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番外編 ボードゲーム 1
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<作者より>
この番外編は、完全に作者の趣味の話になります。
読み飛ばしていただいても、物語には一切影響ありません。
無理せず第20話『休息』へお進みください。
以下のページにゲームをまとめていますので、雰囲気だけでもご覧いただくと、内容の理解が深まるかと思います。
https://minarinbg.com/kitacomi10/
* * *
ある日、涼夏が真顔でこんなことを言い出した。
「私たちは、もっとインドアの遊びを強化しなくちゃいけない」
「どうして?」
何気なくそう聞き返したが、涼夏の発言に異論はなかった。外で遊ぶとお金がかかるし、家で出来ることを増やすに越したことはない。
もっとも、涼夏の家も私の家も、お互いに定期券の範囲外だから、遊びに行くのにも結局お金はかかる。移動に時間もかかるし、帰宅部の活動にはあまり適していない。
そう思いながら返事を待つと、涼夏は私の想像とはかけ離れたことを言った。
「例えばひどい病気が蔓延して、外に出られなくなるかもしれない。そうなったら、家で遊ばないといけない」
「ペストみたいな? それ、遊んでる場合じゃないと思うけど」
呆れながらそう言うと、涼夏はふるふると首を振った。
「もっと軽いの。政府がみんな家で大人しくしてろって、外出制限とかするの。ステイ・ホーム!」
「何か映画でも見たの? それとも、別の世界線を覗いてきたの?」
「なんだそりゃ。ナッちゃんみたいなことを言うな」
涼夏がケラケラと笑う。果たして奈都がそんなことを言う子かはわからないが、涼夏の中ではそういうイメージらしい。
私が続きを待っていると、涼夏はわざとらしく咳払いをしてからそっぽを向いた。
「それに、ほら、将来一緒に暮らすかもしれないじゃん? そうなったら、家で一緒に遊べるものがあるといいと思うんだ」
突然将来の話が始まった。私が様子を窺うように涼夏の顔を覗き込むと、涼夏は顔を赤くして私を押し退けた。
「わかったから!」
「涼夏、私と一緒に暮らすの?」
「可能性! ほら、仲良しでシェアハウスとか、今時よくあるでしょ?」
それは確かによく聞く話だ。もちろん私は、クラス替えすら恐れているくらいだから、卒業した後のことを考えると、悲しくて涙が出そうになる。もし涼夏も同じ気持ちで、私と一緒に暮らすことを考えてくれているのなら、それは本当に嬉しいことだ。
「涼夏、愛してる」
瞳を潤ませて見つめると、涼夏ははいはいと軽くあしらいながら、にっこりと笑った。
「そこで今度、ボードゲームに挑戦してみようと思う」
「ボードゲームって、前にやった『ナンジャモンジャ』みたいなの?」
涼夏が企画してくれた私と絢音の合同誕生日会で、『ナンジャモンジャ』と『ディクシット』という2つのゲームで遊んだ。あれは確かに面白かったが、二人でやるようなゲームではない。涼夏のシェアハウス計画には、絢音と奈都も入っているのだろうか。そう尋ねると、涼夏は私を見ながら物を動かすような動きをした。
「シェアハウスの話は置いといて、二人用のゲームもたくさんあるんだよ。もっとじっくり考えるようなヤツとか」
「囲碁とか将棋みたいなの?」
「どっちかというと、そっちに近いのかな? でも、カードめくったり、タイル並べたり、そんなの」
それはそれで面白そうだ。すでにだいぶ調べたようだし、要するに一緒にやってみたいのだろう。
もちろん、歓迎である。空を飛びたいとか海に潜りたいとか言われたら考えるが、ゲームで遊ぶくらいはいつでも付き合いたい。
私が二つ返事でOKすると、涼夏は満足そうに頷いて、今度やろうと約束した。
そんなわけで、早速次の休みの日に、涼夏が中央駅から歩いて行ける場所にあるカフェに、私を連れてきた。ボードゲームカフェというジャンルの店らしく、店内にはボードゲームが整然と並べられ、定額で好きなだけ遊ぶことができるシステムだ。
店員さんがインストと言ってルール説明もしてくれるらしい。涼夏は事前にゲームを調べてきていて、ルールもある程度見てきたようだが、難しそうなゲームはお願いすることにした。
「今日は、簡単なのから、どんどん難しそうなのに挑戦していこうと思う。ゲームを10個チョイスしたから、全部1回ずつやって、負けた方がアイス奢りね」
涼夏がそう言いながら、早速一つゲームを手に取った。私は慌てて手を伸ばした。
「待って。私、圧倒的に不利じゃん。涼夏、ルールを把握してきたんでしょ?」
せめてどのゲームも2、3回やろうと提案すると、涼夏は可愛らしく首を傾げた。
「私と千紗都の頭の出来を考えたら、丁度いいくらいのハンデじゃない?」
「そんなことはないと思う」
私は努めて冷静に首を振った。確かに涼夏の学校の成績は褒められたものではないが、それは涼夏のやる気がないだけだ。いつも冗談でからかっているが、私は本気で涼夏の頭が悪いなどとは思っていない。
ごくりと息を呑むと、涼夏はボードをテーブルの中央に置いてから、袋に入ったプラスチックのタイルを片方渡してきた。
「それに、面白かったら買おうと思ってるから、なるべくたくさんのゲームをやりたいんだよ」
涼夏曰く、ゲームはそこそこいいお値段なので、まったく知らずに買うのはリスクが高い。だから、こういう場所で遊んでみて、楽しかったら買うというのがお金のない学生の定石らしい。
そう言われたらしょうがない。アイスくらいは奢ってあげてもいいが、せっかくだから全力で勝たせてもらおう。
記念すべき最初のゲームは、『ブロックス』というゲームだった。本来は4人用で4色のタイルがあるそうだが、これは2人用でボードも小さくなっている。
テトリスのように様々な形をしたピースをボードの上に交互に並べて行き、互いに置けなくなったら終了。残ったピースのマスの数が少ない方が勝ちという簡単なゲームである。
置き方のルールとしては、自分のピースは必ず角が繋がるように配置する。この時、辺は接してはいけない。相手のピースとは辺が接してもいいから、角と角の隙間から相手の隙間に縫うように入り込むことができる。
説明書を聞いて、大体のゲーム感と、最終的にどんな盤面になるかの想像はできた。
ジャンケンをして、勝った涼夏から置き始める。ピースの数は21個。全部置き切ることも可能らしい。
「とりあえず大きいのを置いた方がいいのかな」
そう言いながら、涼夏がWのような形をしたピースを置いた。
最初に置く位置は中央よりやや手前と決まっているが、さっさと奥に攻め込んだ方がいいのか、それとも手前側に自分の陣地を作るように並べた方がいいのか。
使いにくそうな正方形のピースを置くと、涼夏は一番長い棒を置いて切り込んできた。早速正方形の角が一つ死んでしまう。
「これ、相手の角を潰していくゲームか」
そう呟きながら、十字のピースで涼夏の棒の先端を完全に塞ぐと、涼夏が難しい顔をした。
「ルール簡単なのに、難しいなぁ」
「ルールが簡単でプレイが難しいのはいいゲームだね」
カチャカチャと音を立てながら、ボードが2色のピースで埋まっていく。
もっと綺麗に敷き詰められるのかと思ったら、互いに容赦なく潰し合った結果、手元にかなり多くのピースが残った状態で詰んでしまった。
私は5マスのピースが4つも残り、マイナス24点。涼夏の方は私より1つ多い6ピース残り、マイナス25点で、辛くも私が勝利した。
「凌いだ……」
ぐったりとテーブルに突っ伏すと、涼夏が腕を組んでボードを見つめた。
「結局、最初の5マスの棒の置き方が悪かった」
「これ、どうすればいいんだろうね。私はむしろ置けずに残ったし」
「先手が不利ってわけじゃないけど、先に切り込んだら損かもしれない」
「邪魔はしやすいね」
プレイ時間は短いし、もう一度やるか聞いたら、涼夏は静かに首を振った。あくまで1ゲーム1回にするらしい。
「結構やりたみが深いんだけど」
名残惜し気に訴えると、涼夏はピースを袋に詰めながら、「安いし、買ってもいいかね」と呟いた。
買ってくれるのなら無理強いはするまい。ここは素直に発案者に従って、次のゲームを待つことにした。
この番外編は、完全に作者の趣味の話になります。
読み飛ばしていただいても、物語には一切影響ありません。
無理せず第20話『休息』へお進みください。
以下のページにゲームをまとめていますので、雰囲気だけでもご覧いただくと、内容の理解が深まるかと思います。
https://minarinbg.com/kitacomi10/
* * *
ある日、涼夏が真顔でこんなことを言い出した。
「私たちは、もっとインドアの遊びを強化しなくちゃいけない」
「どうして?」
何気なくそう聞き返したが、涼夏の発言に異論はなかった。外で遊ぶとお金がかかるし、家で出来ることを増やすに越したことはない。
もっとも、涼夏の家も私の家も、お互いに定期券の範囲外だから、遊びに行くのにも結局お金はかかる。移動に時間もかかるし、帰宅部の活動にはあまり適していない。
そう思いながら返事を待つと、涼夏は私の想像とはかけ離れたことを言った。
「例えばひどい病気が蔓延して、外に出られなくなるかもしれない。そうなったら、家で遊ばないといけない」
「ペストみたいな? それ、遊んでる場合じゃないと思うけど」
呆れながらそう言うと、涼夏はふるふると首を振った。
「もっと軽いの。政府がみんな家で大人しくしてろって、外出制限とかするの。ステイ・ホーム!」
「何か映画でも見たの? それとも、別の世界線を覗いてきたの?」
「なんだそりゃ。ナッちゃんみたいなことを言うな」
涼夏がケラケラと笑う。果たして奈都がそんなことを言う子かはわからないが、涼夏の中ではそういうイメージらしい。
私が続きを待っていると、涼夏はわざとらしく咳払いをしてからそっぽを向いた。
「それに、ほら、将来一緒に暮らすかもしれないじゃん? そうなったら、家で一緒に遊べるものがあるといいと思うんだ」
突然将来の話が始まった。私が様子を窺うように涼夏の顔を覗き込むと、涼夏は顔を赤くして私を押し退けた。
「わかったから!」
「涼夏、私と一緒に暮らすの?」
「可能性! ほら、仲良しでシェアハウスとか、今時よくあるでしょ?」
それは確かによく聞く話だ。もちろん私は、クラス替えすら恐れているくらいだから、卒業した後のことを考えると、悲しくて涙が出そうになる。もし涼夏も同じ気持ちで、私と一緒に暮らすことを考えてくれているのなら、それは本当に嬉しいことだ。
「涼夏、愛してる」
瞳を潤ませて見つめると、涼夏ははいはいと軽くあしらいながら、にっこりと笑った。
「そこで今度、ボードゲームに挑戦してみようと思う」
「ボードゲームって、前にやった『ナンジャモンジャ』みたいなの?」
涼夏が企画してくれた私と絢音の合同誕生日会で、『ナンジャモンジャ』と『ディクシット』という2つのゲームで遊んだ。あれは確かに面白かったが、二人でやるようなゲームではない。涼夏のシェアハウス計画には、絢音と奈都も入っているのだろうか。そう尋ねると、涼夏は私を見ながら物を動かすような動きをした。
「シェアハウスの話は置いといて、二人用のゲームもたくさんあるんだよ。もっとじっくり考えるようなヤツとか」
「囲碁とか将棋みたいなの?」
「どっちかというと、そっちに近いのかな? でも、カードめくったり、タイル並べたり、そんなの」
それはそれで面白そうだ。すでにだいぶ調べたようだし、要するに一緒にやってみたいのだろう。
もちろん、歓迎である。空を飛びたいとか海に潜りたいとか言われたら考えるが、ゲームで遊ぶくらいはいつでも付き合いたい。
私が二つ返事でOKすると、涼夏は満足そうに頷いて、今度やろうと約束した。
そんなわけで、早速次の休みの日に、涼夏が中央駅から歩いて行ける場所にあるカフェに、私を連れてきた。ボードゲームカフェというジャンルの店らしく、店内にはボードゲームが整然と並べられ、定額で好きなだけ遊ぶことができるシステムだ。
店員さんがインストと言ってルール説明もしてくれるらしい。涼夏は事前にゲームを調べてきていて、ルールもある程度見てきたようだが、難しそうなゲームはお願いすることにした。
「今日は、簡単なのから、どんどん難しそうなのに挑戦していこうと思う。ゲームを10個チョイスしたから、全部1回ずつやって、負けた方がアイス奢りね」
涼夏がそう言いながら、早速一つゲームを手に取った。私は慌てて手を伸ばした。
「待って。私、圧倒的に不利じゃん。涼夏、ルールを把握してきたんでしょ?」
せめてどのゲームも2、3回やろうと提案すると、涼夏は可愛らしく首を傾げた。
「私と千紗都の頭の出来を考えたら、丁度いいくらいのハンデじゃない?」
「そんなことはないと思う」
私は努めて冷静に首を振った。確かに涼夏の学校の成績は褒められたものではないが、それは涼夏のやる気がないだけだ。いつも冗談でからかっているが、私は本気で涼夏の頭が悪いなどとは思っていない。
ごくりと息を呑むと、涼夏はボードをテーブルの中央に置いてから、袋に入ったプラスチックのタイルを片方渡してきた。
「それに、面白かったら買おうと思ってるから、なるべくたくさんのゲームをやりたいんだよ」
涼夏曰く、ゲームはそこそこいいお値段なので、まったく知らずに買うのはリスクが高い。だから、こういう場所で遊んでみて、楽しかったら買うというのがお金のない学生の定石らしい。
そう言われたらしょうがない。アイスくらいは奢ってあげてもいいが、せっかくだから全力で勝たせてもらおう。
記念すべき最初のゲームは、『ブロックス』というゲームだった。本来は4人用で4色のタイルがあるそうだが、これは2人用でボードも小さくなっている。
テトリスのように様々な形をしたピースをボードの上に交互に並べて行き、互いに置けなくなったら終了。残ったピースのマスの数が少ない方が勝ちという簡単なゲームである。
置き方のルールとしては、自分のピースは必ず角が繋がるように配置する。この時、辺は接してはいけない。相手のピースとは辺が接してもいいから、角と角の隙間から相手の隙間に縫うように入り込むことができる。
説明書を聞いて、大体のゲーム感と、最終的にどんな盤面になるかの想像はできた。
ジャンケンをして、勝った涼夏から置き始める。ピースの数は21個。全部置き切ることも可能らしい。
「とりあえず大きいのを置いた方がいいのかな」
そう言いながら、涼夏がWのような形をしたピースを置いた。
最初に置く位置は中央よりやや手前と決まっているが、さっさと奥に攻め込んだ方がいいのか、それとも手前側に自分の陣地を作るように並べた方がいいのか。
使いにくそうな正方形のピースを置くと、涼夏は一番長い棒を置いて切り込んできた。早速正方形の角が一つ死んでしまう。
「これ、相手の角を潰していくゲームか」
そう呟きながら、十字のピースで涼夏の棒の先端を完全に塞ぐと、涼夏が難しい顔をした。
「ルール簡単なのに、難しいなぁ」
「ルールが簡単でプレイが難しいのはいいゲームだね」
カチャカチャと音を立てながら、ボードが2色のピースで埋まっていく。
もっと綺麗に敷き詰められるのかと思ったら、互いに容赦なく潰し合った結果、手元にかなり多くのピースが残った状態で詰んでしまった。
私は5マスのピースが4つも残り、マイナス24点。涼夏の方は私より1つ多い6ピース残り、マイナス25点で、辛くも私が勝利した。
「凌いだ……」
ぐったりとテーブルに突っ伏すと、涼夏が腕を組んでボードを見つめた。
「結局、最初の5マスの棒の置き方が悪かった」
「これ、どうすればいいんだろうね。私はむしろ置けずに残ったし」
「先手が不利ってわけじゃないけど、先に切り込んだら損かもしれない」
「邪魔はしやすいね」
プレイ時間は短いし、もう一度やるか聞いたら、涼夏は静かに首を振った。あくまで1ゲーム1回にするらしい。
「結構やりたみが深いんだけど」
名残惜し気に訴えると、涼夏はピースを袋に詰めながら、「安いし、買ってもいいかね」と呟いた。
買ってくれるのなら無理強いはするまい。ここは素直に発案者に従って、次のゲームを待つことにした。
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