傍観者を希望

静流

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「……そして、現在セイ様から中止を言い渡されたのです。これで、知っていることは全て申し上げました」

淡々と述べて、漸く終わり一息ついているが、目が催促している。
交換条件だとは言ってないが、ミスリードを狙ったのも確かだ。

「騙した訳ではないが、ステファンの領主就任は既に陛下から勅命を頂き、確定済みで覆すのは無理だ。その代わりと言ってはなんだけど、ステファンが罰せられる可能性はほぼ無いから、その点は安心してもらって大丈夫だよ」

「確定済み」と聴き、顔を青褪めさせ目が据わったが、処罰がないと知り目を瞬かせている。

「それは…信用していいのですか。でも、何故?」

困惑して、理由を問うてきた。鵜呑みにしないのは偉いが、返答に困る事ばかり訊いてくる。

「嘘は言ってないよ。諸事情からそう決まった。ただし、問題が起これば国が介入する」

「介入って、権限を剥奪するのですか」

「いや、一時的に出向してくるだけで、問題が解決すれば帰るよ。支援や補助の為に送り込まれるだけだ」

「ああ、それから、ステファンも出向扱いでの就任だ。任期満了と同時に宰相殿の配下に戻るから、退任後も心配いらない」

目が三角になって、詰め寄ってくるのを、押し留めるように言葉を重ねる。

いくら化粧っ気がなくても、近付き過ぎれば拒絶反応を起こす。

自己防衛も含めて、身を引けば、我に返って相手も距離を置いてくれた。


その辺りは、領民に周知されている。女性恐怖症で、力の暴走もあり得ると理解した上で、接してくれているのだ。しっかり納得した上で働いているから、暴走して怪我をしても自業自得扱いだ。

少々、女性には不条理だが、近付かなければ問題がない。
また、他領と違い能力があれば、性別年齢問わずに登用する為に、優秀な人材が集まってきている。

そのぶん、試験が年々難解な物にもなっているが…。

噂によれば、国の官僚になるより難しいが、身分も問わず出世できるとされていた。

事実だが、どんなに頭が良くても人柄に問題があれば、その限りではない。

困った人材の育成には、やはり手を焼くこともあるのだ。

ギルドから、何度泣きつかれた事か。

本採用の試験は数人でやるが、全員から却下されたものの、能力だけは高いので惜しまれる者も一定数いるのだ。

その場合、再試験や再々試験と縺れ込み、現場の指導係が苦労する。

何度か、最終試験を担当したが、笑えるほど酷い者もいた。

要再指導として、ガックリしている担当者を労い励ますこともあったが、当人はケロッとしているか、逆ギレで喰ってかかる者もいる。

可笑しな話だが、ギルドの職員試験で、私が客として窓口に立つと、親を連れて来るように言って追い返された事がある。

他領では当然でも、此処では年齢問わず登用しているのだから、その対応は間違っている。その対応をした者も、未成年だったにも関わらず、子供だというだけで弾いたのだ。

直ぐに上司が飛んで来て、代わりに対応したが、不満気に横で睨んでいた。

当然ながら、試験は不合格で評価も最下位となった。

年一回の試験で、次回まで再度見習いとなったようだが、実は二度目の失敗だという。

教育係は、苦笑して妥当な結果だと頷いていた。
聴けば、前回よりは成長したそうだ。いったい、去年は何をしでかしたのやら。

そんな、現状を一瞬回顧する程度には、怖いものがあった。

身を引いて、居住まいを正している間に、お互い多少冷静になっていた。



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