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第九十七話 霞んだ桜色(5)
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「店長ー?」
「ん……」
「あれ?寝ちゃってましたか?」
「あれ、私……」
「ふふ、お昼にしましょう。お爺様すごい料理上手なんですよ」
「あ、そのまま上体を起こすだけで大丈夫だよ、今テーブルを起こすから」
ぼんやりとする意識の中で、お爺さんは慣れた手付きでベッドに備え付いていたらしい、サイドテーブルを立ち上げた。
「すみません、寝ちゃってたみたいで……」
「ううん、大丈夫だよ。今の君は休むのが仕事なんだ、気を使ってしまうかもしれないけどね」
彼は優しく穏やかな口調で私の目を見ながら、サイドテーブルに持っていたお皿を置いた。
「うわあ、美味しそう……」
ホテルで使われていそうな高級そうな真っ白な皿は、細く金色に縁取られていて、それに負けないくらいに輝いて見えたのは綺麗な楕円形のオムライスだった。
「これは、あんたが描いたの?」
ふっくらと見るからに美味しそうな黄色い卵の布団の上には、ケチャップで大きくハートが描かれていた。大き過ぎてオムライスから飛び出て皿全体をキャンパスにしているくらいだった。
「ん……」
「あれ?寝ちゃってましたか?」
「あれ、私……」
「ふふ、お昼にしましょう。お爺様すごい料理上手なんですよ」
「あ、そのまま上体を起こすだけで大丈夫だよ、今テーブルを起こすから」
ぼんやりとする意識の中で、お爺さんは慣れた手付きでベッドに備え付いていたらしい、サイドテーブルを立ち上げた。
「すみません、寝ちゃってたみたいで……」
「ううん、大丈夫だよ。今の君は休むのが仕事なんだ、気を使ってしまうかもしれないけどね」
彼は優しく穏やかな口調で私の目を見ながら、サイドテーブルに持っていたお皿を置いた。
「うわあ、美味しそう……」
ホテルで使われていそうな高級そうな真っ白な皿は、細く金色に縁取られていて、それに負けないくらいに輝いて見えたのは綺麗な楕円形のオムライスだった。
「これは、あんたが描いたの?」
ふっくらと見るからに美味しそうな黄色い卵の布団の上には、ケチャップで大きくハートが描かれていた。大き過ぎてオムライスから飛び出て皿全体をキャンパスにしているくらいだった。
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