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第29話 抱負 3.1月2日
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翌日。涼夏のバイトがあるので、昨日よりはだいぶ早く起きた。箱根駅伝もまだ始まっていない。
腕の中の愛しい温もりはすでになく、涼夏は服を着て椅子に座って私を眺めていた。私はあくびをしながら眠たい目をこすった。
「おはよ」
「うん。おはよ。朝ご飯どうする?」
「軽くでいいよ」
寝ぼけながらそう答えると、涼夏は可笑しそうに顔を綻ばせた。何か変なことを言っただろうか。ベッドから起き上がりながら聞くと、涼夏は笑いながら立ち上がった。
「当たり前のように私が作ることになってた」
「そうだね。料理は涼夏の担当」
「なるほど。千紗都は何を担当するの?」
涼夏がからかうように目を細める。考えてみたが、何も思い浮かばなかった。
「私は千紗都のお母さん役をするつもりはないから、感謝の気持ちを忘れたら作らないよ? 妹にもそう言ってる」
きっぱりとそう言うと、しばらく私に口づけをしてから部屋を出て行った。確かに、甘えてもいい領域といけない領域はある。親からも友達からも甘やかされている自覚はあるが、少しずつ改善していかなくてはいけない。
顔を洗って、髪の毛だけ整えてリビングに行くと、朝ご飯はすでに完成していた。パンとサラダと目玉焼きに、ホット牛乳。「神か」と呟くと、涼夏は呆れたように肩をすくめた。
「これくらいはさすがに秒で作れるようになって。野菜切って玉子焼いただけだよ?」
「牛乳があったかい」
「電子レンジに入れてボタンを押しただけだから」
「パンが焼けてる」
「初めて文明に触れた未開人みたいだよ?」
涼夏が少しだけ笑ってパンをかじった。
窓から朝の光が差し込んでいる。いつもは親と座っているテーブルを、涼夏と二人で囲んでいるのは、何か変な世界線に迷い込んだような違和感がある。
「涼夏と一緒に暮らしたら、こんな感じかな」
「かもね。自然とそういう想像をしてくれる千紗都を愛してる」
「私も自立しないと」
「しなくていいし。今、話の流れが変だったよ?」
そうだっただろうか。一緒に暮らすなら家事は分担するという話だったと思うが、念のためそう聞くと、涼夏は「だいぶ巻き戻ったな」と苦笑した。
「感謝を忘れないでって話をしたつもりだった」
「それはそうだけど、ちゃんと担当も決めろってことだと思った」
「まあ、色々出来るようにはなってもらうよ。一緒に暮らすっていうのは、やっぱり楽しいことばかりじゃないと思うし」
確かに、ご飯に限らず、掃除も洗濯も、私は家で何もしていない。それに加えて、ゴミ捨てもあるし、お風呂やトイレの掃除もあるし、諸々の手続きもあるし、お金だってかかる。なんだかいられるだけ家でのうのうと過ごしたい気もするが、いつか出ていかなくてはいけないのなら、やっぱり涼夏と暮らしたい。
「私のあまりのしょぼさに、涼夏が呆れないか心配」
「私は千紗都のしょぼさをかなり理解してるつもりだけど、それを上回ったら知らん」
全然嬉しくない励ましを受けながら、食事を済ませる。食器は私が洗って勝ち誇るように胸を張ると、涼夏が「偉いねー」と頭を撫でてくれた。せっかく頑張ったのに、評価はだだ下がりな気がしてならない。
部屋に戻ってメイクをして、二人で揃って家を出た。今から行くとだいぶ早いが、涼夏を一人で行かせるのも嫌だったので、早めに集まろうと他の二人に声をかけてある。
最寄り駅で奈都と合流すると、新年の挨拶をしてから、奈都がからかうような目をして言った。
「昨日はどうだった?」
「今年一番いい日だったよ」
涼夏がいつもの笑顔で答える。ただひたすらイチャついていただけだが、よほど楽しかったのか、実に晴れやかな笑顔だ。奈都が羨ましそうに涼夏を見つめた。
「いいなぁ」
「私は突っ込んで欲しかった」
「突っ込んで欲しかったの!?」
奈都が急に大きな声でそう言って、慌てて口を押さえた。突然のことに驚いて、私は思わず目を丸くした。今の反応は一体何なのか。何かのジョークなのか、涼夏と顔を見合わせてから、真顔で奈都を見つめた。
「奈都って、今年も変だね」
「それは心外だけど、今のは自分でも変な反応だった自覚がある」
「私も今度絢音に、何でもないことでいきなり驚いてみようかな」
「何でもなくはないんだけど、もう好きにして。1月1日だから、今年一番に決まってるって意味だよね?」
「それ以外に何があるの?」
呆れながら首を傾げると、涼夏も隣で苦笑いを浮かべた。
電車に乗って、涼夏の働いているショッピングセンターに移動する。車内は朝から人でいっぱいだ。そういえば、まだ初詣に行っていない。今日奈都と別れてから、涼夏のバイトが終わるまでの間に行ってこようか。後で絢音と相談しよう。
先に来ていた絢音が、「あけおめー」と軽いノリで言って涼夏にハグをした。次は私だろうと待ち構えたが、「涼夏はこれからバイトだから」とかわされた。悲しかったので、代わりに奈都を抱きしめたら、奈都は変な声を上げて顔を赤くした。
涼夏と別れてから、近くのベンチに並んで腰掛ける。閉ざされた入口前には、福袋目当ての列が出来ていたが、そこまでして欲しいものはなかった。一応二人にも聞いてみたが、そもそも福袋に興味がないらしい。やはり私と涼夏とは趣味が異なる。
「昨日は涼夏とイチャイチャしてたの?」
絢音がうっとりと目を細めて、私の指先をつまんだ。実にストレートな質問だ。隣で奈都がゴクリと息を呑んだが、絢音はにこにこしながら私を眺めている。
「まあ、一緒には寝たね」
「海の時も温泉の時も、千紗都っていつも涼夏と寝てるよね」
「抱き心地はいいね。別に、絢音も奈都も、泊まりに来てくれたらいつでも一緒に寝るけど」
「それはいいアイデアだね。ご両親がいるのはちょっと緊張するけど」
絢音が柔らかく微笑んだ。奈都は何か良からぬ想像でもしているのか、顔を赤くして俯いている。中学時代、何度も一緒に寝ているはずだが、年々奈都の想像力は豊かになっているようだ。
「絢音は昨日はどうだった? お父さんの方とお母さんの方と、両方実家に行ってきたんでしょ?」
「うん。大変だったけど、お年玉もらってほくほく。まあ、みんなとメッセージしてたし、そんなに退屈でもなかったよ」
「私はまた明日、今度はお父さんの方に行かないといけない。面倒だ……」
明日のことを考えてため息をつく。またあの微妙な空気の中、一日過ごさなくてはいけないのかと思うとげんなりするが、それも贅沢な悩みなのかもしれない。
涼夏は父親とすら会わないと言っていたから、当然その祖父母とも会わないのだろう。お年玉ももらえないし、そもそも家族が減るのは寂しいことだ。本人が平気そうなので同情するのはかえって失礼だろうが、私ならやっぱり寂しく思う。
奈都は今日の午後で親戚関係の行事はすべて終わるが、そもそもそんなに嫌ではないらしい。
「久しぶりに従兄弟に会えるし、まあお兄ちゃんも帰って来てるし、たまにはみんな揃うのもいいと思う」
「奈都はいい子だね。偉いね」
頭をそっと撫でてあげると、奈都は憮然とした顔で、「とてもバカにされている気がする」と呟いた。被害妄想はやめていただきたい。
絢音とはクリスマス以来ということもあり、ここ数日の近況を語り合っている内に、開店時間になった。列を作っていた人たちがみんな建物に飲み込まれてから、ゆっくりと中に入る。とりあえず、涼夏を冷やかしに雑貨屋に行くと、他の店と同じように福袋が並んでいた。
「いらっしゃい。売れ残りの詰め合わせ、お一ついかがですか?」
涼夏が福袋を手に取って、私たちにだけ聞こえる声で言った。身も蓋もない説明だ。
「当たりはないの?」
奈都が興味深そうに聞く。福袋を作る側になったことがないので、一体中に何が入っているのか、買う気はないが関心はあるようだ。涼夏は苦笑いを浮かべて福袋を元に戻した。
「欲しいものが入ってたら、当たりと言えるね。後で千紗都と、どこかで1つくらい買ってみようって話してるけど、まあそのお金で好きなものを1つ買う方が、間違いはないと思う」
「この世界には夢も希望もない」
「定価ベースなら、値段以上のものが入ってるのは確かだよ」
楽しそうにそう言って、涼夏は「ごゆっくり」と手を振って店内に戻って行った。
福袋の他にもセールをしているからか、客の入りは上々。なかなか忙しそうだが、店内は暖かいし、やはり極寒の列整理よりは遥かに楽そうだ。こればかりは長期バイトの特典だと、納得するしかない。
喋りながら他の店もブラブラと見て回る。珍しく絢音が試着をして、割と攻めた赤い服を買った。随分前に、別に買い物は嫌いではないと言っていたが、本当のようだ。あくまで、買えないものを見るのに興味がないだけらしい。
「今度のライブ、みんなで赤い服を着ようって話してて、せっかくだから何か新調しようって思ってた」
絢音が紙袋を掲げて微笑む。ライブはどんな感じなのか奈都が尋ねて、絢音が空いていたベンチに腰掛けながら言った。
「ライブも出来るレストランみたいなとこ。バー? わかんないけど、そんなとこ」
「それ、すごくない?」
「ナツが思ったようなのとはたぶん違うよ。小さな店で、高校生デーみたいな企画に何組か参加するみたい。さぎりんの友達のソプラノサックスの子が参加したいって言って、私のギターとドラムとキーボードとサックスっていう、意味不明な布陣になってる」
「サックス、カッコイイ!」
私が声を弾ませると、絢音は満足そうに頷いてから、苦笑いを浮かべた。
「ボーカルとの相性はあんまり良くないね。私たちの編曲が下手なだけかもしれないけど。いっそ主旋律はサックスに任せるかって話も出たけど、そこまで上手じゃないし、莉絵は私に歌って欲しいみたい」
「私も絢音の歌が聴きたいね」
一応そう伝えると、絢音は「じゃあ頑張ろう」と笑った。相変わらずバンド活動が充実しているようで、若干の寂しさは覚えるが、年末さんざんバイトしてほったらかしにした私が言えた台詞ではない。
そのままバンドの話や奈都の年末の過ごし方を聞いていたら、いい時間になった。久しぶりに会うと、どれだけ喋っても話し足りない。奈都はご飯は要らないと言っていたので、そろそろ別れることにする。
絢音がハグしていたので、私も同じようにハグしてから、「来てくれてありがとう」と耳元で囁いた。それから、なんとなくキスをして体を離すと、奈都はしばらく固まってから、唇を押さえて大袈裟に身を仰け反らせた。
「な、何? どうしたの?」
「新年初チュー」
「今年はそういうキャラで行くの? 大歓迎だけど」
そういうキャラというのがどういうキャラなのかはわからないが、あわあわしている奈都は何だか可愛い。隣で絢音が、次は私の番だと唇を突き出していたので、今朝のハグのお返しに「奈都はこれから帰るから」とかわした。
奈都の背中を見送った後、フードコートで食事をしてから、近所の適当な神社に初詣に行こうと提案した。涼夏は買い物をしたがっていたし、涼夏を待っていたら遅くなる。
それなりに大きそうな神社を調べて行くと、初詣の参拝客で賑わっていた。由緒も何もわからないが、列に並んでお参りをする。とりあえず、愛友たちと仲良く過ごせるよう願っておいた。
ショッピングセンターへの帰り道で、願い事と一緒に今年の抱負について聞くと、絢音は悩ましげに腕を組んだ。
「勉強は、せっかくだから学年10位以内はキープしたいね」
「あー、私も30位台はキープしたい」
「帰宅部は寒い季節になるし、何か安くてインドアでも楽しめるものを考えないとね」
「気軽に私の家に来れたらいいんだけどね。ゲームも出来るし」
「1時間チャレンジも出来るし」
そう言って、絢音がうっとりと微笑む。
「寒いし、あったまっていいかもね」
あしらうようにそう答えると、絢音は満足そうに頷いた。もちろん、来てくれたら1時間でも2時間でもチャレンジしてくれていいが、実際にはお金がかかるし、なかなか難しい。もっとも、カフェでケーキを食べるお金があれば往復できるし、私もお金を出していいから、私の家で遊ぶ回数を増やすのはありかもしれない。そうなったら、私もボードゲームを1つ2つ、部屋に常備しよう。
「後はバンドだね。今月のライブは楽しみだけど、あんまり練習で帰宅部の活動に支障が出るのは嬉しくない」
「ずっとそう言ってくれてるね」
「千紗都が大好きだからね」
熱っぽい瞳で訴える。それは大変有り難い。
冬にしては日差しが穏やかだったので、ショッピングセンターの外のベンチに腰掛けると、残り数日の冬休みについて話した。私は明日は家の用事で拘束されるが、それ以降はバイトもないし暇している。宿題が残っているので、全力で遊ぶためにも、明日祖父母の家でやっつけてしまうのもいいかもしれない。奈都のように親戚行事を楽しむような社交性を、生憎私は持ち合わせていない。
「一度どこかで、千紗都の家に泊まりに行こうかな。迷惑じゃなかったら」
絢音が色の淡い青空を見上げながらそう言って、そっと私の手を取った。
「迷惑ではないけど、親はいるよ?」
「それも含めて迷惑じゃなければ、だね」
絢音がいいなら私は全然構わないが、両親はどうだろう。奈都はすでに顔見知りだから気軽に泊まっているが、絢音はまだ私の両親と会ったことがない。話題には出しているが、初対面でいきなりお泊まりは、特に父親は気を遣うかもしれない。
「微妙かなぁ。まあ、泊まりでしかできないことはないし、涼夏がバイトで両親は仕事の日に、朝から家に来てくれてもいいよ。何かしたいことある?」
代案を提示しつつそう聞くと、絢音はにんまりと笑って頷いた。
「昨日、涼夏としたこと」
じっと見つめると、絢音は可愛らしく首を傾げた。何をしたのか知った上で言っているのか、それとも単に、涼夏がしたことを自分もしたいと思っているだけか。
一緒にお風呂に入って洗いっこした上、裸で寝ていたと聞いてなお、絢音はそれをしたがるだろうか。それとも、それがしたくて言っているのか。興味はあるが、それは内緒にして当日を迎えた方が面白そうだ。
「じゃあ今度、そういう予定にしよう」
無邪気に微笑む絢音が可愛かったので、とりあえず絢音にも新年初チューをしておいた。
奈都は部活、涼夏はバイト、絢音はバンドと、みんな私の他にも心の拠り所がある。特に絢音のそれは、友達と遊んでいるという点において、他の二人よりも危機感を抱いている。
もっと絢音の心にも体にも、私という存在を刻み込みたい。そんなことを思いながら見つめると、絢音が怯えるように自分の体を抱きしめた。
「エッチな目で見てた」
「うん。揉みしだきたい」
「揉みしだけるようなサイズじゃないし、そもそもあんまり興味ないよね?」
「まあ、そうだね」
「私は揉みしだきたい」
明るくそう言いながら、絢音が私の胸をつついた。絢音が望むなら、好きなだけ揉んでくれていい。
みんなが褒めてくれる容姿も含めて、私は自分に自信がない。だから、いつだって私はみんなとの関係に不安を覚えている。
今年はもっと自信をつけて、みんなの愛に全力で応えられるようになりたい。それも一つ、今年の抱負に加えておこう。
腕の中の愛しい温もりはすでになく、涼夏は服を着て椅子に座って私を眺めていた。私はあくびをしながら眠たい目をこすった。
「おはよ」
「うん。おはよ。朝ご飯どうする?」
「軽くでいいよ」
寝ぼけながらそう答えると、涼夏は可笑しそうに顔を綻ばせた。何か変なことを言っただろうか。ベッドから起き上がりながら聞くと、涼夏は笑いながら立ち上がった。
「当たり前のように私が作ることになってた」
「そうだね。料理は涼夏の担当」
「なるほど。千紗都は何を担当するの?」
涼夏がからかうように目を細める。考えてみたが、何も思い浮かばなかった。
「私は千紗都のお母さん役をするつもりはないから、感謝の気持ちを忘れたら作らないよ? 妹にもそう言ってる」
きっぱりとそう言うと、しばらく私に口づけをしてから部屋を出て行った。確かに、甘えてもいい領域といけない領域はある。親からも友達からも甘やかされている自覚はあるが、少しずつ改善していかなくてはいけない。
顔を洗って、髪の毛だけ整えてリビングに行くと、朝ご飯はすでに完成していた。パンとサラダと目玉焼きに、ホット牛乳。「神か」と呟くと、涼夏は呆れたように肩をすくめた。
「これくらいはさすがに秒で作れるようになって。野菜切って玉子焼いただけだよ?」
「牛乳があったかい」
「電子レンジに入れてボタンを押しただけだから」
「パンが焼けてる」
「初めて文明に触れた未開人みたいだよ?」
涼夏が少しだけ笑ってパンをかじった。
窓から朝の光が差し込んでいる。いつもは親と座っているテーブルを、涼夏と二人で囲んでいるのは、何か変な世界線に迷い込んだような違和感がある。
「涼夏と一緒に暮らしたら、こんな感じかな」
「かもね。自然とそういう想像をしてくれる千紗都を愛してる」
「私も自立しないと」
「しなくていいし。今、話の流れが変だったよ?」
そうだっただろうか。一緒に暮らすなら家事は分担するという話だったと思うが、念のためそう聞くと、涼夏は「だいぶ巻き戻ったな」と苦笑した。
「感謝を忘れないでって話をしたつもりだった」
「それはそうだけど、ちゃんと担当も決めろってことだと思った」
「まあ、色々出来るようにはなってもらうよ。一緒に暮らすっていうのは、やっぱり楽しいことばかりじゃないと思うし」
確かに、ご飯に限らず、掃除も洗濯も、私は家で何もしていない。それに加えて、ゴミ捨てもあるし、お風呂やトイレの掃除もあるし、諸々の手続きもあるし、お金だってかかる。なんだかいられるだけ家でのうのうと過ごしたい気もするが、いつか出ていかなくてはいけないのなら、やっぱり涼夏と暮らしたい。
「私のあまりのしょぼさに、涼夏が呆れないか心配」
「私は千紗都のしょぼさをかなり理解してるつもりだけど、それを上回ったら知らん」
全然嬉しくない励ましを受けながら、食事を済ませる。食器は私が洗って勝ち誇るように胸を張ると、涼夏が「偉いねー」と頭を撫でてくれた。せっかく頑張ったのに、評価はだだ下がりな気がしてならない。
部屋に戻ってメイクをして、二人で揃って家を出た。今から行くとだいぶ早いが、涼夏を一人で行かせるのも嫌だったので、早めに集まろうと他の二人に声をかけてある。
最寄り駅で奈都と合流すると、新年の挨拶をしてから、奈都がからかうような目をして言った。
「昨日はどうだった?」
「今年一番いい日だったよ」
涼夏がいつもの笑顔で答える。ただひたすらイチャついていただけだが、よほど楽しかったのか、実に晴れやかな笑顔だ。奈都が羨ましそうに涼夏を見つめた。
「いいなぁ」
「私は突っ込んで欲しかった」
「突っ込んで欲しかったの!?」
奈都が急に大きな声でそう言って、慌てて口を押さえた。突然のことに驚いて、私は思わず目を丸くした。今の反応は一体何なのか。何かのジョークなのか、涼夏と顔を見合わせてから、真顔で奈都を見つめた。
「奈都って、今年も変だね」
「それは心外だけど、今のは自分でも変な反応だった自覚がある」
「私も今度絢音に、何でもないことでいきなり驚いてみようかな」
「何でもなくはないんだけど、もう好きにして。1月1日だから、今年一番に決まってるって意味だよね?」
「それ以外に何があるの?」
呆れながら首を傾げると、涼夏も隣で苦笑いを浮かべた。
電車に乗って、涼夏の働いているショッピングセンターに移動する。車内は朝から人でいっぱいだ。そういえば、まだ初詣に行っていない。今日奈都と別れてから、涼夏のバイトが終わるまでの間に行ってこようか。後で絢音と相談しよう。
先に来ていた絢音が、「あけおめー」と軽いノリで言って涼夏にハグをした。次は私だろうと待ち構えたが、「涼夏はこれからバイトだから」とかわされた。悲しかったので、代わりに奈都を抱きしめたら、奈都は変な声を上げて顔を赤くした。
涼夏と別れてから、近くのベンチに並んで腰掛ける。閉ざされた入口前には、福袋目当ての列が出来ていたが、そこまでして欲しいものはなかった。一応二人にも聞いてみたが、そもそも福袋に興味がないらしい。やはり私と涼夏とは趣味が異なる。
「昨日は涼夏とイチャイチャしてたの?」
絢音がうっとりと目を細めて、私の指先をつまんだ。実にストレートな質問だ。隣で奈都がゴクリと息を呑んだが、絢音はにこにこしながら私を眺めている。
「まあ、一緒には寝たね」
「海の時も温泉の時も、千紗都っていつも涼夏と寝てるよね」
「抱き心地はいいね。別に、絢音も奈都も、泊まりに来てくれたらいつでも一緒に寝るけど」
「それはいいアイデアだね。ご両親がいるのはちょっと緊張するけど」
絢音が柔らかく微笑んだ。奈都は何か良からぬ想像でもしているのか、顔を赤くして俯いている。中学時代、何度も一緒に寝ているはずだが、年々奈都の想像力は豊かになっているようだ。
「絢音は昨日はどうだった? お父さんの方とお母さんの方と、両方実家に行ってきたんでしょ?」
「うん。大変だったけど、お年玉もらってほくほく。まあ、みんなとメッセージしてたし、そんなに退屈でもなかったよ」
「私はまた明日、今度はお父さんの方に行かないといけない。面倒だ……」
明日のことを考えてため息をつく。またあの微妙な空気の中、一日過ごさなくてはいけないのかと思うとげんなりするが、それも贅沢な悩みなのかもしれない。
涼夏は父親とすら会わないと言っていたから、当然その祖父母とも会わないのだろう。お年玉ももらえないし、そもそも家族が減るのは寂しいことだ。本人が平気そうなので同情するのはかえって失礼だろうが、私ならやっぱり寂しく思う。
奈都は今日の午後で親戚関係の行事はすべて終わるが、そもそもそんなに嫌ではないらしい。
「久しぶりに従兄弟に会えるし、まあお兄ちゃんも帰って来てるし、たまにはみんな揃うのもいいと思う」
「奈都はいい子だね。偉いね」
頭をそっと撫でてあげると、奈都は憮然とした顔で、「とてもバカにされている気がする」と呟いた。被害妄想はやめていただきたい。
絢音とはクリスマス以来ということもあり、ここ数日の近況を語り合っている内に、開店時間になった。列を作っていた人たちがみんな建物に飲み込まれてから、ゆっくりと中に入る。とりあえず、涼夏を冷やかしに雑貨屋に行くと、他の店と同じように福袋が並んでいた。
「いらっしゃい。売れ残りの詰め合わせ、お一ついかがですか?」
涼夏が福袋を手に取って、私たちにだけ聞こえる声で言った。身も蓋もない説明だ。
「当たりはないの?」
奈都が興味深そうに聞く。福袋を作る側になったことがないので、一体中に何が入っているのか、買う気はないが関心はあるようだ。涼夏は苦笑いを浮かべて福袋を元に戻した。
「欲しいものが入ってたら、当たりと言えるね。後で千紗都と、どこかで1つくらい買ってみようって話してるけど、まあそのお金で好きなものを1つ買う方が、間違いはないと思う」
「この世界には夢も希望もない」
「定価ベースなら、値段以上のものが入ってるのは確かだよ」
楽しそうにそう言って、涼夏は「ごゆっくり」と手を振って店内に戻って行った。
福袋の他にもセールをしているからか、客の入りは上々。なかなか忙しそうだが、店内は暖かいし、やはり極寒の列整理よりは遥かに楽そうだ。こればかりは長期バイトの特典だと、納得するしかない。
喋りながら他の店もブラブラと見て回る。珍しく絢音が試着をして、割と攻めた赤い服を買った。随分前に、別に買い物は嫌いではないと言っていたが、本当のようだ。あくまで、買えないものを見るのに興味がないだけらしい。
「今度のライブ、みんなで赤い服を着ようって話してて、せっかくだから何か新調しようって思ってた」
絢音が紙袋を掲げて微笑む。ライブはどんな感じなのか奈都が尋ねて、絢音が空いていたベンチに腰掛けながら言った。
「ライブも出来るレストランみたいなとこ。バー? わかんないけど、そんなとこ」
「それ、すごくない?」
「ナツが思ったようなのとはたぶん違うよ。小さな店で、高校生デーみたいな企画に何組か参加するみたい。さぎりんの友達のソプラノサックスの子が参加したいって言って、私のギターとドラムとキーボードとサックスっていう、意味不明な布陣になってる」
「サックス、カッコイイ!」
私が声を弾ませると、絢音は満足そうに頷いてから、苦笑いを浮かべた。
「ボーカルとの相性はあんまり良くないね。私たちの編曲が下手なだけかもしれないけど。いっそ主旋律はサックスに任せるかって話も出たけど、そこまで上手じゃないし、莉絵は私に歌って欲しいみたい」
「私も絢音の歌が聴きたいね」
一応そう伝えると、絢音は「じゃあ頑張ろう」と笑った。相変わらずバンド活動が充実しているようで、若干の寂しさは覚えるが、年末さんざんバイトしてほったらかしにした私が言えた台詞ではない。
そのままバンドの話や奈都の年末の過ごし方を聞いていたら、いい時間になった。久しぶりに会うと、どれだけ喋っても話し足りない。奈都はご飯は要らないと言っていたので、そろそろ別れることにする。
絢音がハグしていたので、私も同じようにハグしてから、「来てくれてありがとう」と耳元で囁いた。それから、なんとなくキスをして体を離すと、奈都はしばらく固まってから、唇を押さえて大袈裟に身を仰け反らせた。
「な、何? どうしたの?」
「新年初チュー」
「今年はそういうキャラで行くの? 大歓迎だけど」
そういうキャラというのがどういうキャラなのかはわからないが、あわあわしている奈都は何だか可愛い。隣で絢音が、次は私の番だと唇を突き出していたので、今朝のハグのお返しに「奈都はこれから帰るから」とかわした。
奈都の背中を見送った後、フードコートで食事をしてから、近所の適当な神社に初詣に行こうと提案した。涼夏は買い物をしたがっていたし、涼夏を待っていたら遅くなる。
それなりに大きそうな神社を調べて行くと、初詣の参拝客で賑わっていた。由緒も何もわからないが、列に並んでお参りをする。とりあえず、愛友たちと仲良く過ごせるよう願っておいた。
ショッピングセンターへの帰り道で、願い事と一緒に今年の抱負について聞くと、絢音は悩ましげに腕を組んだ。
「勉強は、せっかくだから学年10位以内はキープしたいね」
「あー、私も30位台はキープしたい」
「帰宅部は寒い季節になるし、何か安くてインドアでも楽しめるものを考えないとね」
「気軽に私の家に来れたらいいんだけどね。ゲームも出来るし」
「1時間チャレンジも出来るし」
そう言って、絢音がうっとりと微笑む。
「寒いし、あったまっていいかもね」
あしらうようにそう答えると、絢音は満足そうに頷いた。もちろん、来てくれたら1時間でも2時間でもチャレンジしてくれていいが、実際にはお金がかかるし、なかなか難しい。もっとも、カフェでケーキを食べるお金があれば往復できるし、私もお金を出していいから、私の家で遊ぶ回数を増やすのはありかもしれない。そうなったら、私もボードゲームを1つ2つ、部屋に常備しよう。
「後はバンドだね。今月のライブは楽しみだけど、あんまり練習で帰宅部の活動に支障が出るのは嬉しくない」
「ずっとそう言ってくれてるね」
「千紗都が大好きだからね」
熱っぽい瞳で訴える。それは大変有り難い。
冬にしては日差しが穏やかだったので、ショッピングセンターの外のベンチに腰掛けると、残り数日の冬休みについて話した。私は明日は家の用事で拘束されるが、それ以降はバイトもないし暇している。宿題が残っているので、全力で遊ぶためにも、明日祖父母の家でやっつけてしまうのもいいかもしれない。奈都のように親戚行事を楽しむような社交性を、生憎私は持ち合わせていない。
「一度どこかで、千紗都の家に泊まりに行こうかな。迷惑じゃなかったら」
絢音が色の淡い青空を見上げながらそう言って、そっと私の手を取った。
「迷惑ではないけど、親はいるよ?」
「それも含めて迷惑じゃなければ、だね」
絢音がいいなら私は全然構わないが、両親はどうだろう。奈都はすでに顔見知りだから気軽に泊まっているが、絢音はまだ私の両親と会ったことがない。話題には出しているが、初対面でいきなりお泊まりは、特に父親は気を遣うかもしれない。
「微妙かなぁ。まあ、泊まりでしかできないことはないし、涼夏がバイトで両親は仕事の日に、朝から家に来てくれてもいいよ。何かしたいことある?」
代案を提示しつつそう聞くと、絢音はにんまりと笑って頷いた。
「昨日、涼夏としたこと」
じっと見つめると、絢音は可愛らしく首を傾げた。何をしたのか知った上で言っているのか、それとも単に、涼夏がしたことを自分もしたいと思っているだけか。
一緒にお風呂に入って洗いっこした上、裸で寝ていたと聞いてなお、絢音はそれをしたがるだろうか。それとも、それがしたくて言っているのか。興味はあるが、それは内緒にして当日を迎えた方が面白そうだ。
「じゃあ今度、そういう予定にしよう」
無邪気に微笑む絢音が可愛かったので、とりあえず絢音にも新年初チューをしておいた。
奈都は部活、涼夏はバイト、絢音はバンドと、みんな私の他にも心の拠り所がある。特に絢音のそれは、友達と遊んでいるという点において、他の二人よりも危機感を抱いている。
もっと絢音の心にも体にも、私という存在を刻み込みたい。そんなことを思いながら見つめると、絢音が怯えるように自分の体を抱きしめた。
「エッチな目で見てた」
「うん。揉みしだきたい」
「揉みしだけるようなサイズじゃないし、そもそもあんまり興味ないよね?」
「まあ、そうだね」
「私は揉みしだきたい」
明るくそう言いながら、絢音が私の胸をつついた。絢音が望むなら、好きなだけ揉んでくれていい。
みんなが褒めてくれる容姿も含めて、私は自分に自信がない。だから、いつだって私はみんなとの関係に不安を覚えている。
今年はもっと自信をつけて、みんなの愛に全力で応えられるようになりたい。それも一つ、今年の抱負に加えておこう。
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工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
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