扇屋の梟

音羽夏生

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扇屋 ※

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(放っておいてくれていいのに…)

 心の底からそう思うけれど、脱力した膝を割られ壁際に追い詰められると、もう逃げ場はない。
 梟の体に初めて触れた椿の手にも口にも、この三年間で慣らされすぎている。これが梟の体を案じての行為と知っているから、積極的に抵抗する気にもなれなかった。
 椿は、梟の羞恥と困惑の象徴を慰めることはしても、梟の体を使って自分の快楽を得ようとしたことは一度もない。慣れと信頼、そして諦めが、いつまでたっても認めることは難しい欲望を、解放者へと委ねさせた。
 彼の言う通り、性の衝動に冒涜を犯したような罪悪感を感じる必要など、梟にはない。それは三年前に失った。

「……ふっ、ぅん」

 先端を咥られ、喉の奥まで迎え入れられ、かと思うと熱い舌に巻きつかれる。
 双珠をやわやわと揉み込まれ、弱い場所を思うさま嬲られて、知らず腰が弾んだ。まったく熱を溜めていなかったそこが、瞬く間に育っていく。
 心とは裏腹の体の反応から目を背けるように、梟は懸命に唇を引き結んだ。

「んんっ……くぅ」

 蕩けるような口腔と巧みな舌づかいに、久しぶりの愛撫に、堪える間もなく椿の口に放ってしまう。
 澄んだ青灰色の瞳が快楽にとろりと潤む。両足の間に割り込んだ椿の肩へ、縋るように添えられていた両手が、だらりと両脇に垂れた。
 力を失った梟を丁寧に舌で清め、乱した着衣を整えてやると、顔を上げた椿は「ごちそうさま」と片目を瞑った。
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