118 / 121
第百十八話 霞んだ桜色(26)
しおりを挟む
「ううん、謝らないでおくれ」
目を閉じてゆっくり首を横に振ってから、目を細めて窓から何かを探しているようだった。
「あ、あの子……」
丸まった背中を引きずりながら、少女は夕日が沈んでいくキノコ公園へと歩いて行くようだった。包帯の巻かれた手で涙を拭きながら。
「どうしよう……」
罪悪感というより、その小さな背中から悲しみが滲み出ているようで、居ても立っても居られない気持ちに飲まれていった。
「僕もずっと考えているんだよ、どうしたら良いのかって。あの子は母親を未だに探しているみたいなんだ。あの公園が出来たら結婚式をするって、娘は決めていたんだけどね……」
「そんな……」
キノコ公園が出来たのは最近だった。少女のお母さんはどうして亡くなってしまったのだろう、お父さんよりお爺さんに懐いているみたいだけど、こんだけの怪我をして父親が心配して来ないのも不思議だった。
「僕はね、あの公園が大嫌いなんだよ」
目を閉じてゆっくり首を横に振ってから、目を細めて窓から何かを探しているようだった。
「あ、あの子……」
丸まった背中を引きずりながら、少女は夕日が沈んでいくキノコ公園へと歩いて行くようだった。包帯の巻かれた手で涙を拭きながら。
「どうしよう……」
罪悪感というより、その小さな背中から悲しみが滲み出ているようで、居ても立っても居られない気持ちに飲まれていった。
「僕もずっと考えているんだよ、どうしたら良いのかって。あの子は母親を未だに探しているみたいなんだ。あの公園が出来たら結婚式をするって、娘は決めていたんだけどね……」
「そんな……」
キノコ公園が出来たのは最近だった。少女のお母さんはどうして亡くなってしまったのだろう、お父さんよりお爺さんに懐いているみたいだけど、こんだけの怪我をして父親が心配して来ないのも不思議だった。
「僕はね、あの公園が大嫌いなんだよ」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる