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歓迎会
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「わぁ……すごーい」
ハルは準備が整ったリビングを見て感心している様だ。それもそのはずで手の込んだ飾りに二十分で作ったとは思えない豪華な料理がテーブルの上に並んでいたからだ。
「ハルはそこに座って!」
僕はハルを中央の席に座らせる。ハルが着席したのを確認した後に僕達も着席する。
「今から歓迎会を始めるよ! 乾杯!」
「乾杯!」
リリのあいさつで歓迎会が始まった。
「美味しい」
ハルは幸せそうな表情で言う。もう慣れてしまったが、ツキナとリリが作った料理は美味しいので、ハルの反応には納得できる。ハルは小学生とは思えないスピードでご飯を平らげて行く。
「よく食べるね~」
リリはハルの食べっぷりを見て言う。
「だって、美味しいから」
「ハルも上手いこと言うね~」
「本当のことだもん」
「ありがとう」
ご飯のことを褒められて嬉しそうなリリ。ツキナも嬉しそうな表情をしている。生意気なハルがこんなことを言うとは思っていなかったので、驚いてしまった。
「いただき!」
アサガオがお手洗いに行くために退出した後、ハルは意地悪そうな笑みを浮かべながら、僕の皿に残っていた唐揚げを取って食べた。
「おい! ハル! 返せ!」
僕は一番好きな食べ物を最後に食べたいと思っているので、残しておくのだが、それが裏目に出てしまった。
「嫌だね!」
ハルは舌を出し、下まぶたを引き下げる。ハルの行動には腹が立ったが、ハルはまだ小学生だ。それに今日は歓迎会の主役なので、ぐっと我慢する。
唐揚げを一つだけハルに取られたが、もう一つだけ残していたと思うので、視線をハルからさらに戻した。たが、唐揚げは存在しなかった。また、ハルに取られたのかと思ったが、どうやらそうではなさそうだ。
「ここに残ってた唐揚げ、知らないか?」
犯人が分からないので、とりあえずみんなに質問する。
「唐揚げ? 知らないなぁ~」
トモが答えてくれた。他のみんなも同じ回答をしてくれる。ハルの言い方を見る限り、今度は本当に知らないみたいだ。なら、誰が今の短期間で唐揚げを盗んだのだろうか……。
「あっ! ワンチャンだ! 可愛い!」
お手洗いから戻ってきたアサガオが叫ぶ。僕達は一斉にアサガオの方に顔を向ける。
アサガオが撫でていた犬の口元には僕が残しておいた唐揚げが転がっていた。
犯人はこの犬だったみたいだ。どこから入ってきたのだろうか。それにしてもこの犬、ただの犬に見えない。紫色の胴体に鋭い牙を持っているからだ。
「わぁ……可愛い……」
ハルは犬を見た瞬間、すぐに駆け寄り撫で始めた。アサガオが動物好きだと言うことは前から知っていたが、まさかハルも好きだったなんて思わなかった。犬の撫で方を見る限り、現実世界でペットを飼っているのだろう。
アサガオとハルが犬と触れ合っているのを見ていると目を疑う現象が起きた。犬が二匹に増えたのである。やっぱりこの犬は普通の犬ではない。なんらかの特殊能力を持っているようだ。分身なのか、分離なのかはよく分からないが……。
「ふ、増えた!」
ハルの口元がほころぶ。時々見せるこの笑顔。やっぱり小学生だ。アサガオとハルは一匹ずつ犬を撫でる。犬はアサガオとハルに撫でられ、気持ち良さそうにしている。
「この犬達、二人に懐いているみたいだから名前を付けたら?」
リリがアサガオとハルに提案する。
「うん!」
アサガオとハルは同時に返事をし、名前を考え始めた。犬も一匹に戻る様子はない。アサガオとハルを主人に選んだと言う事なのだろう。
「この子の名前、決めた!」
「何にしたの?」
アサガオが納得できる名前を考えることができたのか、とても嬉しそうだ。すぐにリリがどんな名前にしたのか質問する。
「キララ!」
小学生らしいネーミングだ。やっぱりアサガオは可愛い。
「俺も決めた!」
「何にしたんだ?」
アサガオがリリに名前を明かしてからすぐにハルが言ったので、僕はハルに名前を聞く。
「アギト!」
「おっ! いい名前じゃないか!」
「いいでしょ!」
僕がハルを褒めると満面の笑みを浮かべながら胸を張って言ってくる。小学生らしい反応でとても可愛い。生意気じゃなければいいのに……。アギトとキララはアサガオとハルの肩を定位置にしたようだ。
「アサガオ、ハル。ストレージの中に別のアイテムとか入ってないのか?」
トモが質問する。もしこの犬が幻獣だったとしたら犬を格納するアイテムが入っているはずだと考えたからだろう。
普通の犬ではないことは明確なので、僕も気になってしまっている。みんなも同様なようだ。アサガオとハルは同時にリンクメニューを開き、ストレージのアイテムを確認した。
「こんなものが入ってたよ!」
ハルはそう言うとアイテムを実体化させる。そのすぐ後にアサガオもハルと同じペンダントを実体化させた。ペンダントが出てきた時点でこの犬が幻獣だということが分かった。
「あれがあると言うことは、犬は幻獣ですね」
ムサシが言う。
「このギルドメンバー、リアルラックが高すぎじゃないですか?」
コジロウもムサシの後に次いで言う。確かに言われてみればそうだ。ギルドの中に幻獣を持っているメンバーは僕を含め、五人もいる。アサガオとハルの幻獣を一つに数えても四体もいるのだ。こんなに幻獣がいるギルドはそうはいないだろう。
「確かにそうだな!」
僕は納得した。みんなも納得しているようだ。これならギルド戦があればトップになれるかもしれない。ただ《龍帝》や《獣人連合》などのトップギルドの強さは未知数なのだが……。そんなことを考えながら歓迎会を楽しんでいる。新しく幻獣が仲間になったので、ツキナとリリが追加料理を作るためにキッチンに向かった。
リリ
「どんどん食べてね!」
ツキナ
「残さず食べてね!」
料理を作り終えたツキナとリリがそんなことを言いながらテーブルに追加料理を並べた。ツキナとリリが作ってくれた料理だ。残さずに完食しなければならない。僕はみんなと協力して料理を完食した。
「美味しかった!」
ハルは満足そうな笑みを浮かべながら言う。あれだけ、しっかりと準備して満足してもらえなかったら悲しくなってしまうが、ハルは十分に満足してくれているようなので本当に良かったと思っている。
「今日はキリがいいからログアウトしましょ!」
ツキナが提案してくるので、賛成することにした。みんなも同意見みたいだ。僕達は順番にログアウトしていく。
ハルは準備が整ったリビングを見て感心している様だ。それもそのはずで手の込んだ飾りに二十分で作ったとは思えない豪華な料理がテーブルの上に並んでいたからだ。
「ハルはそこに座って!」
僕はハルを中央の席に座らせる。ハルが着席したのを確認した後に僕達も着席する。
「今から歓迎会を始めるよ! 乾杯!」
「乾杯!」
リリのあいさつで歓迎会が始まった。
「美味しい」
ハルは幸せそうな表情で言う。もう慣れてしまったが、ツキナとリリが作った料理は美味しいので、ハルの反応には納得できる。ハルは小学生とは思えないスピードでご飯を平らげて行く。
「よく食べるね~」
リリはハルの食べっぷりを見て言う。
「だって、美味しいから」
「ハルも上手いこと言うね~」
「本当のことだもん」
「ありがとう」
ご飯のことを褒められて嬉しそうなリリ。ツキナも嬉しそうな表情をしている。生意気なハルがこんなことを言うとは思っていなかったので、驚いてしまった。
「いただき!」
アサガオがお手洗いに行くために退出した後、ハルは意地悪そうな笑みを浮かべながら、僕の皿に残っていた唐揚げを取って食べた。
「おい! ハル! 返せ!」
僕は一番好きな食べ物を最後に食べたいと思っているので、残しておくのだが、それが裏目に出てしまった。
「嫌だね!」
ハルは舌を出し、下まぶたを引き下げる。ハルの行動には腹が立ったが、ハルはまだ小学生だ。それに今日は歓迎会の主役なので、ぐっと我慢する。
唐揚げを一つだけハルに取られたが、もう一つだけ残していたと思うので、視線をハルからさらに戻した。たが、唐揚げは存在しなかった。また、ハルに取られたのかと思ったが、どうやらそうではなさそうだ。
「ここに残ってた唐揚げ、知らないか?」
犯人が分からないので、とりあえずみんなに質問する。
「唐揚げ? 知らないなぁ~」
トモが答えてくれた。他のみんなも同じ回答をしてくれる。ハルの言い方を見る限り、今度は本当に知らないみたいだ。なら、誰が今の短期間で唐揚げを盗んだのだろうか……。
「あっ! ワンチャンだ! 可愛い!」
お手洗いから戻ってきたアサガオが叫ぶ。僕達は一斉にアサガオの方に顔を向ける。
アサガオが撫でていた犬の口元には僕が残しておいた唐揚げが転がっていた。
犯人はこの犬だったみたいだ。どこから入ってきたのだろうか。それにしてもこの犬、ただの犬に見えない。紫色の胴体に鋭い牙を持っているからだ。
「わぁ……可愛い……」
ハルは犬を見た瞬間、すぐに駆け寄り撫で始めた。アサガオが動物好きだと言うことは前から知っていたが、まさかハルも好きだったなんて思わなかった。犬の撫で方を見る限り、現実世界でペットを飼っているのだろう。
アサガオとハルが犬と触れ合っているのを見ていると目を疑う現象が起きた。犬が二匹に増えたのである。やっぱりこの犬は普通の犬ではない。なんらかの特殊能力を持っているようだ。分身なのか、分離なのかはよく分からないが……。
「ふ、増えた!」
ハルの口元がほころぶ。時々見せるこの笑顔。やっぱり小学生だ。アサガオとハルは一匹ずつ犬を撫でる。犬はアサガオとハルに撫でられ、気持ち良さそうにしている。
「この犬達、二人に懐いているみたいだから名前を付けたら?」
リリがアサガオとハルに提案する。
「うん!」
アサガオとハルは同時に返事をし、名前を考え始めた。犬も一匹に戻る様子はない。アサガオとハルを主人に選んだと言う事なのだろう。
「この子の名前、決めた!」
「何にしたの?」
アサガオが納得できる名前を考えることができたのか、とても嬉しそうだ。すぐにリリがどんな名前にしたのか質問する。
「キララ!」
小学生らしいネーミングだ。やっぱりアサガオは可愛い。
「俺も決めた!」
「何にしたんだ?」
アサガオがリリに名前を明かしてからすぐにハルが言ったので、僕はハルに名前を聞く。
「アギト!」
「おっ! いい名前じゃないか!」
「いいでしょ!」
僕がハルを褒めると満面の笑みを浮かべながら胸を張って言ってくる。小学生らしい反応でとても可愛い。生意気じゃなければいいのに……。アギトとキララはアサガオとハルの肩を定位置にしたようだ。
「アサガオ、ハル。ストレージの中に別のアイテムとか入ってないのか?」
トモが質問する。もしこの犬が幻獣だったとしたら犬を格納するアイテムが入っているはずだと考えたからだろう。
普通の犬ではないことは明確なので、僕も気になってしまっている。みんなも同様なようだ。アサガオとハルは同時にリンクメニューを開き、ストレージのアイテムを確認した。
「こんなものが入ってたよ!」
ハルはそう言うとアイテムを実体化させる。そのすぐ後にアサガオもハルと同じペンダントを実体化させた。ペンダントが出てきた時点でこの犬が幻獣だということが分かった。
「あれがあると言うことは、犬は幻獣ですね」
ムサシが言う。
「このギルドメンバー、リアルラックが高すぎじゃないですか?」
コジロウもムサシの後に次いで言う。確かに言われてみればそうだ。ギルドの中に幻獣を持っているメンバーは僕を含め、五人もいる。アサガオとハルの幻獣を一つに数えても四体もいるのだ。こんなに幻獣がいるギルドはそうはいないだろう。
「確かにそうだな!」
僕は納得した。みんなも納得しているようだ。これならギルド戦があればトップになれるかもしれない。ただ《龍帝》や《獣人連合》などのトップギルドの強さは未知数なのだが……。そんなことを考えながら歓迎会を楽しんでいる。新しく幻獣が仲間になったので、ツキナとリリが追加料理を作るためにキッチンに向かった。
リリ
「どんどん食べてね!」
ツキナ
「残さず食べてね!」
料理を作り終えたツキナとリリがそんなことを言いながらテーブルに追加料理を並べた。ツキナとリリが作ってくれた料理だ。残さずに完食しなければならない。僕はみんなと協力して料理を完食した。
「美味しかった!」
ハルは満足そうな笑みを浮かべながら言う。あれだけ、しっかりと準備して満足してもらえなかったら悲しくなってしまうが、ハルは十分に満足してくれているようなので本当に良かったと思っている。
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