Alice in the Arithmetic World Part.1

サレルノのエルマンノ

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第1話:アリス、皇帝の暗号を破る

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アリスは村人たちが使っている多表式暗号の解き方がわかってしまったので、どうすれば村人にその危険性を訴えるか考え悩んでいた。
もし解読法を教えたとしても、それ以上のいい方法が見つからなければ何になる?何になる?

多表式暗号とはいくつもの変換表を使って文字を別の文字に変換する暗号のことだ。
彼女は図書館にこもり、数秘術の入門書を次々と手に取った。
だが、どの本も似たようなことしか書かれていない。
諦めかけたとき、魔法陣が表紙に描かれた一冊が目に留まった。
『モノ直しの技』——壊れたものを直すための魔法の書。

アリスが求めていたのは、形のないもの、見えないものを直す方法だった。
言葉や心、そして信頼を守るための魔法。
それを暗号に応用できないかと考えていたのだ。

アリスは魔術師に憧れていた。
彼女にとって魔術師とは、数の秘密を解き明かし、世界の真実を操る存在だった。
このロマーニャ帝国では、数そのものが力を持ち、人々はそれを「数秘術」——あるいは「暗号」と呼んでいた。
アリスには数字の魔法があるという確信があった。

本をめくるうちに、アリスは見覚えのある数式に出会った。
デジャヴのような感覚に突き動かされ、彼女はその意味を追い始めた。

物直しの技では、まず魔法陣Gを作る。
そこに文章sを掛け、誤りeを足す。
そしてeを消し去るための魔法陣Hをつくる。
HはGと対になり、掛け合わせるとゼロになる。
黒い魔法陣Gと、白い魔法陣H。
ふたつが揃って初めて、秘密の文章sが姿を現す。

アリスの胸に冷たい予感が走った。
自分にこれがわかるということは、皇帝とその側近たちも——既に知っているということ。
人々を守るはずの魔法が、今や人々を縛る道具になっているのではないか?

アリスは目を輝かせた。
恐れと決意が、同時に心の奥で煌いた。

果たして彼女は、皇帝ロマーニャの陰謀から村人たちを救うことができるのか?
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