転生転移転禍為福〜こんなクソゲー作るんじゃなかった⁈〜

やた

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♯20 地獄の晩餐会

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焦った。

マジで焦った。

なんでこういう日に限って問題が次から次へと連鎖するのだろうか。

スティーバがたまにああやってうちに来ることはある。
そして私もそうやって話せる方が楽だから来てもらう分にはこちらとしてもありがたい。

だからスティーバが悪いわけじゃない。

ないけども。

わざわざ今日にイベント集約じゃなくたって良いじゃないか!!
神様意地悪すぎんか?!
いや、私無宗教だし神様頼りに生きている訳じゃ無いけども。


まああれだけの会話でなにかバレるとは思えないが。


でも万が一何があるかなんてわからない。
私が今日やらかしてしまったように。

ついうっかり。
なんてことが。

人間だもの。


でもなんとか乗り切った。

とりあえず乗り切った。


のに。


ナニコレ。

なんでだよ。

今日は厄日か。

そうだな、人生最悪の厄日だな。



私はなぜか滅多に踏み入れない我が家のダイニングルームで、家族全員+α(←エルのこと)と夕食の食卓を囲んでいた。

そしてその食卓はまるで時空の亀裂が生まれ亜空間への扉が開きそうなほど空気が澱み切っていた。

いや、なんならここにいるのが嫌すぎてその亜空間に吸い込まれてこの場から消え去りたいとさえ思う。

ただでさえ私がいると諸々の理由で空気が悪くなるというのに、今日はさらに別ベクトルで空気を澱ませる根源αがセットなのだ。

もうなんと言って良いかわからないほど空気は最悪である。


目の前には客人をもてなすためにいつもよりも豪華な料理が並んでいるが、その空気のせいで全く美味しそうに見えず、なんならカロリーオーバーな気分になって、私は思わずえずきそうになるのを必死に堪えながら、周りの様子を伺った。


私の向かい側には呪い殺しそうなほどの漆黒のブラックホールの様な瞳でエルを睨みつけながら、ぶつぶつと何か呟き皿の上に乗ったステーキをまるで八つ裂きにでもする様にドスドスと力一杯切り刻むルディ。

そして私の左隣にはその視線をもろともせずになぜかお父様に今にも飛びかからんばかりの殺意を向けながら、折れんばかりの力でナイフとフォークを握りしめて食事に一歳手をつけないエル。

そしてそのエルの視線の先であり、エルの向かって左側のテーブルの頭には、その殺意に気づいてるのか気づかないのかわからないがいつも通り不機嫌そうな顔で無言で黙々と料理を口に運ぶ、この亜空間を生み出す元凶を作った父。

そしてその父の向かって左側にはまるで何も見えていないかの様にすました顔で父同様無言でお上品に料理を食べる義理の母親。

そしてそして極め付けは私の斜め右前でそのドス黒い空気の中で一人嬉しそうにキラキラと心象風景のお花を背負いながら「今日はお姉様もいるし、エイトリウス様もいて賑やかでわくわくしますね!毎日これくらい賑やかだと嬉しいのですが!」とど天然をかます麗しき我が妹ミーチェ。

いや。
毎日こんな空気のなかにいたら、病むわ!!
即闇落ちするわ!!
今日にでも魔界に逃げ込んで魔王に縋りつきたい気分だわ!!
そして最悪なクソゲーム本編が進行しちゃうわ!!

というか何この地獄絵図?!

私今日いっぱい運動したしそのあとエルに余計な運動もさせられたし?!
めっちゃお腹すいてたはずなのにこんなんじゃ美味しいご飯が喉も通らないのですが?!

というか。

何、この人たち?!

メンタル構造おかしくないですか?!

今更だけど、うちってなんかおかしい人しか居なくないですか?!

いや、エルもおかしいし、わたしのまわりか?!

やっぱクソゲーだこんなの!!

だれがつくったんだこんなクソゲー!!

まあ、わたしなんだけどな!!

と、心の中で叫びながらわたしは口に運んだ味のしない(ように感じる)高級肉をほとんど噛む気も起きずに喉の奥に押し込んだ。



◇◇◇



なぜこの様な芸術的な地獄絵図が描かれてしまったのかというと。

それはこの地獄の晩餐会が開催されるより30分ほど前の話。


リグがやっとの思いでなんとかスティーバと約束を取り付けて何事もなく別れた後、エイトリウスが急に「家によっていく」と言い出した。

リグとしては昨日のルディの件もあるし、瞬時に最悪な未来が予想できたので、必死に日を改めないかと説得を試みた。
しかしエイトリウスに「契約違反か?それならそれで今日結婚が決まるし俺はそれでも良い」と言われて、今日この後何も予定がなかったリグは秒で負けた。
そしてさっき無理やりにでも理由をつけてスティーバを招き入れるのだったなとリグは若干後悔した。


リグはエイトリウスに促され、渋々門で受付を済ませ庭を通り過ぎて屋敷の前につくと、「少しだけ玄関の外で待ってて?」と、エイトリウスに伝えて自分だけ家の中に入った。

するとその瞬間、いつも通りルディが出迎えと同時にリグに抱きついてきた。

これを予想していたのでリグはエイトリウスを家の前で待たせたのである。

こんなところ、今の機嫌の悪いエイトリウスが見たら大惨事になっていたなとリグは思いながら、ルディにエイトリウスがいることを説明して引き剥がそうとおもった。


その時。


ガチャっと玄関のドアが開く音がした。


リグはまさかと思い慌てて首だけで振り返ると、そこには父とエイトリウスが二人で中に入ってきた姿があった。



オワッタ。



リグはそう思った。


「リグ、彼をこんな時間に外に待たせるなんて…」

父がそう言いながら、客人のエイトリウスの方に向いていた視線を玄関ホールの方に向けると、そこにはリグとルディが抱き合っている姿があった。

その瞬間父は目を見開いて顔面蒼白となり、手に持っていたサイドバックを地面に落とした。

父としては、ルディとリグが仲がいいのは知っていたし、ハグをしたりしているところもたまに見かけていた。

姉弟にしては距離は近いとは思っていたが、ルディもリグもミーチェともよくスキンシップをとっていたので、仲が悪いよりは仲がいい方が、自分がやらかしてしまった手前、心が救われるな、という感じに思っていた。

しかしなぜこんなにも今日は衝撃を受けて固まったのかというと。

父は昼間のリグとルディの距離感が、今日一日中ずっと気になってしまっていたのだ。

リグの熱を帯びた視線が、明らかに弟を見る目ではない様に感じたのである。

そう考え始めると、今まで仲睦まじくて微笑ましく見えていた彼らのスキンシップが、ソウイウコトの様に見えてきてしまい、父はリグが鍛錬に出て行った後も、王城に呼び出されて打ち合わせをしていたときも、淡々と業務をこなしながらもずっとぐるぐると考えてしまっていた。

さらに、そう思い始めると、人間とは不思議なもので、今持っている情報が何でもかんでもそれに集約する様に思えてきてしまうもので、リグがずっとエイトリウスとの婚約破棄を望んでいたことさえも、もしかしたら秘めたる想いのためなのか?!
などと思考が迷走を始め、勝手に形の合わない情報のピースをぱちぱちと無理やりにでも嵌め込んでしまったのだ。


まさに先ほどのエイトリウスの様に。


しかし、そんなこんなで悶々としながら帰ってきたところ、屋敷の敷地内にリグの婚約者であるエイトリウスの馬車を見つけて、そしてドアの前に立っているエイトリウス本人も見つけて、父としては少しホッとしたのである。

あぁ、なんだ、こうやって『毎月の会う日』以外も会ったりして、家に招き入れるくらいには仲がいいのだなと。

自分の早とちりと勘違いかと。
こんな馬鹿馬鹿しいこと、考えるもんじゃないと。

そう思って安心した矢先に目に飛び込んできた映像が先ほどのソレであったので、父は勝手に隙間だらけのいびつな情報パズルの盤面に、最後のピースをはめ込んで衝撃を受けたのだった。

中でこんなことをしているのをバレない様に、外に婚約者を待たせているのか?!と。

これは黒かもしれない!!と。

まあ、所々間違ってはいるが、実際、8割型は正解なのではあるが。

「離れなさい。」

父がリグとルディにどすの利いた声で言い放った。

エイトリウスも、目に飛び込んできたその光景に、思わず文句を言おうとして口を開いたところだったが、あまりにもその父の威圧感のある声に、思わず口をつぐんだ。

ルディは父のそのいつもと違う声色に、ビクッと肩を震わせてリグから手を離した。

しかし、ルディは外面を整えるのは得意分野なので、そんな状況でもすぐに何事もなかったかの様に父に向かってニコッと笑顔を作って「おかえりなさい!お父様。」と声をかけた。

それを見てリグもそれが正解の態度だと思い、いつも通りに「あ、おかえりなさい。お父様」と、笑顔を作って返した。

そのあまりにも動揺のない二人の様子に、父は、あれ?考えすぎか?と一旦冷静になった。

「あ、急で申し訳ないんですけど、少しエイトリウス様とお茶をすることになったので、お伝えしておきますね。」

そんな中、リグがこの最悪なメンバー構成を早く切り分けたいと思い、父に声をかけた。

「エイトリウス様、こちらにどうぞ。」
そして続け様に父の了承の返事も聞かずにそそくさとエイトリウスに目配せをして自分の方に来る様に促した。

エイトリウスは何か言いたそうに顔を歪めたが、渋い顔をしながらリグの方に歩み寄ろうとした。

その時。

「こんな時間に事前に連絡もなく女性の家を訪ねるなんて非常識過ぎませんか?」

ルディがいつもよりトーンの低い声でエイトリウスに噛み付きながら、リグとエイトリウスの間に立ちはだかった。

「お父様、彼は婚約者といえど、まだ婚前です。お互い変な噂が立ってはこまりますよね?今日はお帰りいただいた方がよろしいのではないですか?」

ルディのその言葉に、父は目を見開いて固まった。

父の頭の中で崩しかけていた脳内パズルゲームが再開したのである。

リグがルディに思いを寄せていたのかと思ったが、『もしかしたら、両想いなのではないか?!』と。


ルディも別に、非常識なことは何も言っておらず、この世界観からしても常識的な発言なのではあるが、もう父としてはそう思ってしまったら止まらないモードに突入してしまっていたので、『ルディ、そうなのか?!』と思いごくりと唾を飲み、ぎゅっと拳を握りしめた。

「ルディ。失礼だぞ。」

父は眉間に皺を寄せ、ルディを叱った。
その圧力に、ルディは驚いてぴくりと肩を跳ねさせた。

そして父はエイトリウスの方に向き直った。

「今日はせっかくなので夕食を一緒にどうかね?」


「お父様?!」

ルディが思わず父の発言に耳を疑い声を上げた。

そのルディの様子を見て、また父は口を開く。

「何なら泊まっていくといい。リグの部屋の隣の客室を準備させよう。」

「え」

「へ?」

「どう言うことですか?!」

その父の言葉を聞いたエイトリウス、リグ、ルディの三人は、思わず衝撃で目を見開いて言葉を漏らした。

「昔もよくうちに泊まって行ったことがあるじゃないか。もうお互いいい歳なのだし、成人したらすぐに
結婚するのだから問題あるまい?」

その父親の言葉に、三人は三者三様に思うことがあって絶句した。

ルディはなぜ父がこんなことを言い出すのか全く理解ができなかった。
何度考えても自分の言ったことは、常識的にも真っ当であるとおもう。
あと考えられるのは、昨日危惧した件だとおもった。
エイトリウスがリグに手を出したと言う事実を、父が知った上で容認していると言う可能性だ。
そうなるともう自分にできることはないと唇を噛み締めた。


リグは、いままで何度も父親に婚約破棄するために領地経営や金策を頑張る旨を伝えており、それに対して父も、「なるべくお前の理想になるよう私も尽力しよう」と言ってくれていた。
のに。
この急な180度の舵切りである。
こんな無慈悲な梯子外しがあってたまるかと訳がわからず言葉を失ったが、『もしかしてエイトリウスがなにか父に吹き込んだのか?!』と思い、エイトリウスの方を見るも、エイトリウスはなぜかどす黒い覇気を身に纏いながら父を睨んでいたのでますます訳がわからずリグはただただ黙るしかなかった。


エイトリウスは、『これは完全に黒だ』と確信した。
さんざん娘に仕込んだ技を、今日使えとリグに命令しているのだと。
そうでもなければ、ルディの言う様に、こんな非常識な婚約者をこんな簡単に家に泊めるはずがないと。
そう思ってしまったらもうリグの父親に対する憎しみが止まらなくなってしまった。
『そんなお前の思惑通りにリグを利用しない』と。
『リグはお前の道具じゃない』と。
『俺はリグにそんな技がなくとも、リグのことを愛しているんだ』と。


そんな三者三様の思考が渦巻く中、父はそれだけ言い残すと玄関に立っていた執事に夕食の手配と宿泊の手配、アルゼンハイト家への連絡を命じ去って行った。


いや、お父様、何て爆弾投下していくんだよ?!とリグは思ったが、今は一刻も早く自分の身の安全のためにこの場を速やかに去るべきだと思ったので、サリーを召喚して夕食まで部屋に籠ることに思考を切り替える。


「サリー、エイトリウス様を客間にご案内して?」

リグがどこともない空間に呼びかけると、サリーが横からスッと現れ、「かしこまりました。」とリグに声をかけた。
ルディとエイトリウスは『このメイドは相変わらずいつの間に?!』と思い一瞬目を見開いた。


「では私は晩餐までに着替えや準備をしてくるので申し訳ないのだけれどそちらで待っていてもらえるかしら」

リグがオホホと笑いながら誤魔化して足早にその場をフェードアウトしようとした。


その瞬間。



エイトリウスに右手を、ルディーに左手を同時に掴まれた。



そして三人ともお互いにその状況に驚いて、目を見開くも、即座にルディとエイトリウスが睨み合いを始めた。

そしてその間に挟まれるリグ。


いやいやいや、むりむりむり、胃が痛い胃が痛い!とリグは心の中で思うも、なんと言ってここを切り抜ければいいか全く思い浮かばずにただただ口を一文字に結びその二人をみつめた。

「父はああ言いましたけど。先ほどからものすごく不満そうな顔をしていらっしゃいましたよね?うちのおもてなしがお気に召さない様でしたならどうぞお帰りいただいて構いませんよ?」

ルディがエイトリウスに氷の様に冷たい笑顔をむけると、エイトリウスはフンと鼻を鳴らしてニヤリと口の端を釣り上げた。

「弟といえど少しベタベタしすぎじゃ無いか?もうそろそろ甘ったれてないでオネエサマ離れした方がいいぞ?ルミナーレ公爵閣下もそれを心配して俺を泊まるように配慮して下さったのかもな?」

エイトリウスのその言葉にリグはハッとした。

それだ!流石エイトリウスの洞察力は侮れない!とリグは感心した。
リグは昼にもやもやしてルディにキスをするんじゃ無いかバリに頬に手を添え顔を近づけた事件を思い出した。
まさにあの時の父の顔と、さっきの玄関での父の顔はそう言う誤解をしていそうな顔だと思った。

何としてでもなるべく早く誤解を解かねばとリグは脳内で頭を抱えた。

「うちのキョウダイは仲がいいので、これくらいは普通なのはご存知ですよね?全く、心が狭いと『血のつながった弟』までそう言うふうに見えてしまうのですね?弟としては、こんな婚約者がいる姉が危害が加えられないか心配で、当分離れられそうに無いですよ。」

ルディがリグの腕にぎゅっと抱きつきながらエイトリウスにさらに温度を下げたブリザードスマイルを向けた。

「そうだな、『血のつながった弟』にはできることが限られてるもんなぁ?安心しろ、俺が『心身共に』リグを支えてやるからサッサと安心して離れやがれ」

エイトリウスは眉間に皺をよせこめかみに青筋を立てながら、かろうじて笑顔でルディに反論しつつリグの腰に腕を回した。



いやいやいや、つらいつらいつらい!

リグがそう思っていい加減二人を制止しようと口を開いた瞬間。

「あれ?!皆さんお集まりで楽しそうですね!私も混ぜてください!」
そう言って玄関ホールの正面の階段からミーチェが走って降りてきて、リグたちに抱きついた。


いや。
ちがう。
違うよミーチェ。
周りの使用人ですらみんな怯えた目でこちらを見ているのに。
この状況見てどうしてそんな勘違いができるのかしら。
お姉ちゃん、あなたの未来が心配だよ。
これからあなたも人生ハードモードがまちうけているのに。
こんな天然で本当に生き延びられるのかしら。

でも。

今はありがとう!!

リグはそう思って心の中でミーチェに手を合わせた。


そしてそのミーチェの純粋さに、エイトリウスもルディも渋い顔になり、口を横一文字に結び、リグをホールドしていた腕をそっと離した。


その様子を見てリグは感動した。

流石ヒロイン!!
こうやって男を黙らせるのか!!
私も真似しよう!!
…とおもったけどむりだな!!

リグは心の中で色んな感情で溢れた涙を流しながら天を仰いだ。

そしてリグは意を決してミーチェをそっと自分から引き離し、ミーチェの顔を覗き込んだ。

「ミーチェ、今から時間ある?」

「ええ!お姉さまのおかげで今日、挨拶文の控えを提出できたので、この後は何も予定がないのですよ!」

瞳をキラキラさせながらミーチェは胸の前で手を組み上目遣いでリグを見上げた。

そのミーチェの煌めきに浄化されて溶けそうになるのをグッと堪えリグはミーチェの頭を撫でた。

「わーお疲れ様!ミーチェは偉いね?じゃぁ、私が着替えてくる間、エイトリウス様のおもてなしをお願いしてもいいかな?」

「えっ…」

エイトリウスが思わず口から言葉を漏らすも、ミーチェがいる手前何もいえずに、リグを睨みつけ視線だけで訴える。

しかしリグはそんなエイトリウスを普通に無視した。

「わかりました!お姉さまからお願い事をしていただけるなんて嬉しいです!でも、私にできるでしょうか、、?それに、二人きりだとお父様とお母様に怒られませんか?」

ミーチェが心配そうにエイトリウスとリグを交互に見上げた。

ミーチェがいう様に、ミーチェに対して父親と母親は超絶過保護だった。
理由としてはこの屋敷に2度も『聖女』を狙って悪魔が侵入したせいもあるが、それだけではなく、このミーチェのど天然さも起因していた。

そのため、心配した両親の意向でミーチェはまだこの歳なのに友人とのお茶会すらも行ったことが無く、ルミナーレ公爵家で開催される家族の誕生日会等のイベントにも一度も出席させてもらえず、さらには家のもの以外の男性との接触もことごとく阻止されていた。

この国の王子でさえも。

ただ、エイトリウスだけは、リグの婚約者なので例外扱いで、身内同伴でならしゃべることを許されていた。

リグはそこに付け込んだのである。
「ああ、ルディもついてくれるから大丈夫。」

「姉さん?!」

リグがニコッと笑うと、ルディが捨てられた子犬の様な顔でリグを見た。

ルディとしては、ミーチェがエイトリウスの相手をしているうちに、リグの部屋に押しかけて、色々と問い詰めようと思っていた。

しかしそれを読んでいたリグは、ルディもミーチェと一緒に人柱にしたのである。

まあそもそも、必然的にリグがミーチェに同伴できないのなら、この中で同伴できるのはルディしかいないのだが。

「じゃあ、申し訳ないけど私はこれで。サリー、後はよろしく」

「かしこまりました。」

こうしてリグはミーチェに全て押し付けてその場を脱出したのである。

ごめんミーチェ、貴方なら間違いなくあの混ぜるな危険の二人でも浄化できるから…
少しだけ私を休ませて…
今度何でもお願い聞いてあげるから、最低な姉を許しておくれ…

リグは心の中でミーチェに謝罪しながら自室へ向かった。


しかしそんなリグの休息も束の間、30分後には冒頭の地獄の晩餐会に戻るのであった。
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