傍観者を希望

静流

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「ランはご存知ですか?」

「へ?花がどうかしたのか」

急に声をかけられ、珍回答を返してくる。

「ですから、「ラン」を知っているかと聞いているんです」

念の為に、再度確認したのだが、馬鹿にしたような顔を見せた。

「生憎と花には詳しくないが、蘭は誰でも知ってるだろ。それが何だって言うんだ?」

その段になって、漸く他の面々も、不審そうにロバートを見ている。

「グレン。顔見知りのようだが、いつ配置換えがあったんだ?」

「え。…あれ?アルフは覚えてますか」

「そう言われると、記憶にないですね…」

2人して顔を見合わせているが、当のロバートは顔色が悪い。

「では、選考理由は何だ?私には、甚だ疑問だがな」

「そう…ですね。お調子者で口が悪いで有名?」
「おや、奇遇ですね。私も、同じ評価が浮かびました。が、あり得ませんね」

一気に冷やかさが増し、グレンは本格的に締め上げ、跪かせた。

「一体どういうことなのか、説明願えますか?自称ロバートさん」

「セイ様、何かご存知ですか?」

ほぼ同時に口火を切ったが、それぞれ相手が違う。
ロバートは唇を噛みしめ、だんまりを決め込んでいる。

「悪いが、何も知らない。だが、その制服はランの所だった筈だ。どうも、それ自体が嘘のようだが…。アルフ、サムは何処に行ったんだ?」

「私も、何が何だか解りかねます。…サムは、ここ何日か見てません」

顔を顰め、自信なさげに報告してくる。
義兄も可笑しかったが、何やら周りが意図的に記憶を操作されているようで、気持ちが悪くなる。

「ドミニク。一応聞くが、この者を知っていたか?」

「質問の意図が解りませんが…、この無礼者に見覚えはありません。セイ様、どういう事ですか?」

眉根を寄せて否定し、我慢の限界とばかりに迫ってくる。

「まあ、見ての通りとしか言えません。どうも、記憶操作の得意な方がいるようです」

迫られたところで、応えようがなく、肩を竦め戯けて見せた。

「何を暢気なことを言っているんです!」

短気なのは相変わらずの様で、熱り立っている。

「そうは言っても、意図がまだ見えない以上は、下手に動いても仕方ないでしょう?」

軽く応じつつ、下の詰所にいるライトに転移を命じていた。

「セイ様、ご命令通りに来ましたが、良かったんですか?」

ライトが困惑顔で確認してくる。
転移が問題なのは、前回で身に染みているのがよく判る反応だ。

「ああ、問題ない。と言いたいが、数分後には陛下が来るよ」

頷きながらも悪戯っぽく笑えば、ライトの顔が引き攣っている。

「って、もしかしなくても、許可を得てないですよね?」

「ああ、そんな余裕はないな。今さっき目覚めたばかりでね」

肩を竦めて応じれば、顔面蒼白になっている。
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