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「アレは今頃、優雅にお茶会か?」
書類の山を追加してきた宰相を見上げた。
「天気もいいですから、外でされているのでは?」
窓の外をチラリと見遣りながら、どうでもよさそうに応えてきた。
「確か、長らく外に出していた子供も招いての茶会と言っていたが…!」
突然、雨雲もないのに雷が地響きをたてて落ちた。
「何事だ?何処に落ちたか至急調べよ」
窓の外は、相変わらず長閑な昼下がりだが、東の方角から煙が上がってきている。
「かしこまりました」
「ん~自殺願望がないなら、動いたらダメだよ」
急に扉の前に現れた隼人に静止させられた。
「精霊絡みということですか?」
「まぁー間違いではないよ。国を滅ぼしたくないなら、静観しておくことだね」
緊張感のカケラもなく扉に寄り掛かって、馬鹿にした様に笑ってる。
「隼人、もう少し解りやすく説明して欲しいのだが?」
「だから、不干渉にしないと危ないんだよ。一応君は僕の加護対象だからね」
「つまり、もっと上が関与してるのか」
嘆息して、椅子にドサっと座り直した。
目の前に居る中位精霊より上と考えると、胃が痛くなってきた。
「雷は精霊の怒りをかった結果だということか」
「正確とも言い難いかな」
苦笑して、不意に宙を見上げた。
「失礼する」
幼子を抱えた青年が現れた。
青年を見て顔が思いっきり引きつるのを自覚しながら、血の気も若干引いてきた気がした。自分の記憶が正しければ、精霊王の1人のはずだ。
「この国の王で、カイル・スベルツェルです。初めておめにかかります」
跪き頭を下げた。
「礼は不要だ。突然の来訪で迷惑をかける。隼人、説明は任せる」
宙に魔法で椅子を作り腰掛け、自分の眷属に丸投げしてきた。
「僕まだ消えたくないのですが?」
イヤそうに顔を歪めて「丸投げはやめて下さい」とばかりに見遣る。
「あの場に居合わせたのだから諦めよ。この子は、セイ・グラント、ミンスファ領の領主。そなたの弟の子だ」
次いでとばかりに、抱き上げている子を示して紹介してきた上「悪いがこちらで預かってくれ」と全く悪いと思っていない一言をよこしてきた。
「ミンスファというと、最近急成長していると聴きますが?誰か代理で管理しているのでしょうか?」
報告書で何度か名が上がり、最近管理職の登用された者の中にも出身者が多数いる。宰相の疑問も当然だが、よくこの状況で気づいたな。半ば呆れながら感心していた。
「領主が治めるているが?まぁ、子供と侮る者もいる様だがな」
どこか誇らしげに応える精霊に、逆に驚かされた。
「セイ殿は、あなた方に愛され慈しまれる者ではないのですか?」
「最も我等に愛され保護されている。何しろ我等が育てた子ゆえ当然だろう」
何を馬鹿な問いをするとばかりに、呆れた様に応えてきた。
だが、それはこちらの常識に反する。第一、弟はいったい自分の子をどうしていたのだ。普通に考えたら親が今まで気づかないのは異常過ぎる。外に子ができたと報告はあった。また、その子の母親が代理人を雇って領主になっていたはずだ。
「色々と報告漏れに、行き違いがありそうですね」
黒い微笑みを浮かべる宰相に、これから絞め上げられる弟が目に浮かびそうだ。
書類の山を追加してきた宰相を見上げた。
「天気もいいですから、外でされているのでは?」
窓の外をチラリと見遣りながら、どうでもよさそうに応えてきた。
「確か、長らく外に出していた子供も招いての茶会と言っていたが…!」
突然、雨雲もないのに雷が地響きをたてて落ちた。
「何事だ?何処に落ちたか至急調べよ」
窓の外は、相変わらず長閑な昼下がりだが、東の方角から煙が上がってきている。
「かしこまりました」
「ん~自殺願望がないなら、動いたらダメだよ」
急に扉の前に現れた隼人に静止させられた。
「精霊絡みということですか?」
「まぁー間違いではないよ。国を滅ぼしたくないなら、静観しておくことだね」
緊張感のカケラもなく扉に寄り掛かって、馬鹿にした様に笑ってる。
「隼人、もう少し解りやすく説明して欲しいのだが?」
「だから、不干渉にしないと危ないんだよ。一応君は僕の加護対象だからね」
「つまり、もっと上が関与してるのか」
嘆息して、椅子にドサっと座り直した。
目の前に居る中位精霊より上と考えると、胃が痛くなってきた。
「雷は精霊の怒りをかった結果だということか」
「正確とも言い難いかな」
苦笑して、不意に宙を見上げた。
「失礼する」
幼子を抱えた青年が現れた。
青年を見て顔が思いっきり引きつるのを自覚しながら、血の気も若干引いてきた気がした。自分の記憶が正しければ、精霊王の1人のはずだ。
「この国の王で、カイル・スベルツェルです。初めておめにかかります」
跪き頭を下げた。
「礼は不要だ。突然の来訪で迷惑をかける。隼人、説明は任せる」
宙に魔法で椅子を作り腰掛け、自分の眷属に丸投げしてきた。
「僕まだ消えたくないのですが?」
イヤそうに顔を歪めて「丸投げはやめて下さい」とばかりに見遣る。
「あの場に居合わせたのだから諦めよ。この子は、セイ・グラント、ミンスファ領の領主。そなたの弟の子だ」
次いでとばかりに、抱き上げている子を示して紹介してきた上「悪いがこちらで預かってくれ」と全く悪いと思っていない一言をよこしてきた。
「ミンスファというと、最近急成長していると聴きますが?誰か代理で管理しているのでしょうか?」
報告書で何度か名が上がり、最近管理職の登用された者の中にも出身者が多数いる。宰相の疑問も当然だが、よくこの状況で気づいたな。半ば呆れながら感心していた。
「領主が治めるているが?まぁ、子供と侮る者もいる様だがな」
どこか誇らしげに応える精霊に、逆に驚かされた。
「セイ殿は、あなた方に愛され慈しまれる者ではないのですか?」
「最も我等に愛され保護されている。何しろ我等が育てた子ゆえ当然だろう」
何を馬鹿な問いをするとばかりに、呆れた様に応えてきた。
だが、それはこちらの常識に反する。第一、弟はいったい自分の子をどうしていたのだ。普通に考えたら親が今まで気づかないのは異常過ぎる。外に子ができたと報告はあった。また、その子の母親が代理人を雇って領主になっていたはずだ。
「色々と報告漏れに、行き違いがありそうですね」
黒い微笑みを浮かべる宰相に、これから絞め上げられる弟が目に浮かびそうだ。
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