傍観者を希望

静流

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この騎士を埋もれさせるには惜しい。

私の代理要員でも宝の持ち腐れだが、上にあがる足掛かりにはなる。

どうしたものかと、扉に視線を向ける。

「アルフレッド、居るだろう?どうなった」

ドアから音もなくアルフレッドが入ってきて一礼する。


「セイ様の希望通りに処理しています」

どうやら、騎士団長にすら意思確認せずに許可が下りたようだ。

「グレンはどうしてる?拗ねていないか」

「必要でしたら呼びましょうか?外に控えています」

不要だと告げておいたが、グレンの状態は気に掛けるなということか。


私が悩むんでも仕方がないかと、切替てドミニクの護衛に関して尋ねた。

結果、専任ではなく近衛が当番制で付いている事が分かった。


「アルフレッド。では、この騎士をドミニクの護衛騎士に推薦しておく」

「セイ様の代理要員では?」

「私の代理要員は、この二人に依頼する。だが、そう出番はないだろうから、主としてドミニクの護衛騎士に推すのは問題ないだろう?」

「問題はありませんが、セイ様が推せば確定してしまいます」

「えっ、審査や協議が入るだろう?何で即、確定なんだ」

「セイ様の推薦というのはそれだけ効力があります。審査等は形だけのものになるでしょう」

顔が確実に引き攣っている。権力はない筈なのに、どういう事かと問えば。

現在の立ち位置は公爵で、陛下預かりだけに大抵のことが通るそうだ。

今まで、気付かなかっただけのようだが、後盾が立派過ぎるのも考えものだ。


「仮に、誰が推薦したか、伏せてしたらどうなる?」

「十中八九、落ちるでしょう。後援者や親族などの伝手もない場合は、中々厳しいものです」

「それでは、入った後も色々あるのか」

「やっかみ半分で、嫌がらせぐらいは少なくともあり得ます」

「推せば嫉妬をかい。推さなければ埋もれる確率が高いか」

「後は本人の運次第ともいえます。どうしますか?」

「アルフレッドも人が悪い。本人の同意もなく決めたら、迷惑行為になるだろう」

「ですが、騎士やメイドは、高位の者が見出さなければ、埋もれて消えるのみです」

それが現実だと淡々と告げられる。暗に推せと勧めている。


「では、私の一存で推す。後の処理は任せる」

「諾」と拱手したのを見届け、騎士へ視線を遣る。

「事後承諾で悪いが、宜しく頼む。後ドミニクは、第一王子だから安心してくれ」

流石に顔が硬直してしまっている。
思考も停止したようで、無反応だ。


苦笑するが、アルフレッドは許容外だったようだ。

手を打ち鳴らして意識を向けさせている。

「セイ様が仰せになったことは理解してますか?」

冷ややかな空気を孕んで確認している。

別の意味で顔が青ざめている。

可哀想に思えてくるが、騎士らしく歯切れの良い返事は気持ちがいい。


苦労はするだろうが、潰されないように根回しも頼んでおこう。
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