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第九十六話 霞んだ桜色(4)
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「振られたのに随分幸せそうじゃない?」
「な!そんなこと無いですよ!もう傷心し過ぎて何も喉を通りませんよ!」
ぐうっと可愛げの無い音が彼女のお腹から容赦なく響いて、小さい顔がもっと赤くなっていった。
「ちょ!何ですか、その顔は!今のは違いますからね!その、あれです!あれなんです!」
「あれって何よ?」
「あれはあれです!」
目線を泳がせて必死に言い訳を考える様子がおかしくて、酔ってもいないのに意地悪したくなってしまった。
「ふーん。それで、私のほっぺにキスしてたってのは本当なの?」
「え!そ、それは、そのですね!」
左右の目が別々に動き出しそうなくらい動揺し始めた、もう一押ししてみよう。
「そのとき私さ、意識あったんだよね」
「本当ですか!な、いや、絶対嘘です!嘘ですよね?聞いちゃいました?」
「うん」
ゆっくりと口が開いていって、みるみる顔から血が引いていった。それは演技出来るようなレベルでは無かった。
「……え、嘘ですよね?その、本当ごめんなさい」
「っぷ、あはは!全然、嘘を見破れてないじゃん!」
「あー!嘘だったんですか!ひどい!最低です!嘘付き!」
「あんたに言われたくないわよ!それで、謝るくらいのことを何か言ってくれた訳?キスした後に?」
「何も言ってないですし!キスなんてしてません!」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないです!」
「もう私には隠しごとしないって約束したよね?」
「うー、嘘付きました……。ごめんなさい」
「ふふ、変なの。謝るなんて、何を言ったの?」
「絶対に教えません!もう!嘘付き店長なんて置いて、私も手伝ってきます!」
「あ、逃げるんだ?」
「逃げてません!良いですか、反省しておいて下さいよ!」
「ふふ、はいはい」
肩を揺らしながら足早に去っていく彼女を、差し込む柔らかい日差しと一緒に優しく見つめていた。
「な!そんなこと無いですよ!もう傷心し過ぎて何も喉を通りませんよ!」
ぐうっと可愛げの無い音が彼女のお腹から容赦なく響いて、小さい顔がもっと赤くなっていった。
「ちょ!何ですか、その顔は!今のは違いますからね!その、あれです!あれなんです!」
「あれって何よ?」
「あれはあれです!」
目線を泳がせて必死に言い訳を考える様子がおかしくて、酔ってもいないのに意地悪したくなってしまった。
「ふーん。それで、私のほっぺにキスしてたってのは本当なの?」
「え!そ、それは、そのですね!」
左右の目が別々に動き出しそうなくらい動揺し始めた、もう一押ししてみよう。
「そのとき私さ、意識あったんだよね」
「本当ですか!な、いや、絶対嘘です!嘘ですよね?聞いちゃいました?」
「うん」
ゆっくりと口が開いていって、みるみる顔から血が引いていった。それは演技出来るようなレベルでは無かった。
「……え、嘘ですよね?その、本当ごめんなさい」
「っぷ、あはは!全然、嘘を見破れてないじゃん!」
「あー!嘘だったんですか!ひどい!最低です!嘘付き!」
「あんたに言われたくないわよ!それで、謝るくらいのことを何か言ってくれた訳?キスした後に?」
「何も言ってないですし!キスなんてしてません!」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないです!」
「もう私には隠しごとしないって約束したよね?」
「うー、嘘付きました……。ごめんなさい」
「ふふ、変なの。謝るなんて、何を言ったの?」
「絶対に教えません!もう!嘘付き店長なんて置いて、私も手伝ってきます!」
「あ、逃げるんだ?」
「逃げてません!良いですか、反省しておいて下さいよ!」
「ふふ、はいはい」
肩を揺らしながら足早に去っていく彼女を、差し込む柔らかい日差しと一緒に優しく見つめていた。
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