傍観者を希望

静流

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蛇に睨まれたカエルの気分を味わうはめになった。

一見和かだが、目が笑ってない。
セイ様に気付かれないように殺気まで飛ばしてくる。

どの辺が温和なんだと、長年の知己でもある精霊の素を嫌というほど理解している身としては、気分は最悪だ。

怒らせた時点でアウトだったと解っている。
一応フォローもしてくれた。それだけでも感謝だ。

気を逸らしている間に、どう立て直すか考えないと拙い。

どうしたものかとお茶を飲みつつ思案していて気付いた。
おそらく、一瞬ギョッとしたのだろう姉さんがムッと睨んできたから確かだ。

目でお茶を示すと妙な顔をされたが、促されるまま飲んでくれた。
やっぱり、目を見張って驚いているし、パクパクと声を出さないで訊くだけいい傾向だ。

此方の遣り取りに疑問に感じた薬師長も確認している。

安眠用に何か贈るかと考え、3人で用意するのに丁度いい物を思いついた。

ふと視線を感じ目をやると、白虎が此方をみていた。
どうやら殺気で目が覚めたようだ。
手元に用意するつもりだったガラスの容器が出現した。勘のいい奴だなと笑い、有り難く使わせて貰って中身を作成して作り上げた。
一つというのもなと思っていたら、ニョキっと手が出て姉さんがどう?っと首を傾げているのに頷いて仕上げをする。

どうにか形になったと、ホッとしてるとセイ様が此方へ視線を向けてきた。

「どうかした?妙に静かだけど」

「いえ、大した事ではないですよ。それより、これをどうぞ」

「いい香りだね。ポプリの匂い袋?あっと小瓶はアロマかな」

「ええ、安眠用にもいいですし、気分転換にどうかと思いまして」

「気を使わせてしまったみたいで、ごめんなさい」

「セイ様、そういう時は謝ってもらうのは何か違うわ」

「いい夢をみて欲しいと願った結果、こういう形になった。気に入ってくれたらいいのだが。どうだろうか?」

「ありがとう。大切に使わせてもらう」

「気に入ったようで良かったです。香りは好みが分かれるから、不安だったのですよ」

代表で、薬師長に渡してもらい反応をみていた。
やっぱり、手作りと気づき、申し訳なさ気な様子だ。拙いかと内心焦って嫌な汗をかいたが、気に入ってくれてホッとした。 

薬師長も礼を言われて、ぎこちなかった笑みが元に戻っている。

「ガラスの容器もありがとう」

そう言いながら、白虎を撫でている。
撫でられている方はもっと撫でて、としっかり反応している。
他国では聖獣とも言われているが、どう見ても単なる毛色の違う猫だ。

圧を掛けていた本人は、取り敢えず矛を仕舞い。良かったと言いながらお茶を飲んで好好爺のように振る舞っている。

妙に疲れる茶会だった。

因みにお互いプレゼントした物は、目覚めた時に枕元に鎮座していた。
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