傍観者を希望

静流

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「取り敢えず、大国はそれで対処できそうですか?もし、それでもごねる様なら、母の罪状も含めて大国が負うのか、お尋ね下さい。恐らくそれで黙るでしょうから」

「母とは義母のことか?それとも、まさか生母ではあるまいな」

ギョッとして此方を凝視してくる。

残念ながら実母の方だが、説明するのも気が滅入る。

拒否する様に目を逸らしたことが、雄弁に物語っている。

陛下は、疲れ果てた様に嘆息し、項垂れている。


「精霊が、此処に保護を求める筈だ。環境が悪いにも程がある。ああ、それから大国の方は報告書で事足りるだろうが、その伝言は保険として預かっておこう」

気を取り直すように、感謝を示してくる。

普段通りに振る舞おうとして、逆に空回りするような違和感が、空気を更に暗くした。

重苦しい雰囲気を、空間の歪みに気を取られて、皆一瞬忘れる。


ライカより、器用に結界への負荷を減らし、ライトが転移して帰還した。


即座に跪き、入手した証拠を差し出す。

此方が書類に目を通している間に、細々とした補足説明を、口頭で挟んでくる。


予想通りだが、よくこんな証拠が、都合よく見つかったものだ。

風の精霊とはいえ、短時間で的確な証拠を探し出す手腕には脱帽する。


陛下に、証拠を渡してライトを労う。

椅子に座らせ、新しいお茶を渡し、休憩を勧める。

しかし、この空間ではそう休んだ気がしないだろう。


寧ろ気疲れして、余計に体力や気力が枯渇しそうだ。

勧められるままに、ライトは淡々と無言でお茶を飲んでいる。


先程から、空気のように気配を消しているライカは、茶菓子を堪能している。

よくまあ、この雰囲気の中で、そんなに食べるものだ。

呆れ混じりに見ていれば、茶菓子が欲しいと勘違いして、差し出そうとする。

気にしなくていいと告げれば、不思議そうな顔をされる始末。


ライトは、そのやり取りを見て、こちらへ申し訳なさそうに頭を下げてくる。

差し詰め「ライカに悪気はないんです。申し訳ありません」という事だろう。

面倒見の良い兄のようで、微笑ましい光景だ。


首を微かに振り、構わないと無音で口で告げれば、肩の力を抜いている。


「この証拠があれば、自供に頼る必要もない。此方としては非常に助かるが、交渉材料が過多している。何か他に希望や要求はないのか?」

確かに、これでは慈善事業並みで、交渉としての取引になっていない。

とはいえ、これ以上希望する案件があったかと、頭を抱えて悩むのも、可笑しな話だ。


どうしたものかと、首を傾げる。

一つ思い浮かぶが、実際にやったら不都合が生じそうだ。

想像して顔を顰めた瞬間を陛下に見られ、言うだけ言ってみるように促される。

「ステファンが何か失策をした際に、援助若しくは助力をする権利は駄目…ですよね。では、此方も猶予期間をお願いするのは如何でしょうか?」

「立て直せるかの判断を、一定期間保留にするということか?」

「それよりは、失策後に国が梃入れするのを許可してくれれば、領主は据置きの方が良くはないか?その場合は、制限も含めて詳細を取り決めておく必要があるがな」

判断保留よりは、領民に負担が掛からないが、内政干渉にも繋がる懸念も出てくる。

その辺りを、話し合いで先に詰めておけば、不安は減るが…。


「では、後者の案で。但し、大国対策も兼ねているのでしょうから、国の管理下だと、揶揄されない内容になることが、大前提だと忘れないで下さい」

念の為に牽制しておけば、苦笑され解っていると返された。





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