289 / 292
289
しおりを挟む
「いい加減に頭を上げてくれないか?私が怒ってないのは、知っている筈だ」
「もちろん承知しています。ですが、それとコレは話が別ですし、セイ様も理解してるのでしょう?」
グレンに態と目撃させたことなら、お互い様だと思うが、ライの意図を汲んだのは確かだ。
謝罪をしたという事実が必要だったのだが、茶番劇に付き合わされたようで、溜息しか出ない。
「話が見えないんですが、どういう事ですか?」
ライに倣って頭を上げていたライカは、怪訝そうに観てくる。
ここで説明したら、墓穴を掘りそうだと目配せすれば、ライは苦笑いを浮かべ頷いた。
「ライカ、貴方は少し黙っていなさい。事態を悪化させたくないでしょう?」
「ライトにも、一応釘は刺して置いて」
「既に、そちらは対処済みです」
「手回しはいいが、今回のような事態は2度と御免願いたいよ」
「それも重々承知してます。よくよく説明しておきます」
言い聞かせると言わない点が、精霊らしい反応だった。
だが、それだけにアルフレッドの管理下で、やっていけるのかと不安にもなる。
「ライトは、現状を把握して来るだろうが、大丈夫だと思うか?」
「何を懸念しているのですか?」
「束縛を嫌うだろうからな…雁字搦めでは、早々に辞めないか?」
割と自由だが、それでも決まり事は多い。
薬師塔のような自由さは、此処では味わえないだろうと漏らせば、呆れた顔をされた。
「その程度のことは、充分検討済みですよ。文句を言うようなら、読みが甘いと言えばいいんです」
「そうは思うが…頭で思い描くのと、実際は別だろう?」
「あまり疑っては、ライトが拗ねますよ。気に入ったから、声を掛けられたのでしょう?」
「ああ、ライト達なら側に置きたいと、思ったのは確かだよ」
「では、信頼してあげて下さい。だいたい、セイ様のお眼鏡にかなう者を、探す方が困難ですからね?」
妙な言い方をされて眉を顰めたが、実際のところ中々いないのは分かっている。
今まで出会った中で、側に居ても構わないと感じた者は、五っしの指にも満たない。
精霊王達ですら、押し掛けて粘り続けた結果、私が根負けし受け入れたのだ。
拒絶し悪態を吐いたのに、和かに世話を焼かれては、絆されない方がおかしい気がする。要は、精霊王達の戦略勝ちだったのだが、誤算は契約が成人後とした点だった。
「また恨み節か?ちゃんと、成人後には契約すると言っているだろ」
「ええ、そうですね。我らは条件付きで、長々と保留状態ですが」
「一切束縛するような事はしてないのに、文句を言われては筋違いだと思うがな」
「心変わりを想定していた方に、言われたくはありません」
束縛を嫌う相手に、保留という自由を約束したのを理解しているから、拗ねるくらいしか出来ないのが、余計に面白くないようだ。
「もちろん承知しています。ですが、それとコレは話が別ですし、セイ様も理解してるのでしょう?」
グレンに態と目撃させたことなら、お互い様だと思うが、ライの意図を汲んだのは確かだ。
謝罪をしたという事実が必要だったのだが、茶番劇に付き合わされたようで、溜息しか出ない。
「話が見えないんですが、どういう事ですか?」
ライに倣って頭を上げていたライカは、怪訝そうに観てくる。
ここで説明したら、墓穴を掘りそうだと目配せすれば、ライは苦笑いを浮かべ頷いた。
「ライカ、貴方は少し黙っていなさい。事態を悪化させたくないでしょう?」
「ライトにも、一応釘は刺して置いて」
「既に、そちらは対処済みです」
「手回しはいいが、今回のような事態は2度と御免願いたいよ」
「それも重々承知してます。よくよく説明しておきます」
言い聞かせると言わない点が、精霊らしい反応だった。
だが、それだけにアルフレッドの管理下で、やっていけるのかと不安にもなる。
「ライトは、現状を把握して来るだろうが、大丈夫だと思うか?」
「何を懸念しているのですか?」
「束縛を嫌うだろうからな…雁字搦めでは、早々に辞めないか?」
割と自由だが、それでも決まり事は多い。
薬師塔のような自由さは、此処では味わえないだろうと漏らせば、呆れた顔をされた。
「その程度のことは、充分検討済みですよ。文句を言うようなら、読みが甘いと言えばいいんです」
「そうは思うが…頭で思い描くのと、実際は別だろう?」
「あまり疑っては、ライトが拗ねますよ。気に入ったから、声を掛けられたのでしょう?」
「ああ、ライト達なら側に置きたいと、思ったのは確かだよ」
「では、信頼してあげて下さい。だいたい、セイ様のお眼鏡にかなう者を、探す方が困難ですからね?」
妙な言い方をされて眉を顰めたが、実際のところ中々いないのは分かっている。
今まで出会った中で、側に居ても構わないと感じた者は、五っしの指にも満たない。
精霊王達ですら、押し掛けて粘り続けた結果、私が根負けし受け入れたのだ。
拒絶し悪態を吐いたのに、和かに世話を焼かれては、絆されない方がおかしい気がする。要は、精霊王達の戦略勝ちだったのだが、誤算は契約が成人後とした点だった。
「また恨み節か?ちゃんと、成人後には契約すると言っているだろ」
「ええ、そうですね。我らは条件付きで、長々と保留状態ですが」
「一切束縛するような事はしてないのに、文句を言われては筋違いだと思うがな」
「心変わりを想定していた方に、言われたくはありません」
束縛を嫌う相手に、保留という自由を約束したのを理解しているから、拗ねるくらいしか出来ないのが、余計に面白くないようだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる