傍観者を希望

静流

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「それならば、明日からこの宮で勤務させれば、多少は安心するのか?」

「それはそれで急では?薬師塔にも迷惑をかけます」

「その辺は、問題ないと思うが…そうやって引き延ばすから、先に進まないのではないか?」

もっともらしく、反論するが、結局は拒絶反応が根底にある。
指摘すれば、言葉を詰まらせる辺りが、答えになっていた。

「アルフ。一度応じた事を、拒否している時点で、分が悪いのです。セイ様の選択に、従う方が良いのでは?」

グレンは、どこか達観した様に、アルフレッドを諌めている。
それに本来ならば、側仕えの意向を、聞く必要はないのだ。

「グレンは、それでいいのですか?」

「良いも悪いも…セイ様の指示に従うまでです。それが本分でしょう?」

「グレンに言われては、私も形なしですね。セイ様。ライト達も、此処に住み込みでしょうか?」

2人のやり取りを、傍観していると、急に話を振られた。
どうやら、踏ん切りがついたようだと、ホッと一息漏らす。

「確認は取ってないが…現在も薬師塔の寮住まいなら、そう考えて問題ないだろう」

「では、部屋の準備を急ぎ手配します。グレン、後は頼みます」

アルフレッドは、慌しく退がって行き、グレンが残される。

念の為に、ライに確認の手紙を書き、遊びに来ていた精霊に託す。
一連の流れを見ていたグレンから、唖然とされたが、正規の手段では時間が掛かり、間に合わない。

実際、直接本人に届く分だけ、返事が早いのだ。
相手には迷惑だろうが、本当の急ぎ以外には用いていないからか、苦情を言われた事はなかった。

「ああ、返事が来たようだ」

先程の精霊が、手紙を持って帰って来ている。
何やら、ご機嫌な顔をしていて、ライに何か貰ったようだった。

「ご苦労様。お菓子か、魔力どっちが良いかな?」

「…」

「お菓子が良いのか?好きな物を選んでいいよ」

お菓子の皿を差し出せば、目を輝かせながら、真剣に吟味している。
これまたグレンからは、溜息の気配がしていた。
精霊が好むのが、甘いお菓子なのだが、どうも私が好きだと思い込んでいたようだ。

「グレン。ライトたちは、明日からで構わないようだ。後でアルフにも伝えて置くが、そのつもりでよろしく頼む」

「畏まりました。それでは、明日から此方で住み込みに?」

「その辺は、此方の都合に合わせるそうだ。アルフの手配次第だな」

頷きながら、精霊が幸せそうに頬張る様子を眺めていた。
本当に、よくまあそんなに甘いお菓子が、入るものだと思うが、自分の体より大きなお菓子を啄む様子は、微笑ましいほど必死だ。
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