傍観者を希望

静流

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先程のやり取りを忘れたような態度に、よけい居た堪れない。
明らかに、あれは八つ当たりだった。

「アルフ、さっきは悪かった。あれは…」

「セイ様。我らに謝罪や釈明は不要です。どうか、お気になさらないで下さい」

呼び止めて、詫びようとすれば、止められる。
眉根を寄せれば、苦笑しながらも「側仕えに気を遣ってどうするのです」と、嗜められた。

「そういうがな、誰だって八つ当たりされれば面白くないだろう?怒りの一つでも湧くのが普通だ」

「主人が不機嫌なら、多少の事は当たり前だと受け流します。逆に、詫びられた方が、不甲斐ないと言われているようで、悲しくなります」

そういう返しをされるのは想定外で、言葉が出てこない。
困惑している私を他所に、話はここ迄でと東屋を手で示された。

「だが、悪い事をすれば詫びるのも大切だ、と私は思う」

そう言い置いて、東屋に向かう背中に微かに笑う気配を感じた。


東屋には、何故か陛下まで鎮座していた。

「お待たせして申し訳ありません。陛下、何か急ぎの要件でしょうか?」

「いや、特にはないが…息子たちが皆こちらに居ると聴いてな。来ては不味かったか?」

態とらしい理由に、胡乱気に見遣れば開き直ってニヤッとされる。
全て把握して来ているのが、筒抜けで呆れるが、追い返す訳にもいかない。

「構いませんが、時間は大丈夫なんですか?宰相殿に怒られても知りませんよ」

実際、以前宰相殿が怒ってやって来て、連れ帰る(引き摺って連行)事態になった。

「今回は宰相に断って来ているから、問題ない。偶には子供と話して来い、と送り出されたよ」

苦笑いして、心配ないと強調するが、逆に激励されるほど会話がないのかと、疑いたくなる。当の息子たちは、敢えて陛下と距離を置いて座っている上に、今の会話を白けた様に観ていた。

確かに、普通の親子関係を築くのは難しいだろうが、明らかに嫌悪されている様子をみる限り、悪いのは陛下のようだ。

我が子も、駒の一つとして認識しているのが、問題だろうか。

それとも、元々人を試すのが好きなのが、信用を失くさせたのかもしれない。
実際、ステファンが常々警戒した目をしてた位だ。

後は、母親や外戚筋から常日頃、陰口を散々聴かされて育った所為かもと、唯一陛下の責任外を思い付いたが、育つ環境が悪過ぎるなと内心溜息が出た。

「そうですか。ああ、そういえば義兄が訪ねてきて礼を言われましたよ。ただ、今となれば温情を求めたのが良かったか、疑問になってきました」

疲れたように報告すれば、陛下の眉がピクッと上がり凝視してきた。

「ほう。なら取潰そうか?私はどちらでも構わんが…何を仕出かしたのだ」

どうでも良さそうに問いかけられて、呆れて見返せば、目は言葉とは裏腹に冷たく底光りしている。

「お調べになられたら如何ですか?私の話を、鵜呑みにされても困ります」

肩を竦めて応じるが、どうりで嫌われる筈だと胡乱気に見遣った。

「相変わらず手堅いな。少しは隙があった方が、人間味があっていいと思わないか?」

同意をドミニクに求めるが、すげない態度で「左様で」と切り捨てられている。
陛下もさほど期待してなかったようで、軽く肩を竦めていた。



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