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「…目覚めたことを後悔したくなりますね。何をやっているんだか」
未だに張り巡らされている結界の外で、陛下や宰相殿にドミニク達も混ざって騒いでいる。
心配されているというより、アルフレッド達が責められている。
騒いでいるから、落ち着いたら出ようかと思案していたのを中断して、耳を澄ませた。
「アルフ、一体どういうことだ?私は、寝込んだと報告を受けていない」
「セイ様が、3日間と宣言されたので、静観していました。騒ぎを嫌がられるかと判断させて頂いた結果で、報告を怠った訳ではありません」
「グレン。そなたも同じ考えか?」
「はい。アルフレッドの仰る通りで、セイ様の意向に添ったまでです」
拝跪し返答している姿は、普段と違う堅さを感じる。
「だが、未だに目覚めてないのは、どう釈明する気だ。側仕えを排除して眠るのが、普通だとでも言うつもりか?」
今まで聞いた事がない、冷ややかで高圧的な声音だ。
精霊を通して見ているだけでも、竦み上がるほどの怒気に、目を見張る。
そこまで怒ることだろうか?単に休憩を取っただけだ。何が悪いのかと首を捻った。
「信頼を得ていないという、お咎めでしょうか?その件でしたら、我らは謹んで処罰をお受けします。しかし、目覚めてないのは責められても困ります。まだ休息が足りてないのでしょうから、ゆっくり休んで貰うべきです」
泰然と構えて応じるアルフレッドは、拝跪している割に畏まってもいない自然体だ。
いきり立っている陛下の方が、矮小に見えるくらい平然としている。
脇で小さくなって控えていえるドミニク達といい、どういう状況なのか皆目解らない。
側にいた精霊達に尋ねれば、嬉々として教えてくれるのは良いのだが、断片情報で判然としないのが難点で、繋ぎ合わせるのに苦労するのだ。
なんとか理解できた事によれば、どうも陛下が昼過ぎに訪問したがったのを、ドミニクが止めたのだが、逆に不審がられた結果が現状のようだ。
「全く、ドミニクは腹芸が相変わらず下手ですね」
態とらしさ満載の言動を披露するよりも、いっそのこと沈黙を通した方がマシだが、制止するのには最低限理由が必要だ。
その場にブランディアかリラティスが居れば、上手く煙に撒いただろうが、そう都合良くはいかない。
結界の外では、依然陛下が八つ当たりして気炎を吐いている。
論点も大幅にずれてきているが、その辺りはアルフレッドの誘導だ。
アルフレッドは、寧ろ陛下で遊んでいるようで、目が楽しげな光を放っている。
横で控えているグレンが、察したようで微妙に腰が引けている。
どうやらかなり機嫌が悪いようだと、観ていた此方も口元がピクリと引き攣った。
やはり、あの場でグレンにのみ伝えたのは不味かったようだ。
序でとばかりに、精霊達もこの3日間の様子を口々に言い募ってくれるが、知ったことを後悔したくなる。
アルフレッドは、完全にキレている…。
未だに張り巡らされている結界の外で、陛下や宰相殿にドミニク達も混ざって騒いでいる。
心配されているというより、アルフレッド達が責められている。
騒いでいるから、落ち着いたら出ようかと思案していたのを中断して、耳を澄ませた。
「アルフ、一体どういうことだ?私は、寝込んだと報告を受けていない」
「セイ様が、3日間と宣言されたので、静観していました。騒ぎを嫌がられるかと判断させて頂いた結果で、報告を怠った訳ではありません」
「グレン。そなたも同じ考えか?」
「はい。アルフレッドの仰る通りで、セイ様の意向に添ったまでです」
拝跪し返答している姿は、普段と違う堅さを感じる。
「だが、未だに目覚めてないのは、どう釈明する気だ。側仕えを排除して眠るのが、普通だとでも言うつもりか?」
今まで聞いた事がない、冷ややかで高圧的な声音だ。
精霊を通して見ているだけでも、竦み上がるほどの怒気に、目を見張る。
そこまで怒ることだろうか?単に休憩を取っただけだ。何が悪いのかと首を捻った。
「信頼を得ていないという、お咎めでしょうか?その件でしたら、我らは謹んで処罰をお受けします。しかし、目覚めてないのは責められても困ります。まだ休息が足りてないのでしょうから、ゆっくり休んで貰うべきです」
泰然と構えて応じるアルフレッドは、拝跪している割に畏まってもいない自然体だ。
いきり立っている陛下の方が、矮小に見えるくらい平然としている。
脇で小さくなって控えていえるドミニク達といい、どういう状況なのか皆目解らない。
側にいた精霊達に尋ねれば、嬉々として教えてくれるのは良いのだが、断片情報で判然としないのが難点で、繋ぎ合わせるのに苦労するのだ。
なんとか理解できた事によれば、どうも陛下が昼過ぎに訪問したがったのを、ドミニクが止めたのだが、逆に不審がられた結果が現状のようだ。
「全く、ドミニクは腹芸が相変わらず下手ですね」
態とらしさ満載の言動を披露するよりも、いっそのこと沈黙を通した方がマシだが、制止するのには最低限理由が必要だ。
その場にブランディアかリラティスが居れば、上手く煙に撒いただろうが、そう都合良くはいかない。
結界の外では、依然陛下が八つ当たりして気炎を吐いている。
論点も大幅にずれてきているが、その辺りはアルフレッドの誘導だ。
アルフレッドは、寧ろ陛下で遊んでいるようで、目が楽しげな光を放っている。
横で控えているグレンが、察したようで微妙に腰が引けている。
どうやらかなり機嫌が悪いようだと、観ていた此方も口元がピクリと引き攣った。
やはり、あの場でグレンにのみ伝えたのは不味かったようだ。
序でとばかりに、精霊達もこの3日間の様子を口々に言い募ってくれるが、知ったことを後悔したくなる。
アルフレッドは、完全にキレている…。
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