傍観者を希望

静流

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ゴネにゴネて本契約すら結んでいないのに、約束を守り続けて今や薬師長にまで登りつめた精霊が5年待っていた相手だ。

精霊だから気長ともいえるが(寿命が異常に長くて、確か千年は軽くいくときいている)、気分屋とも言われる位には執着がないのが一般的だ。

私の周りには、その一般論が通じない者しかいない。

気分屋どころか執着心の塊で、脇見もせずにずっと一番大事と主張している。

ただ、人間と違い執着心があっても共有には寛容で仲良くしている。

お互いにあまり関心がないだけとも言えるが、偶に張り合うと自慢合戦へと突入していく。

最近では、先ほど聴いた呼ばれたという報告擬きの自慢だろうか。

昔は其れすら無かったから、人間味が出た弊害の一つともいえそうだ。

基本的にお互い会うこともないし、情報交換がてらの会話もない。

無関心・無接触・無協力が基本だから仕方がないことだが、そこに私が加われば話が変わり、私に関してのみの協力体制が出来上がった。

この体制が異様に強力で、私に関する情報が共有されている。たとえ5年会って無くても、情報は小さな精霊達から挙げられているからリアルタイムで状況が伝わっている。

逆に私の方が精霊達の近況を知らない。

1年毎に結果的に呼んでいた精霊に聴いて情報の更新をしていた。

今現在の情報を聴きそびれているのに今更ながら気付いた。

「あーもう良いから、悪気がないのは解ったから」

「あっじゃあ許してくれるの?本当に怒ってない?」

「怒ってないから大丈夫。それよりも、なんか妙に人間味が出ているというか精霊臭さがない?状態の理由を訊いてもいい?」

「わぁ!気付いてくれたの。人間ぽい?実は今カフェや社交倶楽部の仕事してるの♪」

「私は現在騎士団の一団長をしている」

「私は薬師長の傍ら塔での研究者をしています」

「庭師の仕事」

「私は商人で、彼方此方と旅暮らし状態ですね」

其々の近況で驚いた。
去年まで姉さんは仕事に着いてなかったし、庭師や商人も初耳だ。

「一体どういう訳で、急にそうなったの?去年まで仕事に着いてたの二人だけだったでしょう」

「あんまり突っ込んでくれないでくれ、コイツらなりに考えた結果だから」

「理由は訊かないほうがいいのね。私としては今の状態は嬉しい変化だけど、無理はしないでね」

理由を不明として欲しいことは解ったが、悪いが何となく想像できる。

焦った結果だとしても、歩み寄ってくれたのは嬉しい。
ただ、自由な精霊達を縛り付けるのは本意ではないのも事実だから申し訳なく思う。

「あら、逆にこんなに面白いことを知らなかったのが悔しいくらい楽しんでるわ」

「庭いじり楽しい、相手喜ぶ」

「変わった物を色々観るのも面白いですよ。人間も商品も観察しがいがあります」

「薬草園や塔で会えそうなのが楽しみですね」

「性に合っているから問題ない」

顔に出ていたのかフォローするように言われホッとした。

「そうそう、カフェのお蔭でセイ様にお勧めのお茶や茶菓子も色々あるのよ」

「おいおい、そのカフェや倶楽部大丈夫なのか?あまり趣味に走り過ぎて潰すなよ」

「失礼ね。残念ながら急成長しつつも、安定した経営をしているわ」

「そうか。今度邪魔させて貰う」

「あら、部下の方か同僚と来るつもり?あまりムサイ男ばかりじゃ浮くわよ」

「フン。接待で女性も一緒だ。なんか文句あるか?」

勝ち誇る方もキー!と怒った姉さんも自然体で観ていて可笑しい。
楽しそうで何よりだ。ふふっと笑っていると横からガラス細工の花が差し出された。

「はい、プレゼント」

「へ?何のお祝い?それより何でガラス細工の花?」

「強いていえば、呼ばれたこと?まあ、再会を祝してともいうしね。ガラス細工なのは最近手に入れた中で一番気に入ったからだよ。綺麗でしょう?」

コクリと頷き、もう一度花をよく見た。
うん?コレってポイッと簡単にプレゼントする物じゃないよね⁉︎
ギョッと二度見して商人をしている精霊を見たら、悪戯が成功した少年のようだ。

「仮想空間とはいえ恐ろしいプレゼント何だけど?というより悪戯なんだよね?」

「えー。一度受け取った物の返品は受け付けないよ。それに、綺麗だと認めたでしょう?」

恐いと返そうとしたら、断られた。
確かに褒めたし綺麗だけど、値段が想定できれば遠慮したくなる。
挙句、受け取って貰うことが悪戯なんだよねと、宣ってくれた。

返品不可の高額商品、持っている時点で壊しそうだ。
持て余してたら、丁度いい入れ物が逆方向から差し出された。
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