攻撃と確率にステ振りしていたら最強になりました

りっくり

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第八十四話 木の怪物 前編

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「ティラノサウルスの攻撃、えぐかった……」

 一撃、受けただけなのにHPが一になってしまった僕は感想を述べる。

「死ななくて良かったな!」
「本当だよ!」
  
 トモが笑顔で僕に言ってくる。ここまでHPを減らされたのは初めてかも知れない。いや、ゲームを始めてから初めての経験だ。今まであそこまで、ヒヤヒヤしたことはなかった。【防御の金石】を装備していなかったら一撃死していただろう。運が味方をしてくれたようだ。

「ヒビトのHPが急に一になったから心配したんだよ!」
「心配かけたな! ツキナ! もうHPは全回復したから大丈夫だ!」

 心配そうな顔をしてくれていたツキナを安心させるために答えた。

「なら、いいわ!」

 ツキナはほっとしてくれている様子。

「それにしても此処はどこなのでしょうか?」

 アサガオが辺りを見渡しながら言う。この場所の中央に大きな木が一本立っているだけで、あとは何もない。それにこの広さ、何かと戦闘になる可能性がある。僕達は真ん中にある木が気になったので、近づく。

「あれ? 今、木が動かなかったか?」
「動いたかもな……」

 風も全くない中、木についている葉が揺れているのだ。これは絶対に何かあると確信している。次第に葉の揺れが横揺れから縦揺れに変化して、木が上昇していく。そして四本の太い根っこを足にし、鞭のような手を持つ怪物が現れたのだ。
 この怪物の名前はプラントウィップと言うらしい。HPは百万ほどで、地下迷宮だけあって強く設定されているようだ。プラントウィップは鞭のような腕を地面に突き刺す。突き刺してすぐに僕達の真下から鞭のような腕が飛び出してくる。僕達はバックジャンプして避ける。

「六明神! 炎! 高速四連射!」
「えーい!」

 トモとリリがバックジャンプをしながら射撃する。プラントウィップは鞭のような手を盾に変形させて、ガードする。そのまま盾の真ん中からトモとリリに種弾を撃ち込んだ。

「おっと、危ない……」
「危ないよ……」

 トモとリリは地面に着地してすぐに左方向に回避を行った。あれが連射だったらトモとリリは確実にダメージを受けていたタイミングだ。この怪物なかなかの強さである。トモとリリがプラントウィップのヘイトを取ってくれていた間に十分に接近できたので、オリジナルスキルを発動した。

「スクイッド・オーシャン!」 
「炎の舞! フレイムラーミナ!」

 ツキナもプラントウィップに追い打ちをかけるようにスキルを発動する。

「私たちも行きます!」
「ムサシ! 参る!」
「拙者も参る!」

 アサガオ、ムサシ、コジロウも後に続く。プラントウィップは木を作りだして、僕達の攻撃を妨害してくる。僕はかなり近い距離にいたので攻撃を当てることができたのだが、みんなの攻撃は届かなかった。だが、十一連撃を入れることができたのでHPが一割くらい減る。
 攻撃を防御したら木は消えるのではないかと思ったのだが、そうではないらしい。これだけ木があると、どれが怪物なのかさっぱり分からなくなってしまった。見分けがつかないまま、プラントウィップの種弾が飛んでくる。見分けがつかないので、当然反応も遅れ攻撃に当たってしまう。ティラノサウルスみたいに一撃で瀕死になることはないが、それでも二割ほどHPを持ってかれる。このままでは攻撃どころの問題ではない。

「このままでは犬死ですね……」

 アサガオが呟く。確かにこのままではチクチクダメージを受けてしまい負けてしまう可能性がある。

「よし! あれを使う!」
 
 僕とトモが同時に叫ぶ。この方法を簡単に打破する方法が一つだけある。

「あれを使うのね!」
「あれを使うわけね! 守ってあげるから使っていいよ!」

 リリとツキナは僕とトモの考えていることが分かるみたいだ。さすがは彼女と言うべきか。それよりもこのスキルを今まで同時に使ったことがなかった気がする。二つのスキルが混ざるとどうなるんだろうか。僕はワクワクしている。

「いくぞ! トモ!」
「オッケー! ヒビト!」

 僕はトモと意思を確かめ合うと同時に叫ぶ。

「灼熱!」

 僕とトモが叫ぶと辺り一帯のすべての木が一斉に炎上する。もちろんプラントウィップも一緒に燃えている。炎属性が弱点なのかHPが残り七割のところまで減少していた。このスキルは同時に発動すると範囲も広がり、威力も上がるようだ。
 新しい発見ができたので良かったと思っている。ただスキル使用後に脱力感に襲われるのだが……。僕とトモはすぐにSP回復薬を飲む。
 ダメージを受けたプラントウィップは地面に埋まっていた根を再び出現させ、僕達を拘束しようと枝を紐のように伸ばしてくる。

「炎の舞! ザウルファイア!」

 ツキナはそれを迎撃する。何かのスキルをゲットしたのか、前に増して範囲が広くなっているようだが、今は追求する余裕はない。プラントウィップの攻撃はツキナのおかげで、完全に防ぐことが出来た。

「ありがとう! ツキナ! 天眼雷!」
「ナイス! ツキナ! 天眼焔!」

 SPを全回復させた僕とトモは出来る限り多くのダメージを与えたいと思いレジェンダリーウェポンの武器スキルを発動した。
 プラントウィップは再び木を出現させ、防御行動をとるが、僕とトモの攻撃には炎属性も混ざっているため、無駄なのである。さらに広範囲なのでどこに逃げても大抵は当たる。
 僕とトモの発動したスキルはプラントウィップの防御を破り、直撃した。ブラントウィップのHPは半分になる。
 これにはさすがのプラントウィップも数歩は後退した。
 怯んだので、このまま追撃をかけようと僕とトモ以外のギルドメンバーが接近するが、不思議な現象が起きたので足が止まってしまった。  
 プラントウィップの頭上がいきなり光出したのだ。太陽には遠く及ばないが、それでも目を塞ぎたくなるほど明るい。
 
「一体……何なんですか?」

 ムサシが武士モードになっていることを忘れて、いつもの口調で言う。

「本当ななんなんだろうな……ツキナ、分かるか?」

 僕はムサシの意見に賛同しつつ、ツキナに質問する。ツキナの知り合いと言っていた情報屋の人にこの現象のことを教えてもらっているのでは、と思ったからだ。

「ごめんなさい! これは、分からないわ」

 ツキナが申し訳なさそうな表情で言う。

「気にしなくていいよ!」

 僕はツキナをフォローした。ツキナが分からないとなると変に動くと危険な目にあってしまうかもしれない。とりあえず、僕達はこれが何なのか、確認することにした。
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