせに生意気言わないでよ!私は本当に辛いの!」
後輩は抱きしめらたまま、お互いに両手を上下に振って、必死に駄々をこね合う二人を見守っていた。
「もう子供じゃないもん!お姉ちゃんこそ、先生の言うこと聞けないの子供じゃん!」
「うっさい!もう私は終わりなの!彼氏にも捨てられて、店長にも嫌われて!こんな自分を傷付けるような女に、美容師が務まる訳無いんだよ!」
「でも私は切ってもらったもん!」
「あんたが泣いてたからでしょ!どうせ今日だって、つまらない理由で家出したんでしょ!」
少女の動きが止まって、反射的に後輩の体にも力が入っていた。後輩は震える手で、ぎゅっと私の袖を掴んでいた。
「ちょっと、言い過ぎでしょ!」
私も間に入るのが遅くなってしまったと、慌てて言葉を吐き出すが、それと被せるように少女は大声で泣き出してしまった。
「あー!お姉ちゃんが!お姉ちゃんがー!」
「ごめんね、このお姉ちゃん、ちょっと怒っちゃってて。こっちにおいで、お姉ちゃんが仲直りしたいって」
「そんなこと言ってません!」
「ねえ、よく聞いてね」
大声で泣きながら抱き付くようにしがみ付いてきた少女と、口を尖らせて真っ赤な目から涙を流す後輩の頭を撫でた。
「何も聞きたくありません、もう良いんです。私なんか……」
私はゆっくり首を横に振って、思っていることを少しずつ言葉に変えていった。
「嫌だ!お姉ちゃんが居なくなるなら私も死ぬ!」
「もう!まだ子供のくせに生意気言わないでよ!私は本当に辛いの!」
後輩は抱きしめらたまま、お互いに両手を上下に振って、必死に駄々をこね合う二人を見守っていた。
「もう子供じゃないもん!お姉ちゃんこそ、先生の言うこと聞けないの子供じゃん!」
「うっさい!もう私は終わりなの!彼氏にも捨てられて、店長にも嫌われて!こんな自分を傷付けるような女に、美容師が務まる訳無いんだよ!」
「でも私は切ってもらったもん!」
「あんたが泣いてたからでしょ!どうせ今日だって、つまらない理由で家出したんでしょ!」
少女の動きが止まって、反射的に後輩の体にも力が入っていた。後輩は震える手で、ぎゅっと私の袖を掴んでいた。
「ちょっと、言い過ぎでしょ!」
私も間に入るのが遅くなってしまったと、慌てて言葉を吐き出すが、それと被せるように少女は大声で泣き出してしまった。
「あー!お姉ちゃんが!お姉ちゃんがー!」
「ごめんね、このお姉ちゃん、ちょっと怒っちゃってて。こっちにおいで、お姉ちゃんが仲直りしたいって」
「そんなこと言ってません!」
「ねえ、よく聞いてね」
大声で泣きながら抱き付くようにしがみ付いてきた少女と、口を尖らせて真っ赤な目から涙を流す後輩の頭を撫でた。
「何も聞きたくありません、もう良いんです。私なんか……」
私はゆっくり首を横に振って、思っていることを少しずつ言葉に変えていった。
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