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パン!という音が響いた。
姉さんが手を叩いて衆目を集めた。
「はい、そこまで!悔し紛れの言い掛かりも見苦しいわよ」
「それにしても、素晴らしいガラス細工が出来ましたね」
「フム。細工の細やかさが段違いだ」
その間に作成したガラス細工が、騎士団長の手に移り薬師長と二人で鑑賞し始めた。
それだけで済めば問題ないのだが、会話をしっかり聴いていたようで、最初に精霊が造った物と並べて比較している。
追い討ちを掛けるような発言に、姉さんが「煽ってどうするの」と苦情をいい、これだから脳筋はと自分も波風たてることを言う。
事態を収拾する気はあるのかと、内心突っ込む。
この状況で、下手に口出しすれば藪蛇になりかねないから、手元に残った土器を一人で鑑賞することにした。
無骨な感じもあるのに優美で、単体でも置物になりそうだ。
でも、どう見ても名工の作には思えない。
どちらかといえば大衆相手に造られたものだ。
自己主張がなく控えめで、目に煩わしさを感じさせない佇まいがある。
彼らしさを感じさせる器に、自分が造ったガラス細工は小手先の技術のみだと気づいた。
技術的にはクリアだけどオリジナリティには欠けるそんな作品は、パッと出て消えていく可能性が高い。
自分が投資するならこの土器の作者に対してのみだな、とつい領主の目線になっているのに気づいた。
「意味深な嘆息ですが、どうしました?」
自分の職業病に何してんだかと溜息をついたら、目の前で繰り広げられていた言い合いに対してと思われたようだ。
最早なんの話をしていたのか解らない内容へと変わっている。
メッキが剥がれたような言葉のやりとりに、人としての理性は何処にと問いたくなる。
コレが原因で、呆れ果ててのものとみられても仕方がないな。
苦笑していたら、言い合っている方へこれ以上醜態を晒してどうするのかと矛先が向こうへ向いてしまう。
強ち間違いでもないかと、軽く考えていたが顔色がサッと青くなった面々に驚かされた。
「セイ様、失礼しました」
「ごめんなさい。ついカッとなってしまうの。もうしないから許して、お願い!」
「セイ様を無視していた訳ではないんです。ちょっとした意見の食い違いで、このような事態になっただけです」
「頭も冷えたようですから、機嫌をなおして下さい」
「お茶のお代わりに茶菓子も」
どうもかなり怒っていると勘違いしているようだ。
「お茶ありがとう。私のことは気にしないで。久しぶりに会ったのだから、好きなだけ討論しても構わないから」
ニッコリ笑って気にしてないからねと、怒っていないとアピールしたのが逆に不味かった。
商人の精霊は白虎化して膝下に懐いてきて、姉さんは肩を揉もうとするし、騎士団長は挙動不審に陥っている。
方や我関せずとマイペースな庭師の精霊はお茶を楽しんでいるし、薬師長はのほほんと相変わらず愛されてますねと、カオス化した状況で微笑んでいる。
ヒクリと口元が引き攣る。
コレどう収拾すればいいのか、さっき姉さんが収拾に失敗した時に介入しておけばよかったと後悔した。
姉さんが手を叩いて衆目を集めた。
「はい、そこまで!悔し紛れの言い掛かりも見苦しいわよ」
「それにしても、素晴らしいガラス細工が出来ましたね」
「フム。細工の細やかさが段違いだ」
その間に作成したガラス細工が、騎士団長の手に移り薬師長と二人で鑑賞し始めた。
それだけで済めば問題ないのだが、会話をしっかり聴いていたようで、最初に精霊が造った物と並べて比較している。
追い討ちを掛けるような発言に、姉さんが「煽ってどうするの」と苦情をいい、これだから脳筋はと自分も波風たてることを言う。
事態を収拾する気はあるのかと、内心突っ込む。
この状況で、下手に口出しすれば藪蛇になりかねないから、手元に残った土器を一人で鑑賞することにした。
無骨な感じもあるのに優美で、単体でも置物になりそうだ。
でも、どう見ても名工の作には思えない。
どちらかといえば大衆相手に造られたものだ。
自己主張がなく控えめで、目に煩わしさを感じさせない佇まいがある。
彼らしさを感じさせる器に、自分が造ったガラス細工は小手先の技術のみだと気づいた。
技術的にはクリアだけどオリジナリティには欠けるそんな作品は、パッと出て消えていく可能性が高い。
自分が投資するならこの土器の作者に対してのみだな、とつい領主の目線になっているのに気づいた。
「意味深な嘆息ですが、どうしました?」
自分の職業病に何してんだかと溜息をついたら、目の前で繰り広げられていた言い合いに対してと思われたようだ。
最早なんの話をしていたのか解らない内容へと変わっている。
メッキが剥がれたような言葉のやりとりに、人としての理性は何処にと問いたくなる。
コレが原因で、呆れ果ててのものとみられても仕方がないな。
苦笑していたら、言い合っている方へこれ以上醜態を晒してどうするのかと矛先が向こうへ向いてしまう。
強ち間違いでもないかと、軽く考えていたが顔色がサッと青くなった面々に驚かされた。
「セイ様、失礼しました」
「ごめんなさい。ついカッとなってしまうの。もうしないから許して、お願い!」
「セイ様を無視していた訳ではないんです。ちょっとした意見の食い違いで、このような事態になっただけです」
「頭も冷えたようですから、機嫌をなおして下さい」
「お茶のお代わりに茶菓子も」
どうもかなり怒っていると勘違いしているようだ。
「お茶ありがとう。私のことは気にしないで。久しぶりに会ったのだから、好きなだけ討論しても構わないから」
ニッコリ笑って気にしてないからねと、怒っていないとアピールしたのが逆に不味かった。
商人の精霊は白虎化して膝下に懐いてきて、姉さんは肩を揉もうとするし、騎士団長は挙動不審に陥っている。
方や我関せずとマイペースな庭師の精霊はお茶を楽しんでいるし、薬師長はのほほんと相変わらず愛されてますねと、カオス化した状況で微笑んでいる。
ヒクリと口元が引き攣る。
コレどう収拾すればいいのか、さっき姉さんが収拾に失敗した時に介入しておけばよかったと後悔した。
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