長編小説

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第19巻 干し柿を売る男

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干し柿を売る男
第19巻
男はいつも仕事に行く、そう、男はいつも仕事に行く。毎日起きたら仕事に行き寝たらまた仕事に行く。男は何も変わらない日々を過ごしていた。男はこの人生がつまらなかった。いつも変わらない日常、世界は何か変わってくれないかと漠然と考えていた。ある日男はいつもと違う道で仕事に向かうことにした。男は少しだけ冒険に出た、冒険に出たといっても本当に少し遠回りして仕事に向かっただけだ。そしたらある日遠回りした道の一つで、干し柿を売っている男を見つけた。男はその日は買うのを躊躇った。だが次の日またその道で仕事に向かい、そこで男はそこで干し柿を買った。そして仕事に行く途中でそれを食べた、正直言おう、美味かった。男はそれから毎日そこで干し柿を買うようになった、男はそうしてもう2年が経った、男は常連になっていた、もう男とは仲が良く毎回くだらない話をしている、男は干し柿を買ってからというもの、何故か何事にも活力が湧いた。仕事に打ち込み、趣味を見つけた、小説を書くことだった。その男の小説は今では評判が良く特定の界隈では有名なっていた。男は人生が楽しくなった、毎日が楽しい日々に変わった。これは干し柿の効能だろうか、男は毎日干し柿を買った。そしてある日同じ干し柿を買う女性に会った。その女性も干し柿を買うまで人生がつまらなかったらしい。男は自分と同じような女性に一目惚れをした。男は女性と色々な話をした。それから2年経った、男は思い切って女性を食事に誘った、女性はいいよ、と答えた。男は女性と付き合うことができた。1週間に一度食事に行く感じだ。男は幸せだった。だが人生とは上手く行かない、女性には好きな人が出来た、それはいつも干し柿を売っている男だった。男は悲しみに暮れ、自暴自棄になった。だが男はその思いを小説にした。男は傑作を書いた、それは皆絶賛するほどの作品が出来た。男はインタビューを受けた、そしてこう言った。私はある出会いでここまで良い作品が出来ました。私はその出会いに感謝しています。ええ、そうですね、とても感謝しています。男は少し言葉が詰まったが、そお言った。そこによく知っている女性がいた、だが女性は1人だった。そう1人だった。女性は悲しみながらも嬉しさの拍手をした。男のインタビューが終わった。男はその表情を知っていた。そう別れの言葉、「他に好きな人が出来たもう別れようさようなら」を言った後の表情であった。男はそこで初めて理解したこの全ての物語の意味が、それは男が小説家であったからなのかもしれない。だが確かなことは言える、それがわかるのはその男と女だけだった。男は女を探した。探し回った。だがしかし女性の姿はもうそこにはなかった。男は全てを理解した。
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