スライムといっしょにのんびり冒険記

蘭片

文字の大きさ
6 / 7

6話、初依頼

しおりを挟む
僕はテトと王都を出てすぐの森に来ていた。
初依頼のポプカル草を20本探すためだ。

「テト、僕たちが出会った時、僕が持ってた草覚えてる?」

((食べればわかるんだよ!))

「よし、じゃあ勝負だテト!時間は太陽が真上に上がるまで、一応念話で終了を知らせるけど時間になったらここに来てね」

太陽の位置はあと3時間ほどで真上に来るだろう。
僕たちは用意ドン!の合図で左右に分かれ、テトには大きめの竹籠を渡して、同じくらいの大きさの鞄を僕が持ってる。
ポプカル草は太陽が当たる何もない所で生えやすい。
王都の農業区で生産されてはいるが、うまくいってないらしい。
失敗したポプカル草は茶葉になってよく売られている。

「そろそろ時間だな、テトに知らせるか」

体を反り返し、背伸びをする。
テトに念話を送り、切り株に座って待つ。
鳥の囁き、木々の合間を縫って柔らかい風が吹く。

「あぁ…いい天気だ」

空を見上げ目を閉じゆったりとした時間が流れる。
突然顔面に何か重いものが乗る。

((ただいまなんだよー))

テト… 上むいてる時に乗るのはやめよ?息できないから。
気を取り直して。

「さて、どっちが多く取ってきたかな?」

鞄をひっくり返し地面に出し、テトが持ってきたポプカル草と見比べる。
僕が36本、テトが41本。
しかしテトのポプカル草は全部葉が1枚づつ無くなってる。
新芽の部分さえ大丈夫なら問題ないか。

((僕の勝ちなんだよ!))

「負けたかぁ仕方ない、テト今日お昼は何が食べたい?好きなもの食べていいよ」

((甘いのが食べたいんだよ!))

甘いものか、果物とかでいいのかな?
僕たちは王都に帰り、赤いリンの実を食べながら(テトは溶かしながら)屋台を回る。

((次は、あれが食べたいんだよ!))

紫色の実、アケビンだったかな?中央から割って、中の白い綿みたいなのを食べる実だ。
そうこうしているうちにお腹は膨れ、冒険署につく。

「おかえりなさい、ユート君ポプカル草は見つかった?」

台の上に竹籠と鞄を置く。

「テトと勝負してたらこんなになっちゃいました」

((僕が勝ったんだよ!))

「あらあら、じゃあ数えさせてもらうね」

お姉さんが一個一個丁寧に教えていく。

「合計で77本ね、達成おめでとうございます。冒険証を渡してくれる?」

冒険証を渡すと緑の枠の数字が3に変わって帰ってくる。
それと同時に17本のポプカル草と銀貨1枚銅貨5枚が台の上に置かれた

「こっちが今回の報酬ね、依頼外のポプカル草はどうする?こちらが買い取ってもいいけど依頼外となるとすっごい安くなっちゃうけど」

「大丈夫です。買い取ってください」

銅貨2枚が台の上に置かれる。

「本当は10本で1枚だけど初依頼だからお姉さんがおまけしてあげる。あと採取依頼は持ってきた量によって得点は一度である程度まではもらえるけど、討伐や護衛は絶対に1づつしか上がらないからね。もちろん採取依頼でも一度に沢山得点を上げれないものもあるからよく依頼書を読むんだよ」

お姉さんにお礼を言って、冒険署を出ようとしたらテトが頭を叩く

((僕も魔力測ってみたいんだよ!))

僕は魔力表示板を見る

「そういえば僕、魔法が使えるんだっけ」

お姉さんのところに戻り魔力測定紙を貰おうとする

「あら?ユート君昨日計らなかった?」

「いえ、僕ではなくテトが測りたいって言ってて」

((ユートに負けないんだよ!))

テトは頭の上でぴょんぴょん跳ねる。

「ふふ、じゃあテトちゃんは初めてだから無料だね」

お姉さんは魔力測定紙を渡して説明を続ける。

「魔物は魔力の塊みたいなものだから触るだけで大丈夫よ」

テトが紙に触れると真っ黒に変わった。

「さ、さすがポイズンスライムね、こんなに真っ黒に変わった紙、見たことない…」

「よかったねテト、じゃあついでに初級魔法書も読んでいこうか」

「冒険署裏に訓練所があるから試したい時はそっちに移動してね、他の人に迷惑かけちゃだめよ」

僕は初級魔法書を読み耽る。なるほど具体的に想像するのが大事なのか、名前をつけて想像しやすくするのも有効と。

「テト!訓練所に行ってみようか」

((おー!毒の霧覚えるんだよー!))

「え… あ、いや、まぁ大丈夫かな?多分…」

僕たちは訓練所に着きなるべく他の人たちと離れて練習する。
もしテトが毒の霧を成功させたら怖いからね。

「テトまず水魔法から覚えようか」

((いやー!どーくーがいいんだよー!))

「お願い本当にお願い!」

((ぶー…わかったんだよ))

大丈夫だよね?信用してるよ?
よし!じゃあ僕もやっていこうかな。まずは炎を投げる感じで…

「ふん!」

うん、でない!次!
魔法は人にも適性があるらしく何も起きなかったら使えないらしい。だからどんどん行ってみよう!

「やあ!」 「はっ!」 「てあ!」………

あらかた、魔法書に書いてあった属性は試してみた。
どうやら僕には土の属性が一番よく使えるみたいだ。
次に水、多分これはテトとの魔力交換の効果だと思う。
そしてテトは…龍のような毒の霧を自由自在に操っていた。

((ユート!見て見て!毒の龍なんだよー!))

訓練所にいた人たちが自分の訓練も忘れ空を見上げている。

よし、逃げるか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする

藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。 そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。 派手な魔法も、奇跡も起こさない。 彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、 魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。 代わりはいくらでもいる。 そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。 魔法は暴走し、結界は歪み、 国は自分たちが何に守られていたのかを知る。 これは、 魔法を使わなかった魔術師が、 最後まで何もせずに証明した話。 ※主人公は一切振り返りません。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

処理中です...