傍観者を希望

静流

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便乗するように話題を学園に戻した。

「ただ、ステファンが卒業して、もう何年になるかを考慮すると、他にも安心材料があった方がいいのか、気になる所だが…その辺はどうなんだ?」

「そう…ですね。その点を突かれると納得するか怪しいです」

眉根を寄せて、困ったように告げてくる。
催促するような視線に、目を泳がせる羽目になった。

「特待生の待遇に関する要項でも、学園に依頼してみたらどうだ?」

「それなら、入手可能そうですし、客観性がありますね」

客観性は、学園が用意するのだから、信用に欠けるのだが、敢えて指摘するほどの事でもない。大体の全容は察せられ、保障された部分が一番大事な点だ。

「あれを読めば、貴族の子が脅したのは、嘘だと判るだろう」

「えっ読まれた事があるんですか?というより、それが手っ取り早いじゃないですか」

目を見張ったと思えば、苦情を言い立てられる。

「だが、取り敢えず安心させないと、部屋から出てこないだろう。その要項だけだと、読まない可能性もあるしな」

宥めるように言えば、納得顔になっている。
よほどその子は警戒心が強いようだ。
もしくは、意思が強く頑固なのかもしれない。

「確かにそうですね。ステファンに、話の序でに渡して貰いましょうか」

「その方が、興味を持って読むだろう」

頷きながら応じれば、善は急げと手紙を用意している。

その動きに、忙しないなと苦言を呟きながら、改めて辞去の挨拶を済ませる。

今度は、引き留めることもなく送り出される。
というのは、建前で書を認めるのに気を取られ、お座なりな反応だった。


これでもまだ領主なんだがと、呆れる対応に怒る気も失せる。

首を振り部屋を出ると、件の少年らしき姿を目の端にとらえた。

此方を、警戒しながらも、好奇心も捨てられない微妙な行動で、廊下の端から窺い見ている。

想像したよりは、行動力がありそうで、目を瞬かせた。

出てきた部屋を一瞬見遣り、少年を手招きしてみる。
予想通り、首を振って拒否されるが、立ち去る気配もない。

それならばと、近付いてみるが逃げもしない。

問題の子ではないのかと、内心首を傾げるが、身に纏っているのは寝間着だ。

「こんにちは。君が特待生予定の子かな?」

目線を合わせて話しかければ、あっさり頷き「初めまして」と返される。

アリサが面倒をみているだけあって、礼儀作法も板についていた。

「礼は不要だ。発言も許可する」

「感謝します。領主様、私はマーカスと申します」

「初めまして、マーカス。紛らわしいから、私はセイで構わないよ」

次に会いに来るステファンを考慮して、そう名乗った。

マーカスは、戸惑った顔をし、首を傾げている。
子供らしい反応に、破顔したら余計に対応に困ったようだ。

「あの、それでは無礼ではありませんか?」

「私が許可しているから、問題ない。単に私の我儘で、マーカスの所為ではないからな」

言葉を重ねれば、納得がいったようで笑い返してくれる。

「承りました、セイ様」

確認するような視線に頷き「少し話せないか」と誘えば、裏庭に案内される。

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