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「取り敢えず、そういう事だから。懸念する事態にはならないよ」
「それならそうと先に言ってくれればいいのに…狡いです」
上目遣いで睨んでくるが、顔が赤くなっていて迫力に欠ける。
心情を赤裸々に語っていたことが、よほど恥ずかしいようだ。
「ステファンの就任を阻むのが目的だとは、想定できても理由が不明だったからね」
苦笑し肩を竦めたが、ギロッと眼光が鋭く、先程より威力が増している。
煙に撒いて仕舞おうとは思ってないが、疑われているようだ。
一切視線を逸らさないで、ガン見されている。
「セイ様、馬に蹴られたいのですか?」
「はい?何で馬が出てくるんだ。それに被虐趣味もないが?」
真顔で問われるが、意味が分からず訊き返したら、目を丸くしている。
驚いて声も出ないようで、口を金魚の様にパクパクとさせていた。
「もしかしなくても、ご存知ではないのですね。割と一般的な言葉ですが、関心のない分野だけに聴き流されていたのかも」
「?…それは失礼した。因みに、意味を教えて貰ってもいいかな」
どうも、知らない方が可笑しいようだ。
意味を聴いてなるほどっと思ったが、聴いた側から忘れそうだ。
「セイ様。別に無理してまで覚えることはないですよ。恋愛相談や、結婚生活の愚痴に付き合わされる予定はないでしょう?」
ぶつぶつと呟いて、記憶していると、不要だと止められる。
「確かにないが、今回の実例もあるから、覚えておいても損はないよ」
「セイ様…。一体どんな想定が、ありえると言うのですか」
げんなりと力ない反論に、言葉を詰まらせた。
女性恐怖症を相手に、恋愛相談をするような物好きはいない。
嫌がらせにしても、そんな暇人は側仕え達が排除するだろう。
自分でも、破綻した仮定だと言わざるを得なかった。
「うん。残念ながら、無用な知識になるだろうね。読書…いや、出てこないか」
自分で打ち消して、余計に虚しい感じがする。
読書ならと思いついたのだが、小説の類を読んだ試しもない。
ほぼ、実用書と事典(辞書含む)に報告書の山が相手だった。
仕事人間のつもりはなかったが、余暇といえばお茶を飲む休憩ぐらいだ。
面白味に欠ける上に、子供らしさが皆無で可愛げがないなと、妙に納得しただけに哀しいのだ。
偶に、陛下から向けられる視線に、憐憫が混ざっていた事まで察してしまった。
「あの…セイ様?そこまで落ち込まなくても」
どんよりと暗い雰囲気を漂わせる私に、引き腰気味に声をかけてきた。
「それならそうと先に言ってくれればいいのに…狡いです」
上目遣いで睨んでくるが、顔が赤くなっていて迫力に欠ける。
心情を赤裸々に語っていたことが、よほど恥ずかしいようだ。
「ステファンの就任を阻むのが目的だとは、想定できても理由が不明だったからね」
苦笑し肩を竦めたが、ギロッと眼光が鋭く、先程より威力が増している。
煙に撒いて仕舞おうとは思ってないが、疑われているようだ。
一切視線を逸らさないで、ガン見されている。
「セイ様、馬に蹴られたいのですか?」
「はい?何で馬が出てくるんだ。それに被虐趣味もないが?」
真顔で問われるが、意味が分からず訊き返したら、目を丸くしている。
驚いて声も出ないようで、口を金魚の様にパクパクとさせていた。
「もしかしなくても、ご存知ではないのですね。割と一般的な言葉ですが、関心のない分野だけに聴き流されていたのかも」
「?…それは失礼した。因みに、意味を教えて貰ってもいいかな」
どうも、知らない方が可笑しいようだ。
意味を聴いてなるほどっと思ったが、聴いた側から忘れそうだ。
「セイ様。別に無理してまで覚えることはないですよ。恋愛相談や、結婚生活の愚痴に付き合わされる予定はないでしょう?」
ぶつぶつと呟いて、記憶していると、不要だと止められる。
「確かにないが、今回の実例もあるから、覚えておいても損はないよ」
「セイ様…。一体どんな想定が、ありえると言うのですか」
げんなりと力ない反論に、言葉を詰まらせた。
女性恐怖症を相手に、恋愛相談をするような物好きはいない。
嫌がらせにしても、そんな暇人は側仕え達が排除するだろう。
自分でも、破綻した仮定だと言わざるを得なかった。
「うん。残念ながら、無用な知識になるだろうね。読書…いや、出てこないか」
自分で打ち消して、余計に虚しい感じがする。
読書ならと思いついたのだが、小説の類を読んだ試しもない。
ほぼ、実用書と事典(辞書含む)に報告書の山が相手だった。
仕事人間のつもりはなかったが、余暇といえばお茶を飲む休憩ぐらいだ。
面白味に欠ける上に、子供らしさが皆無で可愛げがないなと、妙に納得しただけに哀しいのだ。
偶に、陛下から向けられる視線に、憐憫が混ざっていた事まで察してしまった。
「あの…セイ様?そこまで落ち込まなくても」
どんよりと暗い雰囲気を漂わせる私に、引き腰気味に声をかけてきた。
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