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第九十一話 獣人連合リーダー 後編
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僕と男性はお互いに距離を取る。男性との距離は大体、三メートルくらいだ。
「ぐわっはっは! 久々に楽しめそうだ! 俺は獣人連合、リーダーのガオルガだ! お前は?」
「僕は強者の集いのリーダーで、ヒビトだ!」
ガオルガが表情を変えずに言うので、僕は答えた。攻撃してきたのが、《獣人連合》のリーダーだったらしい。
バフがかかっていない状態であれだけの威力の高い攻撃を出せるのだ。本気を出したらどうなってしまうのだろうか……。
「へぇ~! あのヒビトかぁ……! 一回、戦ってみたいと思ってたんだぜぇ!」
「僕もだ!」
ガオルガの話に乗ってみたが、実際のところ釣り大会前に体力を消耗したくないと思っている。
両手剣使いの男性
「おっ! 強者の集いのヒビトと獣人連合のガオルガが戦うみたいだぞ! 見に行こうぜ!」
斧使いの男性
「マジで⁉︎ 行く行く!」
片手剣使いの女性
「ヒビト君の戦いを見たいから、私も行くね!」
弓使いの女性
「私も見たい!」
僕とガオルガの話を聞いていた周囲のプレイヤー達がこちらに向かってくる。話を聞いていなかったプレイヤー達も何かが始まると察知して向かってくる。
僕とガオルガの周りは十分も経たずに多くのプレイヤーに囲まれてしまった。まだ、戦うと決まった訳ではないのに、この状況では戦わざるを得ない。
「最初からとばして行くぜ! ヒビト! モード黒獅子!」
ガオルガの体から黒色のオーラが出現する。さらにガオルガの背後には黒獅子が見える。
「僕も本気でいかせてもらう! ブレンディング!」
僕はフウラと融合する。見るからに強そうなオーラを発しているガオルガ。僕も全力で向かい打たないと、一瞬で負けてしまうと思った。
数秒の時を開けた後、僕達はお互いに接近し、二人の武器がぶつかり合った。衝撃の波が周辺のプレイヤー達に向かっていく。
「シールド!」
ツキナが他のプレイヤーが巻き込まれないように機転を効かせる。僕は戦闘に集中しており、周りの状況をしっかり把握できていなかった。その為、ツキナには感謝している。
「このままでは……」
止まぬ衝撃の波。ツキナは顔を歪めている。
「私はアスカ、助太刀しますよ」
ツキナの後方から、さっきまでガオルガの隣にいた女性がツキナの手に手を添える。アスカが手を添えた瞬間、消えかかっていたシールドが復活した。
「これは……?」
「これは再生スキル、リプロダクションだよ」
「なるほど……だからシールドが復活したのね」
「そう言う事!」
ガオルガと戦闘をしながら、ツキナとアスカの話を聞いていた。あの二人が協力して観客を守ってくれるのなら周囲のことを気にせずに戦闘できそうだ。
「へぇ~。お前の武器、レジェンダリーウェポンか~!」
「ご名答! お前もだろ?」
ガオルガの持っている武器、それは黒と紫が混ざったような禍々しい大斧、その斧の近くにいるだけで、息苦しくなるほどのオーラを発生させている。
レジェンダリーウェポンの武器で受けていなければ破壊されていたかもしれないと思ってしまった。
レジェンダリーウェポンの武器特有の固有スキルというものが前回のアップデートで実装されたので、どんなスキルなのか非常に気になってしまう。ちなみに僕の神威は属性ダメージを与えれば与えるほど攻撃力が上がっていくと言うものだった。どれだけ上がるのかは試したことがないのでよく分からないが……。
「勿論だ!」
僕とガオルガはニヤリと笑う。こんなに手応えのある人と戦ったのは久々なので、自然にこの表情になってしまった。ガオルガも僕と同じなのだろう。
僕とガオルガは再び距離を取り、剣と斧を打ち合う。僕とガオルガの実力は互角なのか、今の所は遅れを取っていない。最初は騒いでいた観客も僕とガオルガを追うことに集中して全く喋らなくなっていた。
「獅子王奥義! 修羅・幻滅神!」
ガオルガの背後にいた黒獅子がこちらに向かってくる。いきなり奥義を使ってくるとは予想もしていなかったが、僕もフウラと一緒に奥義というものを作ってみたのだ。出し惜しみをしたら負ける。奥義には奥義をぶつけることが成功法だ。
「フウラ! 行くぞ!」
「フォッコォォ!」
僕はフウラを具現化させる。本来、【ブレンディング】を使っているときには幻獣を具現化させることは難易度が高く、なかなか挑戦するプレイヤーはいない。だが僕は時間をかけて習得した。
「宿れ! フウラ! 紅蓮神威《ぐれんかむい》!」
「フォッコォォ!」
フウラは叫びながら神威の中に入っていく。これが、僕が作りだした奥義と呼べるものだ。フウラを神威に宿すことによって、今まではなかった爆破属性を付与できるうえに攻撃力が上がるのだ。神威からは
「ほーう、面白れぇ!」
ガオルガはにやりと笑いながら、上から強力な振り落とし攻撃五連撃を繰り出してくる。僕は【スクイッド・オーシャン】でそれを迎撃する。こっちの方が、連撃数が有利のはずなのに押し切れない。それほどガオルガの繰り出したスキルが強力と言うことなのだが……。
「おりゃぁぁぁぁぁ! 紅蓮火!」
「おらぁぁぁぁぁぁ!」
これぞ最後の一撃と言わんばかりに僕とガオルガは雄叫びを上げながら接近し、僕は爆破属性を纏わせた剣を振り落とす。ガオルガは下から斧を掬い上げるように降る。
僕の剣とガオルガの斧が接触しようとした瞬間、四人の人影が僕たちの間に入りスキルを止めた。
「ヒビトさん! ツキナさんが死にそうになってますよ!」
「ガオルガさんでしたっけ? アスカさんが倒れそうですよ!」
アサガオとハルが言う。僕とガオルガの間に入ったのは戦国兄弟とアサガオとハルだった。二人掛かりでスキルを止めたらしい。
僕は集中していて何が起きたのか、分からない状態だったので周りを見渡してみる。ツキナが張っていたはずのシールドは壊れ、僕達の周りにはボコボコと穴が開いていた。さらにツキナとアスカは横になっており、トモとリリが何かを飲ませていた。どうやらSPを全損してしまったらしい。僕はツキナにすぐに近づく。ガオルガも同様にアスカに近づいた。
「ごめん、ツキナ! やり過ぎた!」
僕はツキナを膝枕して、謝る。
「いいわよ、慣れてるから」
脱力状態になっているにも関わらず、笑顔を見せてくれるツキナ。(本当にごめん)と心の中で深く謝罪し、ツキナの回復を待った。
「ごめん、アスカ!」
「相変わらずですね! ガオルガさん!」
ガオルガも謝る。アスカも慣れているのか、ツキナと同じような表情をしていた。ガオルガもアスカの回復をじっくりと待つ。
「ぐわっはっは! 久々に楽しめそうだ! 俺は獣人連合、リーダーのガオルガだ! お前は?」
「僕は強者の集いのリーダーで、ヒビトだ!」
ガオルガが表情を変えずに言うので、僕は答えた。攻撃してきたのが、《獣人連合》のリーダーだったらしい。
バフがかかっていない状態であれだけの威力の高い攻撃を出せるのだ。本気を出したらどうなってしまうのだろうか……。
「へぇ~! あのヒビトかぁ……! 一回、戦ってみたいと思ってたんだぜぇ!」
「僕もだ!」
ガオルガの話に乗ってみたが、実際のところ釣り大会前に体力を消耗したくないと思っている。
両手剣使いの男性
「おっ! 強者の集いのヒビトと獣人連合のガオルガが戦うみたいだぞ! 見に行こうぜ!」
斧使いの男性
「マジで⁉︎ 行く行く!」
片手剣使いの女性
「ヒビト君の戦いを見たいから、私も行くね!」
弓使いの女性
「私も見たい!」
僕とガオルガの話を聞いていた周囲のプレイヤー達がこちらに向かってくる。話を聞いていなかったプレイヤー達も何かが始まると察知して向かってくる。
僕とガオルガの周りは十分も経たずに多くのプレイヤーに囲まれてしまった。まだ、戦うと決まった訳ではないのに、この状況では戦わざるを得ない。
「最初からとばして行くぜ! ヒビト! モード黒獅子!」
ガオルガの体から黒色のオーラが出現する。さらにガオルガの背後には黒獅子が見える。
「僕も本気でいかせてもらう! ブレンディング!」
僕はフウラと融合する。見るからに強そうなオーラを発しているガオルガ。僕も全力で向かい打たないと、一瞬で負けてしまうと思った。
数秒の時を開けた後、僕達はお互いに接近し、二人の武器がぶつかり合った。衝撃の波が周辺のプレイヤー達に向かっていく。
「シールド!」
ツキナが他のプレイヤーが巻き込まれないように機転を効かせる。僕は戦闘に集中しており、周りの状況をしっかり把握できていなかった。その為、ツキナには感謝している。
「このままでは……」
止まぬ衝撃の波。ツキナは顔を歪めている。
「私はアスカ、助太刀しますよ」
ツキナの後方から、さっきまでガオルガの隣にいた女性がツキナの手に手を添える。アスカが手を添えた瞬間、消えかかっていたシールドが復活した。
「これは……?」
「これは再生スキル、リプロダクションだよ」
「なるほど……だからシールドが復活したのね」
「そう言う事!」
ガオルガと戦闘をしながら、ツキナとアスカの話を聞いていた。あの二人が協力して観客を守ってくれるのなら周囲のことを気にせずに戦闘できそうだ。
「へぇ~。お前の武器、レジェンダリーウェポンか~!」
「ご名答! お前もだろ?」
ガオルガの持っている武器、それは黒と紫が混ざったような禍々しい大斧、その斧の近くにいるだけで、息苦しくなるほどのオーラを発生させている。
レジェンダリーウェポンの武器で受けていなければ破壊されていたかもしれないと思ってしまった。
レジェンダリーウェポンの武器特有の固有スキルというものが前回のアップデートで実装されたので、どんなスキルなのか非常に気になってしまう。ちなみに僕の神威は属性ダメージを与えれば与えるほど攻撃力が上がっていくと言うものだった。どれだけ上がるのかは試したことがないのでよく分からないが……。
「勿論だ!」
僕とガオルガはニヤリと笑う。こんなに手応えのある人と戦ったのは久々なので、自然にこの表情になってしまった。ガオルガも僕と同じなのだろう。
僕とガオルガは再び距離を取り、剣と斧を打ち合う。僕とガオルガの実力は互角なのか、今の所は遅れを取っていない。最初は騒いでいた観客も僕とガオルガを追うことに集中して全く喋らなくなっていた。
「獅子王奥義! 修羅・幻滅神!」
ガオルガの背後にいた黒獅子がこちらに向かってくる。いきなり奥義を使ってくるとは予想もしていなかったが、僕もフウラと一緒に奥義というものを作ってみたのだ。出し惜しみをしたら負ける。奥義には奥義をぶつけることが成功法だ。
「フウラ! 行くぞ!」
「フォッコォォ!」
僕はフウラを具現化させる。本来、【ブレンディング】を使っているときには幻獣を具現化させることは難易度が高く、なかなか挑戦するプレイヤーはいない。だが僕は時間をかけて習得した。
「宿れ! フウラ! 紅蓮神威《ぐれんかむい》!」
「フォッコォォ!」
フウラは叫びながら神威の中に入っていく。これが、僕が作りだした奥義と呼べるものだ。フウラを神威に宿すことによって、今まではなかった爆破属性を付与できるうえに攻撃力が上がるのだ。神威からは
「ほーう、面白れぇ!」
ガオルガはにやりと笑いながら、上から強力な振り落とし攻撃五連撃を繰り出してくる。僕は【スクイッド・オーシャン】でそれを迎撃する。こっちの方が、連撃数が有利のはずなのに押し切れない。それほどガオルガの繰り出したスキルが強力と言うことなのだが……。
「おりゃぁぁぁぁぁ! 紅蓮火!」
「おらぁぁぁぁぁぁ!」
これぞ最後の一撃と言わんばかりに僕とガオルガは雄叫びを上げながら接近し、僕は爆破属性を纏わせた剣を振り落とす。ガオルガは下から斧を掬い上げるように降る。
僕の剣とガオルガの斧が接触しようとした瞬間、四人の人影が僕たちの間に入りスキルを止めた。
「ヒビトさん! ツキナさんが死にそうになってますよ!」
「ガオルガさんでしたっけ? アスカさんが倒れそうですよ!」
アサガオとハルが言う。僕とガオルガの間に入ったのは戦国兄弟とアサガオとハルだった。二人掛かりでスキルを止めたらしい。
僕は集中していて何が起きたのか、分からない状態だったので周りを見渡してみる。ツキナが張っていたはずのシールドは壊れ、僕達の周りにはボコボコと穴が開いていた。さらにツキナとアスカは横になっており、トモとリリが何かを飲ませていた。どうやらSPを全損してしまったらしい。僕はツキナにすぐに近づく。ガオルガも同様にアスカに近づいた。
「ごめん、ツキナ! やり過ぎた!」
僕はツキナを膝枕して、謝る。
「いいわよ、慣れてるから」
脱力状態になっているにも関わらず、笑顔を見せてくれるツキナ。(本当にごめん)と心の中で深く謝罪し、ツキナの回復を待った。
「ごめん、アスカ!」
「相変わらずですね! ガオルガさん!」
ガオルガも謝る。アスカも慣れているのか、ツキナと同じような表情をしていた。ガオルガもアスカの回復をじっくりと待つ。
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サバイバル迷宮の五が抜けて六になってますよ
すいません! 一話飛んで公開してしまいました。一個前の話を公開にします。
面白かったです!
続き楽しみにしています
ありがとうございます。期待に添えるよう頑張っていきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
5個目の話でスキル弱点突きの効果は0.6ではなく1.6ではないでしょうか
コメントありがとうございます!確認したところこのスキルは五段階進化で最大が三倍になるので、弱点突きIの効果は0.6倍ですね。少しネタバレになっちゃいましたすいません。