傍観者を希望

静流

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「騙されていると信じていたからですよ。バレていると解っていたら、とてもやってられません。私には、道化師の趣味はありませんからね」

「そこまで卑下する事もない、と思うがな」

「セイ様にだけは言われたくありません」

プイッと外方を向かれてしまうが、先程までとは雰囲気も違い、単なるリアクションとしてやっている感じだ。

「それで、実際のところどうしたい?」

「猶予期間を頂けるのでしょう?ゆっくりと再検討させて貰います」

ニッコリと態とらしく返され、意趣返しかと嘆息する事になった。
こちらにも非があるが、個人的な問題ではないという考慮はしてくれないようだ。

「まあ、確かにそう言いましたが…。揚げ足を取るなんて、大人気ないですよ」

「長々と無駄な努力をしたのですから、代償としては可愛いくらいです」

「それって開き直っただけで、私の所為でもないですよね?」

「そうですよね…、でも、何となく誰かにあたりたいと言いますか、責任転嫁したい気分なのかも?」

「かも?って可愛いらしく言われても、納得できかねますよ」

誤魔化すような対応に、文句を言えば笑って流そうとされる。
こうなると、老獪さを隠そうともしないで、余計にタチが悪い感じだ。

「突然の来訪で申し訳ありません。ライカが、ご迷惑をお掛けしました」

話に気を取られて、ライの来訪に気付かなかった。

突如声を掛けられた状態で、一瞬ギョッと驚き、反射的に振り返る。
ライの姿を認め、肩の力を抜いたが、グレンも迎えに出てない。

何処から入ったのだ、と眉根を寄せることになるが、悪るびない態度のライに元凶の要素を見つけた気がした。

「ライ。表玄関から入るのが、最低限の礼儀だと知らないのか?」

「私は客ではなく、単に引き取りに来ただけです。歓待されても困りますし、合わせる顔もないですからね。ライカの暴走は、私の落ち度であり、管理不行届と責められても仕方がないレベルだと理解してます」

そう言った後に、深々と頭を下げてくる。
この行為が最も嫌いだと知っていて、敢えてしてくる方に苛立つが、それを踏まえても、責任者としては謝罪をするしかないのだろう。

不本意な行為にも関わらず、頭を上げる気配すらなく、ひたすら下げ続けている。

ライカは、最初こそ唖然としていたが、いそいそと横に並び、同様に頭を下げた。

気配に気付いてグレンもやって来ていたが、その光景を観て退がって行く。
それを見届けて、ライ達に頭を上げるよう促した。



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