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病気と僕
1話
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目が覚めると、僕は臨時病室にいた。どうやら昨晩倒れてかかりつけの大学病院に緊急搬送されたみたいだ。僕は突発性拡張型心筋症(とっぱつせいかくちょうがたしんきんしょう)という心臓の難病に侵されている。その病気は心臓が伸縮するために必要な筋肉が低下し、心室が拡張する病気。
家族は気を使って僕には何も言わないが、多分もう長くないと悟っていた。熱が出ているためか、倦怠感でとてもだるい。もうここ1年くらいはこんな体調が続いていた。
僕の病気が分かったのは、中学二年生の九月。1週間ほど微熱が収まらず、近くの病院に診察してもらった。すると先生は目の色を変え、大学病院への紹介状を書いてくれた。
次の日、大学病院で精密検査をすると、僕の心臓に異常が見られた。人より心臓が肥大していたのだ。病気だと分かった時はなんで僕が…と絶望していた。家族もずっと泣いていた。有効な治療法はまだ確立しておらず、唯一の可能性は心臓移植によるものだったが、十三歳の僕に適性する心臓を見つける事は困難だった。
それから約一年が過ぎ、症状は止まる事なく進行していた。大好きだった陸上を辞め、色んなものや時間を治療に費やしてきた。
病気のせいで学校にも行きづらくなり、仲の良かった友達とは疎遠になっていた。そういった日々の中で常に死という恐怖の塊と共に過ごしてきた。その時僕は思った。神様はなんて意地悪な事をするのだろうと。世界には病気を持っている人と持っていない人とで分かれるのになんで僕を選ぶのかな。時々神様を憎んだ。意味などないと分かっているのに。
家族は気を使って僕には何も言わないが、多分もう長くないと悟っていた。熱が出ているためか、倦怠感でとてもだるい。もうここ1年くらいはこんな体調が続いていた。
僕の病気が分かったのは、中学二年生の九月。1週間ほど微熱が収まらず、近くの病院に診察してもらった。すると先生は目の色を変え、大学病院への紹介状を書いてくれた。
次の日、大学病院で精密検査をすると、僕の心臓に異常が見られた。人より心臓が肥大していたのだ。病気だと分かった時はなんで僕が…と絶望していた。家族もずっと泣いていた。有効な治療法はまだ確立しておらず、唯一の可能性は心臓移植によるものだったが、十三歳の僕に適性する心臓を見つける事は困難だった。
それから約一年が過ぎ、症状は止まる事なく進行していた。大好きだった陸上を辞め、色んなものや時間を治療に費やしてきた。
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