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視線を感じて見遣れば、リスティリアが唖然としている。
敬愛しているかは不明だが、騎士団長の意外な一面に驚いているのだろう。
威厳や重厚さが欠片もない会話で、子供の喧嘩並みだという自覚もある。
認識すれば、居た堪れない。
騎士団長ことランは、そんな事を気にする余裕もなく、押し付けられた説明に苦慮している。
困った時のお助けまんではないが、執事に目を遣る。
全て心得ていますとばかりに、一礼する様は頼もしい限りだ。
「差し出がましい真似を致しますが、私が説明申し上げましょうか?」
「えっ嗚呼、是非ともお願いする」
了承をとったアルフレッドが変わりに説明している。
緑雲宮が禁足地故に通行証がいる。
王弟殿下の私生児だが、相手が大国の姫で既に亡くなっている。
領地を与えられている為に領主。
しかし、母方の親権も放棄されてなく大国の王位継承も有する立場。
結果的に王宮預かりとなっている。
当たり障りなく、纏めている。
嘘はないが、大部分が伏せられたまま、辻褄が合う内容になっている。
その一方で、まだ母方は諦めてないと聴くのは鬱々たる感情を生む。
当初は精霊の加護を持っていた母を死なせたと、刺客が幾度となく送り込まれた。
精霊の子と判れば、手のひらを返して自国に取り返そうと躍起になっている。
やる気はないが、報復されても不思議ではないと考えない彼らの傲慢さが嫌いだ。
思考が落ち込む前に切替ようと、意識を逸らせば廊下の苛立った気配を察知した。
それとは別に、見知った気配が此方に向かっている。
ここにも、大人気ないもの達がいると苦笑が浮かぶ。
「セイ様?何か不備がありましたか」
「いや、解り易い説明だったよ。ご苦労様」
「ですが、お気に障ったのではありませんか」
「勘違いさせたようで済まない。グレンが除け者状態に苛立っているのと…」
「失礼。セイ様!お怪我は大丈夫ですか」
言葉を遮るように、ノックもなくドアを開けて突進してくる。
「やあ、薬師長。救護班にでも聞いたのか?」
「訊きもしない話題を、一頻り説明してくれましたよ」
それよりも怪我の具合はと、手当て済みの様子を確認してくる。
予想通りに怒り出して、手当てをやり直し出すのはお約束な展開だった。
「まったく何回注意すれば、その頭は理解するんです」
「私が悪かった。ど忘れしただけで、そこまで怒らなくてもいいだろう」
「そう言って又やらかす方が問題だと言ってるんです」
目の前で展開する言い合いに、呆れるが懐かしくもある。
怒りながらも手当ては丁寧に施されていく。
一緒に来たライトは、ドアの前で佇んでいる。
グレンも相手が精霊王だけに制止し兼ねたようで、申し訳なさげな顔をして控えていた。
敬愛しているかは不明だが、騎士団長の意外な一面に驚いているのだろう。
威厳や重厚さが欠片もない会話で、子供の喧嘩並みだという自覚もある。
認識すれば、居た堪れない。
騎士団長ことランは、そんな事を気にする余裕もなく、押し付けられた説明に苦慮している。
困った時のお助けまんではないが、執事に目を遣る。
全て心得ていますとばかりに、一礼する様は頼もしい限りだ。
「差し出がましい真似を致しますが、私が説明申し上げましょうか?」
「えっ嗚呼、是非ともお願いする」
了承をとったアルフレッドが変わりに説明している。
緑雲宮が禁足地故に通行証がいる。
王弟殿下の私生児だが、相手が大国の姫で既に亡くなっている。
領地を与えられている為に領主。
しかし、母方の親権も放棄されてなく大国の王位継承も有する立場。
結果的に王宮預かりとなっている。
当たり障りなく、纏めている。
嘘はないが、大部分が伏せられたまま、辻褄が合う内容になっている。
その一方で、まだ母方は諦めてないと聴くのは鬱々たる感情を生む。
当初は精霊の加護を持っていた母を死なせたと、刺客が幾度となく送り込まれた。
精霊の子と判れば、手のひらを返して自国に取り返そうと躍起になっている。
やる気はないが、報復されても不思議ではないと考えない彼らの傲慢さが嫌いだ。
思考が落ち込む前に切替ようと、意識を逸らせば廊下の苛立った気配を察知した。
それとは別に、見知った気配が此方に向かっている。
ここにも、大人気ないもの達がいると苦笑が浮かぶ。
「セイ様?何か不備がありましたか」
「いや、解り易い説明だったよ。ご苦労様」
「ですが、お気に障ったのではありませんか」
「勘違いさせたようで済まない。グレンが除け者状態に苛立っているのと…」
「失礼。セイ様!お怪我は大丈夫ですか」
言葉を遮るように、ノックもなくドアを開けて突進してくる。
「やあ、薬師長。救護班にでも聞いたのか?」
「訊きもしない話題を、一頻り説明してくれましたよ」
それよりも怪我の具合はと、手当て済みの様子を確認してくる。
予想通りに怒り出して、手当てをやり直し出すのはお約束な展開だった。
「まったく何回注意すれば、その頭は理解するんです」
「私が悪かった。ど忘れしただけで、そこまで怒らなくてもいいだろう」
「そう言って又やらかす方が問題だと言ってるんです」
目の前で展開する言い合いに、呆れるが懐かしくもある。
怒りながらも手当ては丁寧に施されていく。
一緒に来たライトは、ドアの前で佇んでいる。
グレンも相手が精霊王だけに制止し兼ねたようで、申し訳なさげな顔をして控えていた。
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