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第八十三話 傷物(22)
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「すみません、初対面なのに玄関先でのんびり話してしまって。しかも、こんな時間に」
「ううん、大丈夫だよ。あの子の友達に会える日を楽しみにしていたからね」
高さが腰まである下駄箱の上にある、お洒落なアンティーク調の置き時計が午前四時を指していた。
「これは、お爺様ですか?素敵な写真……」
後輩が私の目線に気付いて、時計の横に飾ってある写真に見入っていた。結婚式だろう、綺麗な薔薇のように赤いドレスに幸せそうな笑顔が輝いていた。隣に立っている灰色のタキシードを着こなす男性は少し恥ずかしそうに俯いて微笑んでいた。
「……ああ、そうだよ。もう何十年も前だけど、昨日のことのように覚えているよ」
「素敵なドレスですね」
「それは彼女がデザインしたんだよ、色々とデザインするのが好きだったな。僕はいつも振り回されていたけれど、楽しかったな……」
少し辛そうに微笑む彼に出来た一際深い皺が、全てを語っていた気がした。
「ううん、大丈夫だよ。あの子の友達に会える日を楽しみにしていたからね」
高さが腰まである下駄箱の上にある、お洒落なアンティーク調の置き時計が午前四時を指していた。
「これは、お爺様ですか?素敵な写真……」
後輩が私の目線に気付いて、時計の横に飾ってある写真に見入っていた。結婚式だろう、綺麗な薔薇のように赤いドレスに幸せそうな笑顔が輝いていた。隣に立っている灰色のタキシードを着こなす男性は少し恥ずかしそうに俯いて微笑んでいた。
「……ああ、そうだよ。もう何十年も前だけど、昨日のことのように覚えているよ」
「素敵なドレスですね」
「それは彼女がデザインしたんだよ、色々とデザインするのが好きだったな。僕はいつも振り回されていたけれど、楽しかったな……」
少し辛そうに微笑む彼に出来た一際深い皺が、全てを語っていた気がした。
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