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罰当たり
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身体の再生がいつもより遅い。
脳が傷付いているからなのか、呪いが効いているからなのか......
「アハハハハ......ヤツらを倒しても掛けられたデバフは消えないのか......」
自爆という結果なのが情けないが、我慢して身体の再生が終わるのを待つ。
幸い目は動かせたのでレイス共の様子を観察する。
「墓石を粉々にしたカースドレイスとウーンドレイスは身体を保てなくなって消えていってるみたいだね。シックレイスは......あーあー、めちゃくちゃ怒ってる」
思っても見なかったであろう己の弱点看破に加え、ダメージを受けた事、仲間を倒された事にブチ切れていた。コイツらにデバフ以外の攻撃方法が無くて本当に助かった。
「身体が再生しても掛かった呪いは消えない......か。綺麗さっぱり消えるのは傷だけ。デバフも一緒に消えたら楽なのに......まぁこんな仕様だからどうにもならないな。仕方ない......諦めよう」
『キィィィィヤァァァァァァ』
ブチ切れたシックレイスがここに来るまでは凡そ十秒前後。その間に動けるようになるかな......ならなきゃ病気をもらって余計にダルくなるだけ。
ふぅ......早く回復しろ。動けるようになれ。
◆◆◆
レイスは焦っていた。
我等の部屋に侵入してきた人間は火の魔法と物理攻撃だけの相手。それも一人だ。
複数人がやってくるよりも断然簡単に殺す事ができる。やり方はこれまで同様、相手が攻撃するのに合わせて我等が少しずつ呪いや病気を掛けていき、動きが鈍った所で古傷を開いてやればいい。ただそれだけだった。
此処に人が来なくなって久しい。それ以前もたまに来るという程度だった。
以前の事を思い出していく。何分かなり昔の事なので思い出すのに時間は掛かってしまったが、やってきた人間も何やら考えている様子だったから丁度いい。警戒だけは怠るつもりはないが。
ここまでやってきた人間は複数人、だが全員がボロボロの状態でやってきていた。
万全な状態で来た人間はいない。居ても一人か二人、それも戦闘職以外。
本体を見破られたとしても、その時にはもう手も足も出ない状態まで呪いや病気が侵食していて、身体も傷だらけ。対霊体用の武器や魔法を持っていても、本体をどうにかしなければ無限に湧く自分達。
......やられてもダンジョンの特性上、時間が経てば復活するのだが、それでも負けたくない。そして死にたくない。
何故、貴様は病で倒れない
何故、貴様は呪われも動ける
何故、貴様は傷がすぐ塞がる
何故、一人で我等に対抗できる
追い詰められ、敗北しかかっているのだ
不愉快......不愉快......不愉快......
もう勝てないのは理解している
しかし、このまま黙ってやられるのは許されない
怨念と怒り、憎しみが渦巻く......憎い相手はすぐそこで倒れている......
『キィィィィヤァァァァァァ』
自分自身に残っている力を全て目の前で倒れている相手にぶつける為、声なき声を出しながら憎き敵に向かって駆けた――
◆◆◆
ダメだ......間に合わない......
シックレイスが背水の陣でこちらに向かって来ているのが解る。
......接触まで3、2、1、0
来るのがわかっていればどんな衝撃が来ようともなんとか耐えられる。不意打ちが一番食らってはダメなモノ。
『キィアァァァァァァ』
「ぐぅぅ......」
耳障りな声、急激に悪くなる体調。
インフルエンザで高熱が出た時を思い出す程の倦怠感と熱っぽさ。横になっている今でもわかる......凄く、体調が悪いと。
「......視界がグルグルする......気持ち悪い......40℃超えてても医者に連れていかず、看病もせず、薬や飯も渡さず......塩と水だけ枕元に置いて放置していたあのカス共を思い出しちゃった......アハハ......アハハハハ」
なんで自分はあの仕打ちに耐えれていたんだろうと今では思う。なんであんな事されないといけなかったんだろう。
動けるのか動けないか......もうわからない。単純に具合いが悪いのか、まだ回復しきれてないのか。
熱を出すと決まって見るあのわけのわからない夢の中にいる気分だ......
自分の身体に纏わりつき、病気を押し付けてくるレイスが気に食わない。
「......アハハハハ、最低な気分を思い出していく......絶対に今死ぬ訳にはいかないな」
手放した金砕棒も棍棒も拾いに行く気力はない。
「また終わったら倒れるんだろうな......でも今回は血を回収出来る相手じゃないからいいか......くたばれ、死に損ない」
力の入らない身体を無理矢理起こし、一基だけ残った墓石へ向かって進む。身体は言う事を聞かず、思考は靄が掛かっている。
視界にはずっと半透明のモノが居座っており、耳には不快な雑音が響き集中の妨げになっている。
『キィィィアァァァ』
「うるっせぇ!!」
レイスも必死なのだろう。だが、自分もギリギリなんだ......だから邪魔すんな!!!
病を送り込んでくるレイスを無視しながら墓石の欠片を拾い、シックレイスの本体へと向き合う。
「オォォォォ......ッラァッッ!!」
物攻110の力を込めて投げられた墓石の欠片は、見事墓石にぶち当たり墓石を修復不可能なレベルで粉砕した。
『キィィィィィィ......ァァ......アァア......』
「あぁ......レイスがボロボロ崩れていく。成仏しろよ......はぁぁぁしんどかった......」
発熱による悪寒と吐き気に苛まれながら荷物を回収しに歩く。布団は無いから服を着込んで寝よう......
『レベルが2上がりました』
今はアナウンスとかどうでもいい。怪我や呪いでは無理だが、病気ならば自分を殺せる。
その事に気付いた時、自分の背筋に冷たい物が走った。
──────────────────────────────
吉持ㅤ匠
闘人
Lv:42→44
HP:100%
MP:100%
物攻:110
物防:1
魔攻:60
魔防:1
敏捷:110
幸運:10
残SP:6→10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残94.0L
不死血鳥
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv5
鈍器Lv8
小剣術Lv4
簡易鑑定
空間把握Lv7
投擲Lv7
歩法Lv4
呪耐性Lv2
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
魔虎皮のシャツ
悪魔大土蜘蛛のバンテージ
合成皮革のズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
黒革のナイフホルダー
予備の服一式×3セット
ババァの店の会員証ㅤ残高740
魔石多数
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脳が傷付いているからなのか、呪いが効いているからなのか......
「アハハハハ......ヤツらを倒しても掛けられたデバフは消えないのか......」
自爆という結果なのが情けないが、我慢して身体の再生が終わるのを待つ。
幸い目は動かせたのでレイス共の様子を観察する。
「墓石を粉々にしたカースドレイスとウーンドレイスは身体を保てなくなって消えていってるみたいだね。シックレイスは......あーあー、めちゃくちゃ怒ってる」
思っても見なかったであろう己の弱点看破に加え、ダメージを受けた事、仲間を倒された事にブチ切れていた。コイツらにデバフ以外の攻撃方法が無くて本当に助かった。
「身体が再生しても掛かった呪いは消えない......か。綺麗さっぱり消えるのは傷だけ。デバフも一緒に消えたら楽なのに......まぁこんな仕様だからどうにもならないな。仕方ない......諦めよう」
『キィィィィヤァァァァァァ』
ブチ切れたシックレイスがここに来るまでは凡そ十秒前後。その間に動けるようになるかな......ならなきゃ病気をもらって余計にダルくなるだけ。
ふぅ......早く回復しろ。動けるようになれ。
◆◆◆
レイスは焦っていた。
我等の部屋に侵入してきた人間は火の魔法と物理攻撃だけの相手。それも一人だ。
複数人がやってくるよりも断然簡単に殺す事ができる。やり方はこれまで同様、相手が攻撃するのに合わせて我等が少しずつ呪いや病気を掛けていき、動きが鈍った所で古傷を開いてやればいい。ただそれだけだった。
此処に人が来なくなって久しい。それ以前もたまに来るという程度だった。
以前の事を思い出していく。何分かなり昔の事なので思い出すのに時間は掛かってしまったが、やってきた人間も何やら考えている様子だったから丁度いい。警戒だけは怠るつもりはないが。
ここまでやってきた人間は複数人、だが全員がボロボロの状態でやってきていた。
万全な状態で来た人間はいない。居ても一人か二人、それも戦闘職以外。
本体を見破られたとしても、その時にはもう手も足も出ない状態まで呪いや病気が侵食していて、身体も傷だらけ。対霊体用の武器や魔法を持っていても、本体をどうにかしなければ無限に湧く自分達。
......やられてもダンジョンの特性上、時間が経てば復活するのだが、それでも負けたくない。そして死にたくない。
何故、貴様は病で倒れない
何故、貴様は呪われも動ける
何故、貴様は傷がすぐ塞がる
何故、一人で我等に対抗できる
追い詰められ、敗北しかかっているのだ
不愉快......不愉快......不愉快......
もう勝てないのは理解している
しかし、このまま黙ってやられるのは許されない
怨念と怒り、憎しみが渦巻く......憎い相手はすぐそこで倒れている......
『キィィィィヤァァァァァァ』
自分自身に残っている力を全て目の前で倒れている相手にぶつける為、声なき声を出しながら憎き敵に向かって駆けた――
◆◆◆
ダメだ......間に合わない......
シックレイスが背水の陣でこちらに向かって来ているのが解る。
......接触まで3、2、1、0
来るのがわかっていればどんな衝撃が来ようともなんとか耐えられる。不意打ちが一番食らってはダメなモノ。
『キィアァァァァァァ』
「ぐぅぅ......」
耳障りな声、急激に悪くなる体調。
インフルエンザで高熱が出た時を思い出す程の倦怠感と熱っぽさ。横になっている今でもわかる......凄く、体調が悪いと。
「......視界がグルグルする......気持ち悪い......40℃超えてても医者に連れていかず、看病もせず、薬や飯も渡さず......塩と水だけ枕元に置いて放置していたあのカス共を思い出しちゃった......アハハ......アハハハハ」
なんで自分はあの仕打ちに耐えれていたんだろうと今では思う。なんであんな事されないといけなかったんだろう。
動けるのか動けないか......もうわからない。単純に具合いが悪いのか、まだ回復しきれてないのか。
熱を出すと決まって見るあのわけのわからない夢の中にいる気分だ......
自分の身体に纏わりつき、病気を押し付けてくるレイスが気に食わない。
「......アハハハハ、最低な気分を思い出していく......絶対に今死ぬ訳にはいかないな」
手放した金砕棒も棍棒も拾いに行く気力はない。
「また終わったら倒れるんだろうな......でも今回は血を回収出来る相手じゃないからいいか......くたばれ、死に損ない」
力の入らない身体を無理矢理起こし、一基だけ残った墓石へ向かって進む。身体は言う事を聞かず、思考は靄が掛かっている。
視界にはずっと半透明のモノが居座っており、耳には不快な雑音が響き集中の妨げになっている。
『キィィィアァァァ』
「うるっせぇ!!」
レイスも必死なのだろう。だが、自分もギリギリなんだ......だから邪魔すんな!!!
病を送り込んでくるレイスを無視しながら墓石の欠片を拾い、シックレイスの本体へと向き合う。
「オォォォォ......ッラァッッ!!」
物攻110の力を込めて投げられた墓石の欠片は、見事墓石にぶち当たり墓石を修復不可能なレベルで粉砕した。
『キィィィィィィ......ァァ......アァア......』
「あぁ......レイスがボロボロ崩れていく。成仏しろよ......はぁぁぁしんどかった......」
発熱による悪寒と吐き気に苛まれながら荷物を回収しに歩く。布団は無いから服を着込んで寝よう......
『レベルが2上がりました』
今はアナウンスとかどうでもいい。怪我や呪いでは無理だが、病気ならば自分を殺せる。
その事に気付いた時、自分の背筋に冷たい物が走った。
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吉持ㅤ匠
闘人
Lv:42→44
HP:100%
MP:100%
物攻:110
物防:1
魔攻:60
魔防:1
敏捷:110
幸運:10
残SP:6→10
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残94.0L
不死血鳥
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv5
鈍器Lv8
小剣術Lv4
簡易鑑定
空間把握Lv7
投擲Lv7
歩法Lv4
呪耐性Lv2
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
肉食ナイフ
魔虎皮のシャツ
悪魔大土蜘蛛のバンテージ
合成皮革のズボン
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
黒革のナイフホルダー
予備の服一式×3セット
ババァの店の会員証ㅤ残高740
魔石多数
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