傍観者を希望

静流

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「ありがとう。作ってくれたの?」

「気に入ってくれて嬉しい」

土器で造られた容器は優美さも兼ね備えているのに持ちやすい。

興味がガラス細工から逸れたのに気づいた精霊が、面白くなさ気に良かったですねと口先だけの追従をしてくる。言葉と表情が一致してないが商人らしい態度だ。

「セイ様も造れる」

「容器のこと?まあこの空間なら可能かな?」

「現実世界も同じ」

「つまり、創造力を持って魔法を使えばいいのかな?」

「イメージ大事。全属性持ちで魔力が俺たち以上、出来ない方が変」

「要はコツと経験値の差で、そういう発想がなかったからしなかった結果が現状ですから、何回か試してみれば上手くできますよ」

説明が足りないとばかりに補足をしてくれるが、何だか様子が変だ。

「ありがとう。何でそんなにソワソワしてるの?」

「セイ様、俺は土属性が強い。コイツは金属性に特化している」

「へ?えっとー?あっそういう訳か」

改めてガラス細工をみて、魔力の残滓を読めば納得できた。

「因みにどれくらいの価値だと思いました?」

「9千ってところかな」

「エッ1万は下らないでしょう?何で9千なんです?」

「名工の弟子の作品だと判定したからだよ。名工ならもっと細部まで拘るし、作品としてはこういう造りにはしない。だから弟子の試作品的な物だとすれば理解できる」

ばれたから開きなおって、商人のように目利きを試すが、想定以下の金額に不満気だ。

名のある名工に似せた物にしか見えないと判定を告げたが、納得がいかないようだ。

仕方がないから、必要な材料を思い浮かべて出現させて魔力で加工していく。確かにイメージが大事なことは解った。宙で回転させて、納得がいったところで魔力を注ぐのを辞めて、造り出したガラス細工を眺めた。
まあ、こんな物かなと確認が終わる前に横から拐われしまった。

「ずるいズル過ぎます。何で一発で完璧に造れるんです。私の立つ瀬がないじゃないですか。しかも何で私のより精巧な造りなんです!」

「説明通りにイメージを大切にしただけだし、そう文句を言われても困る。それから、私は名工の作品レベルを目指したからじゃない?」

出来の良さを責められてもねぇと苦笑しながら、これが論より証拠で解り易いだろうと言えば、自分の造った物と比較してガックリした。

「商人より目が肥えてないですか?指摘されたことはよく解りましたが」

「領主やってるから、色々必要なんだよ。見た目で損してるのに、能力まで疑われたら笑えないし」

「イヤもう、十分に見た目詐欺レベルにハイスペックでしょうが」

領主とかそういうレベルの話ではないと力説するが、未成年というのはどうしても軽く扱われてしまう。
その意識を変えさせるには、目利きや知識は幾らあっても足りない位だ。

自分にとって知識の武装は必要不可欠になっているのに、見た目詐欺とは失礼じゃないかな。と少々ムッとさせられた。






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