スライムといっしょにのんびり冒険記

蘭片

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5話、拠点

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僕はお姉さんに印をつけてもらった地図を手に宿を探す。

「あった、こんな路地裏に入口があるなんて見つからないわけだよ」

宿に入ろうとしたその時、悲鳴のような声が聞こえたような気がした、と思ったら。

(「誰でもいいから助けて!」)

念話が発動する。若い女性の声だ、僕は一目散に駆けつける。
大柄の男が壁に女性を追いやり、左手で口をやり塞いで、右手でナイフを服に押さえつけてる。

「な、なにをしているんだ!」

大柄の男はゆっくりこちらを向く

「あん?俺はこのねーちゃんに用があんだよ、ひっこん…で…な…」

僕の頭の上に視線が向く。

「ポ、ポイズンスライム!?う、うわーー!!」

大柄の男は尻餅を突き、這いつくばるように移動して逃げていく。
お、おう、そこまでの事かね?こんなに可愛いのに、僕はテトを片手で撫でると、涙ぐんでいる女性が話しかけてくる。

「助けてくれて、ありがとうございます。その…良かったらお礼さしてください!私の家すぐそこなので」

「あ、いや、気にしないで、何にもしてないし」

僕はさっきの宿に戻り、驚かせないようにテトを鞄の中に入れ店に入る。

「いらっしゃい、宿泊かい?一泊銀貨4枚だよ」

40代くらいの大柄の女性が勘定台から声をかけてくる。

銀貨4枚か、宿の平均額は銀貨2枚~4枚、ここはちょっとお高めのようだ、今僕が持ってる所持金が銀貨11枚2日しか泊まれない。今から稼ぐとしても今日登録してきたばかりの冒険者が1日にどれくらい稼げるだろうか。他の場所を当たろう、僕は会釈をして、出て行こうとすと、玄関の戸が開きさっきの女性が入ってくる。

「お母さんただい…ま。あ、さっきの、うちのお客さんだったの?」

僕は首を横に降る。

「違うよ、ちょっと予算がね」

うん、見栄を張った、ちょっとじゃない、これから王都に住むなら2日じゃ3日目にして里帰りだ。
僕は女性の隣を抜け外に出ようとする。

「待って!」

女性は僕の腕を掴み宿の中に戻す。

「お母さん、さっきねこの人に私が襲われてる所を助けてもらったの!宿泊代ちょっと安くできない?」

「そうかい、そりゃあお礼をしないとね、そこのあんた銀貨2枚でいいよ、どうする?」

まさかの半額にしてくれた。僕は二つ返事で了承する。

「じゃあ、あんたの部屋は205号室、二階の一番端さね うちは朝と晩、飯が出るからいい時間になったら声かけな、それと風呂は外に出て右に真っ直ぐ行くと銭湯があるから、この木札を持って行きな半額にしてくれるよ」

と言って鍵と一緒に木札をくれる。

「では改めて、いらっしゃいませお客様、私の名前はアリア、15歳、看板娘やってます!」

へへーんと軽いドヤ顔をすると頭を叩かれる。

「早く部屋に案内しておやり、うちには立ってるだけの看板娘なんていらないよ」

ぶーぶー、と口を膨らませ、文句を言っている。

「おまたせ、じゃあついてきて、そういえばお名前は?」

「僕の名前はユートでこっちがテト」

僕は鞄の中からテトを出し紹介する。

「あら、あんた魔物使いだったのかい、なら1匹銅貨5枚だよ飯も付くから安心しな、ってポ、ポポポ、ポイズンスライム!? す、すまないね、あー、その、ちゃんと契約してるんだね?」

「大丈夫です!人懐っこいですよ、あと、はい銅貨5枚」

「お母さん、ポイズンスライムってなに?さっきの人も驚いていたけど」

「はぁ…あとで教えてやるから、早く案内しておやり」

「はーい、じゃあ行こうかユート君、テト」

僕は案内された部屋に入ると鞄を置き、寝台に横たわる。
馬車の移動に疲れていたのか、歩き疲れたのか、僕は夕食も食べずに寝てしまった。

「おはよう、えっと、大丈夫なんだよね?」

アリアがよそよそしく挨拶してくる。もちろん僕にではなく頭の上のテトに。

「おはよう、大丈夫だよ。なんなら撫でてみる?」

((おはようなんだよー))

「よしよし挨拶できたな、偉いぞー」

テトを頭から下ろし撫でくりまわす。

「ふふふ、仲がいんだね。待ってて今朝食持ってくるから。そういえばテトは、なにを食べるの?」

「さぁ?毒とか肉?ねぇテト、なにが食べたい?」

((久しぶりに草が食べたいんだよー))

「草だって」

「わかった草ね、お父さんに言ってくる」

僕たちは朝食を済ませ冒険署に来ている。
あ、尻餅のお姉さん。

「おはようございます!」

「あらユート君いらっしゃい、今日は初依頼ね頑張ってね」

お姉さんは両手でガッツポーズを取ると依頼を見せてくれる。

「やっぱり最初は薬草集めがいいんじゃないかしら、近くの森だと推奨得点も要らないし」

「すいません、推奨得点ってなんですか?」

「え?あぁ、そういえば説明の途中でしたね。では改めて、冒険証に赤、緑、茶、白の枠があるのが分かりますね。それは推奨得点と言って、依頼を達成する事で増えます。赤は討伐、緑は採取、茶は護衛、白は3つのどれにも適さない依頼」

お姉さんは説明の途中で一枚の羊革紙を出し見せてくれる。

「そして、依頼書には種類と難易度によって数字が書かれているので、それを見て依頼を受けてくださいね。もちろん自分の得点以上のものは受けられませんから」

お姉さんはもう1枚依頼書を出す。

「そして、こちらが推奨得点のいらない依頼になります」

依頼内容はポプカル草の採取20本
僕はそれを受け取り冒険署をでる。

「ありがとうございます。早速行ってきます!」
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