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序盤
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私は女性ながら騎士として働いてる。
秘密にしているわけではないが、
身長が170ちょっとに加えて、鍛えているため女にしては肩もがっしりとしており、ヘイゼルという中性的な名前も相まって、ほとんどの団員達には男と思われている。
胸は残念な事にあまり成長しなかった。
おかげで胸をサラシでぎゅうぎゅう抑えつける手間も不要。時々虚しくはなる。
女性の騎士もかなり少数だか、在籍している。
騎士団は男所帯なので、男と勘違いされた方が何かと、都合がいいのでそのままにしている。
顔はそこそこ見れる顔なので、女性からキャーキャー言われ、これが案外楽しい。
しかし、職場には私よりも綺麗な方がいる。
第2騎士団の団長のメルフィス団長だ。帝国に3つしかない公爵家の当主で、とても見目麗しい方だ。
無表情でまるで人形のようだが、
偉ぶったところが無く、とても部下思いで団員たちからはとても慕われている。
私は、そんな団長のもとで秘書の役割をしている。
ご令嬢達の間では、メルフィス団長と私が並んだ姿は絵画のようと言われているが、恐れ多い。
朝の日課のコーヒーを淹れ、団長のデスクへ向かう。
「おはようございます。
本日は次の遠征について15時から会議があります。
予算については書類にまとめていますので、確認してください」
とコーヒーともに書類を団長へ手渡す。
団長は一瞬だけ視線を上げ、書類を受け取った。
無造作にめくるのではなく、まるで本のページをめくるように静かに、しかし正確に。
「いつもご苦労様。ヘイゼルは仕事が早くて助かるよ」
声は低く、抑揚が少ない。カップを持つ手も、陶器の表面をそっと撫でるように持ち、音一つ立てない。
「いえ、とんでもないです」
と答えて自分の席へ戻り、業務に専念する。
団長室の中は手前に秘書の私が仕事をするスペースがあり、奥に団長の執務室、更には仮眠用にベッドルームがある。
仕事に集中していると昼を知らせる鐘がなった。
団長の執務室のドアをノックして、団長に食堂で昼ご飯を食べてくる事を告げる。
食堂に向かい、日替わりランチを持って席を探していると、同僚のリュートが手招きしていたので、有り難く横に座らせてもらった。
「なあ、ヘイゼルは団長と仕事していて、ときめいたりしないのか?」
「何度も言っているが、綺麗な顔だとは思うが、
そんな対象として見てない」
「えーでも、一応お前女じゃん」と小声で囁かれた。
「上司として尊敬しているが、そもそも恋とかそういった類いの事はあまり分からない」
「ふーん。まあお前苦労しているもんな」
リュートの言葉に父親の顔が浮かんだ。
男爵の地位は一台限り、剣の腕だけで生きてきた父は、私が13歳の時に他界した。
母も幼い頃に失い、残されたのは父が教えてくれた剣技だけ。
恋をする暇なんてなかった。生きるために、見習いとして騎士団に潜り込み、がむしゃらに働いてきた。
あの頃の自分を思えば、今のむさ苦しい第2騎士団での日々も悪くない。
「まあ、いつか港町でゆっくり暮らすのが夢だよ」とだけ返して、話を締めた。
昼食から戻り、仕事をしていると会議から団長が戻ってきた。
「次の遠征の予定が決まった。
2週間後に出発だから準備をよろしく」
「分かりました」と答え、やる事を頭の中で思い浮かべた。
それから遠征へ出立する日。
今回の遠征は王都から3日ほどの、国境付近の村の森に出没している魔物の退治だ。
そこまで危険度は高くないが、魔物には変わりないので、気が引き締まる。
秘密にしているわけではないが、
身長が170ちょっとに加えて、鍛えているため女にしては肩もがっしりとしており、ヘイゼルという中性的な名前も相まって、ほとんどの団員達には男と思われている。
胸は残念な事にあまり成長しなかった。
おかげで胸をサラシでぎゅうぎゅう抑えつける手間も不要。時々虚しくはなる。
女性の騎士もかなり少数だか、在籍している。
騎士団は男所帯なので、男と勘違いされた方が何かと、都合がいいのでそのままにしている。
顔はそこそこ見れる顔なので、女性からキャーキャー言われ、これが案外楽しい。
しかし、職場には私よりも綺麗な方がいる。
第2騎士団の団長のメルフィス団長だ。帝国に3つしかない公爵家の当主で、とても見目麗しい方だ。
無表情でまるで人形のようだが、
偉ぶったところが無く、とても部下思いで団員たちからはとても慕われている。
私は、そんな団長のもとで秘書の役割をしている。
ご令嬢達の間では、メルフィス団長と私が並んだ姿は絵画のようと言われているが、恐れ多い。
朝の日課のコーヒーを淹れ、団長のデスクへ向かう。
「おはようございます。
本日は次の遠征について15時から会議があります。
予算については書類にまとめていますので、確認してください」
とコーヒーともに書類を団長へ手渡す。
団長は一瞬だけ視線を上げ、書類を受け取った。
無造作にめくるのではなく、まるで本のページをめくるように静かに、しかし正確に。
「いつもご苦労様。ヘイゼルは仕事が早くて助かるよ」
声は低く、抑揚が少ない。カップを持つ手も、陶器の表面をそっと撫でるように持ち、音一つ立てない。
「いえ、とんでもないです」
と答えて自分の席へ戻り、業務に専念する。
団長室の中は手前に秘書の私が仕事をするスペースがあり、奥に団長の執務室、更には仮眠用にベッドルームがある。
仕事に集中していると昼を知らせる鐘がなった。
団長の執務室のドアをノックして、団長に食堂で昼ご飯を食べてくる事を告げる。
食堂に向かい、日替わりランチを持って席を探していると、同僚のリュートが手招きしていたので、有り難く横に座らせてもらった。
「なあ、ヘイゼルは団長と仕事していて、ときめいたりしないのか?」
「何度も言っているが、綺麗な顔だとは思うが、
そんな対象として見てない」
「えーでも、一応お前女じゃん」と小声で囁かれた。
「上司として尊敬しているが、そもそも恋とかそういった類いの事はあまり分からない」
「ふーん。まあお前苦労しているもんな」
リュートの言葉に父親の顔が浮かんだ。
男爵の地位は一台限り、剣の腕だけで生きてきた父は、私が13歳の時に他界した。
母も幼い頃に失い、残されたのは父が教えてくれた剣技だけ。
恋をする暇なんてなかった。生きるために、見習いとして騎士団に潜り込み、がむしゃらに働いてきた。
あの頃の自分を思えば、今のむさ苦しい第2騎士団での日々も悪くない。
「まあ、いつか港町でゆっくり暮らすのが夢だよ」とだけ返して、話を締めた。
昼食から戻り、仕事をしていると会議から団長が戻ってきた。
「次の遠征の予定が決まった。
2週間後に出発だから準備をよろしく」
「分かりました」と答え、やる事を頭の中で思い浮かべた。
それから遠征へ出立する日。
今回の遠征は王都から3日ほどの、国境付近の村の森に出没している魔物の退治だ。
そこまで危険度は高くないが、魔物には変わりないので、気が引き締まる。
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