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報酬
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目の前に現れた宝箱。
決められた仕事を熟すだけでは得られない、自分自身で勝ち取った報酬。このダンジョンから、どんな報酬を貰えるんだろうか。
昔やったことのあるゲームでも、宝箱を開くこの瞬間はとてもワクワクして楽しかったな。ゲームではなく現実で宝箱を開ける事ができるとは、夢にも思わなかった。
「アハハハハッ」
笑いが溢れる。早く開けよう......!!
立て付けの悪い扉を開ける時のような音を出しながら宝箱が開いていく。
宝箱の中に入っていた物は四つだった。
・古めかしい本
・見た感じ何の変哲もない、くすんだ銀色のブレスレット
・焦げ茶色の丈夫そうなブーツ
・透明な水晶玉
......なんとも言えない地味な結果。まず見た目がよろしくない。
評価S+というアナウンスがあった事から、コレらがただ見た目通りの地味な物では無いって事は何となくわかる。
ウォーリアーに半身を潰された影響で、着ている服は既に服の意味を成していないし、靴は片方だけしかない。足元だけでもしっかりさせるのは大事か。
履いていた安物の靴を脱ぎ捨てて、真新しい報酬のブーツに履き替える。
上着だった物腰に巻き付け、ズボンは服よりも丈夫なので持ち物を入れる為の鞄のような物に代用。
潰された側のポケットに入れていた小石は潰れてしまったが、封筒と不死血鳥の羽根は無事だったので作った袋に収める。
こうして新しい装備に変更した結果、ウォーリアーの金棒、焦げ茶色のブーツ、布の腰巻き、布の袋。
まるで物語で見るような蛮族やゴブリンの上位種みたいな格好に。ダンジョンに出てくるのがモンスターだけなのが救いか。
そしてブレスレットはそのまま装備した。
呪われていたりしたらそれまでだけど、評価で貰えた報酬でそんな品が出てくることは無いはずだと信じて着用。
......装備してみたけれど、何も変わった気がしない。効果も何もないただの装備品だったみたいだ。ガッカリだよ。
さて、残るは本と水晶玉。どちらから試してみるかだ。
「......うーん、水晶玉からにしてみようか」
本は読むのに時間がかかりそうだし、どっちにしろ訳がわからない物なんだから、どちらが先でも結果は変わらない。
どうすれば良いのかわからないので、とりあえず水晶玉を手に持って中を覗いてみる。
すると水晶玉が淡く光りを放ち、持った手から何かが吸われるような感覚が。
トラップかと警戒するが......水晶玉の中心部に火が灯り、すぐにその火が手の平に吸い込まれていった。
この時、手に灼けるような痛みがあった以外は何もなく、その後水晶玉は役目を終えたかのように砕けて消えていった。
不思議な水晶玉の所為で本を確認するのが怖くなったけれど、確認しないで持ったまま移動していれば、自分の戦闘スタイルだとそう遠くないうちに破損させてしまう。
読めなくて何も起きなかった時は、......その時はその時で、いつか読めるようになるまで持っておこう。
意を決して本を手に持つ。表紙は何も書いておらず真っ黒でボロボロ。
開いて中を読んでみるも、文字の羅列というよりは墨を塗りたくったミミズが這いずり回ったような......なんとも言えない内容。
パラパラと流し読みしていくも、結局最後のページまで読める箇所は無かった。
意味がわからない......一から解読していけって事なのか......
死ぬまでに解読とか無理そうだし、ステータスに知力の項目が無いから賢くなるのも無理だ。
ゴミだな......
そう結論付けて本を閉じる。
そこで、予想もしていない出来事が起きる――
本が勝手に捲れだし、中に書いてあった黒い文字がまるで生き物のように動いて飛び出し、胸に向かって飛び込んできた。それも三つに別れて。
そしてその黒い文字達が全て体に染み込んでいくと、アナウンスが鳴り響いた。
『技能の書初級の効果により、読破した貴方へスキルが贈られます。以下のスキルからお好きなスキルをお選びください』
『スキル:簡易鑑定』
『スキル:簡易収納』
『スキル:簡易修復』
急に目の前に表示されたスキル達、それは、今の自分にはどれもが魅力的に映った。
用途や名前のわからない道具や、小物の名前などが知れる鑑定。
手ぶらになる事ができ、破損したり紛失したりする恐れのある道具を、安全に保管する為の物と思われる収納。
自分の戦闘方法では衣服などはいくらあっても足りないから、それを一気に解決する事ができると思われる修復。
全てに簡易って付いているのが気になり、それらがどれくらいのレベルなのかはわからないけど......やはりどれもが今の自分には魅力的に映った。
取得した後にも成長していくタイプのスキルなのか、その上のスキルを手に入れないと成長しないタイプなのかでも取得する優先順位が変わってくる......
評価S+という高い評価を得ても、簡易しか貰えないのかという気持ちと、一つだけしか選べないのかという気持ちが強いが、この結果に文句を言ってもしょうがない。
どれもが必要であり、あるのならば今後とても楽になる。
鑑定と収納はチートの定番なのは揺るぎない。そんな特別な能力だからこそ、これから先入手する機会はきっとあると思う。だけどそれは修復も然り。
どれを選んでも選ばなくても後悔はあるだろうし、メリットもある。
――この中で自分が選ぶべきスキルは......
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
Lv:23
HP:100%
MP:90%
物攻:17
物防:1
魔攻:1
魔防:1
敏捷:17
幸運:3
残SP:12
魔法適正:炎ㅤ
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残48.2L
不死血鳥
状態異常耐性Lv1
拳闘Lv2
ㅤ■■■■■■
──────────────────────────────
決められた仕事を熟すだけでは得られない、自分自身で勝ち取った報酬。このダンジョンから、どんな報酬を貰えるんだろうか。
昔やったことのあるゲームでも、宝箱を開くこの瞬間はとてもワクワクして楽しかったな。ゲームではなく現実で宝箱を開ける事ができるとは、夢にも思わなかった。
「アハハハハッ」
笑いが溢れる。早く開けよう......!!
立て付けの悪い扉を開ける時のような音を出しながら宝箱が開いていく。
宝箱の中に入っていた物は四つだった。
・古めかしい本
・見た感じ何の変哲もない、くすんだ銀色のブレスレット
・焦げ茶色の丈夫そうなブーツ
・透明な水晶玉
......なんとも言えない地味な結果。まず見た目がよろしくない。
評価S+というアナウンスがあった事から、コレらがただ見た目通りの地味な物では無いって事は何となくわかる。
ウォーリアーに半身を潰された影響で、着ている服は既に服の意味を成していないし、靴は片方だけしかない。足元だけでもしっかりさせるのは大事か。
履いていた安物の靴を脱ぎ捨てて、真新しい報酬のブーツに履き替える。
上着だった物腰に巻き付け、ズボンは服よりも丈夫なので持ち物を入れる為の鞄のような物に代用。
潰された側のポケットに入れていた小石は潰れてしまったが、封筒と不死血鳥の羽根は無事だったので作った袋に収める。
こうして新しい装備に変更した結果、ウォーリアーの金棒、焦げ茶色のブーツ、布の腰巻き、布の袋。
まるで物語で見るような蛮族やゴブリンの上位種みたいな格好に。ダンジョンに出てくるのがモンスターだけなのが救いか。
そしてブレスレットはそのまま装備した。
呪われていたりしたらそれまでだけど、評価で貰えた報酬でそんな品が出てくることは無いはずだと信じて着用。
......装備してみたけれど、何も変わった気がしない。効果も何もないただの装備品だったみたいだ。ガッカリだよ。
さて、残るは本と水晶玉。どちらから試してみるかだ。
「......うーん、水晶玉からにしてみようか」
本は読むのに時間がかかりそうだし、どっちにしろ訳がわからない物なんだから、どちらが先でも結果は変わらない。
どうすれば良いのかわからないので、とりあえず水晶玉を手に持って中を覗いてみる。
すると水晶玉が淡く光りを放ち、持った手から何かが吸われるような感覚が。
トラップかと警戒するが......水晶玉の中心部に火が灯り、すぐにその火が手の平に吸い込まれていった。
この時、手に灼けるような痛みがあった以外は何もなく、その後水晶玉は役目を終えたかのように砕けて消えていった。
不思議な水晶玉の所為で本を確認するのが怖くなったけれど、確認しないで持ったまま移動していれば、自分の戦闘スタイルだとそう遠くないうちに破損させてしまう。
読めなくて何も起きなかった時は、......その時はその時で、いつか読めるようになるまで持っておこう。
意を決して本を手に持つ。表紙は何も書いておらず真っ黒でボロボロ。
開いて中を読んでみるも、文字の羅列というよりは墨を塗りたくったミミズが這いずり回ったような......なんとも言えない内容。
パラパラと流し読みしていくも、結局最後のページまで読める箇所は無かった。
意味がわからない......一から解読していけって事なのか......
死ぬまでに解読とか無理そうだし、ステータスに知力の項目が無いから賢くなるのも無理だ。
ゴミだな......
そう結論付けて本を閉じる。
そこで、予想もしていない出来事が起きる――
本が勝手に捲れだし、中に書いてあった黒い文字がまるで生き物のように動いて飛び出し、胸に向かって飛び込んできた。それも三つに別れて。
そしてその黒い文字達が全て体に染み込んでいくと、アナウンスが鳴り響いた。
『技能の書初級の効果により、読破した貴方へスキルが贈られます。以下のスキルからお好きなスキルをお選びください』
『スキル:簡易鑑定』
『スキル:簡易収納』
『スキル:簡易修復』
急に目の前に表示されたスキル達、それは、今の自分にはどれもが魅力的に映った。
用途や名前のわからない道具や、小物の名前などが知れる鑑定。
手ぶらになる事ができ、破損したり紛失したりする恐れのある道具を、安全に保管する為の物と思われる収納。
自分の戦闘方法では衣服などはいくらあっても足りないから、それを一気に解決する事ができると思われる修復。
全てに簡易って付いているのが気になり、それらがどれくらいのレベルなのかはわからないけど......やはりどれもが今の自分には魅力的に映った。
取得した後にも成長していくタイプのスキルなのか、その上のスキルを手に入れないと成長しないタイプなのかでも取得する優先順位が変わってくる......
評価S+という高い評価を得ても、簡易しか貰えないのかという気持ちと、一つだけしか選べないのかという気持ちが強いが、この結果に文句を言ってもしょうがない。
どれもが必要であり、あるのならば今後とても楽になる。
鑑定と収納はチートの定番なのは揺るぎない。そんな特別な能力だからこそ、これから先入手する機会はきっとあると思う。だけどそれは修復も然り。
どれを選んでも選ばなくても後悔はあるだろうし、メリットもある。
――この中で自分が選ぶべきスキルは......
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
Lv:23
HP:100%
MP:90%
物攻:17
物防:1
魔攻:1
魔防:1
敏捷:17
幸運:3
残SP:12
魔法適正:炎ㅤ
スキル:
ステータスチェック
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