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「他の者なら、何の為に選んだんだ、と疑惑を抱かれるな」
「単に才能を惜しんだ結果で、他意はありませんが?第一、ドミニクに悪意を持ってません」
「むろん、そうだろう。セイ殿にとっては、何の利点もないからな」
陛下は、頭痛がするようで、頭を押さえている。
それほど妙な事を、言ったつもりはないのだが…陛下の意向を、故意にはぐらかしているので、余計に反応に注視していた。
「陛下。どれほど禁足すればいいのですか?」
「最短で1週間だが、…2週間前後が妥当なところだ」
「そう…ですか。では、急ぎ手配をお願い致します」
暗に、早急に戻れと言っているようなものだ。
無駄な討論に、時間を費やす事を、苛立っているのだろう。
「そうですね。グレンのいう通りです。陛下、お急ぎ下さい」
アルフレッドも、一緒になって送り出そうとしている。
露骨な対応に、陛下は目を白黒させていたが、次第に呆れ顔になっていた。
「そこまで慌てるのは、セイ殿の予定が関係しているのか?」
「そのようです。丁度、1週間後に約束がありますから、その所為でしょうね」
「成程な。大国を警戒するなら、かえって安心だと思わないのか?それとも、自尊心の方が優先か?」
陛下の棘を含んだ言葉に、アルフレッドが渋面になっている。
だが、反論はなく、黙り込んでしまった。
「優先順位は、セイ様の安全が第一ですが、ご指摘のように、剣を持つ者の矜持もあります。何より、長年仕えた我らより信頼されてるようで、釈然としないのです」
代わりにグレンが、珍しく自己主張してくる。
不満の理由が、嫉妬だと判ったが、今後同僚になるのに、今からそれでは先が思いやられる。
「グレン、ライトは私の侍従だ。信頼もしない者を、側に置くはずがないだろう?」
どちらが上だとか関係ないと、呆れ混じりに返せば、押し黙ってしまう。
2人揃って、頭では理解しているようなのだが、心情は別のようだ。
「セイ殿も、主人日和に尽きるな」
「陛下。揶揄うのは勝手ですが、飛び火しますよ?」
「いや、それは御免被る。取り敢えず、戻って手配して置くから、後はゆっくり話し合ってくれ」
自分の方に、火の粉が飛ばぬよう、早急に言い置いて去って行く。
逃げ足の速さには、呆気に取られたが、微妙に空気が白け、苦情を言い立ててくる雰囲気は霧散した。
「セイ様。我らにも、少々時間が必要なのです。その辺は、ご理解いただけませんか?」
「心の準備が、出来ていないと言われてもな…。では、いつなら良いのかとなるぞ?」
「それも重々承知しています。ですが、こう急ですと何とも…」
アルフレッドが、肩を竦め首を振っている。
言葉以上に、雄弁に心情を表していた。
「単に才能を惜しんだ結果で、他意はありませんが?第一、ドミニクに悪意を持ってません」
「むろん、そうだろう。セイ殿にとっては、何の利点もないからな」
陛下は、頭痛がするようで、頭を押さえている。
それほど妙な事を、言ったつもりはないのだが…陛下の意向を、故意にはぐらかしているので、余計に反応に注視していた。
「陛下。どれほど禁足すればいいのですか?」
「最短で1週間だが、…2週間前後が妥当なところだ」
「そう…ですか。では、急ぎ手配をお願い致します」
暗に、早急に戻れと言っているようなものだ。
無駄な討論に、時間を費やす事を、苛立っているのだろう。
「そうですね。グレンのいう通りです。陛下、お急ぎ下さい」
アルフレッドも、一緒になって送り出そうとしている。
露骨な対応に、陛下は目を白黒させていたが、次第に呆れ顔になっていた。
「そこまで慌てるのは、セイ殿の予定が関係しているのか?」
「そのようです。丁度、1週間後に約束がありますから、その所為でしょうね」
「成程な。大国を警戒するなら、かえって安心だと思わないのか?それとも、自尊心の方が優先か?」
陛下の棘を含んだ言葉に、アルフレッドが渋面になっている。
だが、反論はなく、黙り込んでしまった。
「優先順位は、セイ様の安全が第一ですが、ご指摘のように、剣を持つ者の矜持もあります。何より、長年仕えた我らより信頼されてるようで、釈然としないのです」
代わりにグレンが、珍しく自己主張してくる。
不満の理由が、嫉妬だと判ったが、今後同僚になるのに、今からそれでは先が思いやられる。
「グレン、ライトは私の侍従だ。信頼もしない者を、側に置くはずがないだろう?」
どちらが上だとか関係ないと、呆れ混じりに返せば、押し黙ってしまう。
2人揃って、頭では理解しているようなのだが、心情は別のようだ。
「セイ殿も、主人日和に尽きるな」
「陛下。揶揄うのは勝手ですが、飛び火しますよ?」
「いや、それは御免被る。取り敢えず、戻って手配して置くから、後はゆっくり話し合ってくれ」
自分の方に、火の粉が飛ばぬよう、早急に言い置いて去って行く。
逃げ足の速さには、呆気に取られたが、微妙に空気が白け、苦情を言い立ててくる雰囲気は霧散した。
「セイ様。我らにも、少々時間が必要なのです。その辺は、ご理解いただけませんか?」
「心の準備が、出来ていないと言われてもな…。では、いつなら良いのかとなるぞ?」
「それも重々承知しています。ですが、こう急ですと何とも…」
アルフレッドが、肩を竦め首を振っている。
言葉以上に、雄弁に心情を表していた。
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