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リポップ
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それはいきなり起こった。
空間が揺らいだと思ったら――
モンスターの死体、戦闘痕、破壊痕、飛び散った血や臓物が一瞬の内に消え去り、目の前にモンスターの群れが現れていた。
「............え!?」
いきなりの事で驚いて固まってしまい、隙だらけだった致命的な時間を晒してしまう......だが、モンスターにも同じ事がいえたのか、それともダンジョンがそういう仕様なのか......リポップしたばかりのモンスターは即行動即攻撃とはならなかった。
「ガァ? グァァァァァァァッ!!!」
そんな中でいち早く状況を理解し、行動に移ったのは一番近くにポップしていた一般的にはコボルトと呼ばれているようなモンスターだった。
気が緩んでいた。それはもう盛大に。言い訳のしようがない程に。
「くっっ......そがぁぁ!!」
回避を試みるが、回避は当然のように間に合わずに左腕に噛み付かれる。それでも致命的な部位への被弾は避けられた。
──────────────────────────────
アークコボルト
レベル:86
──────────────────────────────
絹ごし豆腐よりも柔らかい自分の腕に、アークコボルトの鋭利な牙が突き刺さっていく。深く刺さりすぎていて直ぐに対処しようとしたが出来そうにない。
前回の戦闘時は開始と同時に理性が飛んだのでどんなモンスターが居たのかあまり良くわかっておらず、死体からどんなヤツが居たのか推理するしかなかった。だが、時間経過でリポップするとは露とも思っていなかった所為で深く考えていなかったのが仇となった。
目視での敵の把握は諦め、空間把握に切り替える。続いて左腕をそのまま噛み砕こうとしているアークコボルトを、弱っちい腕が千切れるのを覚悟の上で地面に全力で叩きつけた。このままヤツが潰れる、若しくは外れてくれればよし、もし外れなければ腕はくれてやれば仕切り直せるくらいの気概で。
「ア゛ァァァッ!!」
ブチィッという余り聞きたくない音が聞こえた。ただでさえ脆い腕に切れ込みと余分な荷物、それに遠心力が加われば仕方ないんだろう。金砕棒とか使ってるから多少はマシになっていて、もしかしたらちぎれないかなぁと淡い期待はしていた。
さすが、脆さに定評のある自分の身体だ......こちらから少し離れた位置に飛んでいったアークコボルトは、いい具合いに地面に身体を叩きつけたらしく痙攣しながら血を吐いている。
続々と状況を理解していくモンスターが増えている。左腕にお荷物を抱えた状況での乱戦突入は回避できたが、武器が一つコボルトに持っていかれた今の状況は少々厳しい。
既にもう目と鼻の先に追加のモンスターは迫っている。......はぁ、リポップって面倒臭い。
「まぁいいや......復活してすぐだけど、もっかい死んどけ!!」
殺る気になるのが一つのトリガーなのか......また理性の箍が外れていくのがわかった。いつかコレをコントロールできるようになるのだろうか......
◆◆◆
『レベルが3上がりました』
前回よりも不利な状況から始まった戦いとはいえ、二度目ともなると慣れたのか疲労度は前よりも圧倒的に少なく終わることが出来た。
「......うーん、仮だけどバーサクしている状態を『血狂いモード』とでも呼んでおこうか。戦闘の度に入っちゃうのはよろしくないけど、『血狂いモード』での戦闘は前よりも楽に終わった事から、バーサクしていても学習能力はあるっぽい......どうにかして制御できないかなぁ......」
戦闘後に、今回の戦闘で使った分の血だけを補給した後、散らばった血を使ってリポップにより強制終了させられた【血流操作】の練習を再開した。
この【血流操作】......血流と言う通りに血の流れを作らなければいけないという制約はあるものの、流れさえ出来ていればなかなか自由度が高い。
今自分は倒したモンスターの血を全て一箇所に纏め、それを使って洗濯機のような物を作成。イメージとしてはカミソリの刃を大量に入れた洗濯機を作動させ、中に入れた執拗い汚れを落とす実験をしている。吸血鬼とかが血を武器にしたりしている作品からアイディアを拝借。
中に入れたのは不意打ちをカマしてくれやがったアークコボルト。
その実験と並行してもう少し試してみようと思いついた事を試していく。試そうと思うのは、同時に二つ以上操れるのか、モンスターの血と自分の血では何か違いがあるのか、どれくらいの規模が一番操り易いのか、操った後の血でも回収できるのか......の四つ。
手首を肉食ナイフで切って洗面器一杯分くらいの血を出して準備完了。さぁ......どうなるかな?
唐突に思いついたこの実験。開始する前だっだけど、思わぬ副産物というかなんというか......ちょっとした成果が転がり込んできた。
これまで自分が受けてきた傷をフルオートで治してくれていた【不死血鳥】だったが、自傷した傷はオートで治さないと解った。
何度か切りつけないと洗面器分くらいの血は集められないかなと思っていたが、なんと全然傷が塞がっていく気配をなかったのだ。そろそろ血が止まってくれないかなぁと思っていたら傷が塞がっていったので、ある程度なら傷を治すタイミングをコントロールできるのだろう。
この実験が終わった後で、止血だけ、傷口から流れ出る血の量のコントロール、モンスターから受けた傷でも同じ事が出来るかも試してみたいと思う。
やる事、試してみたい事、試さないといけない事がどんどん増えていくが、それすらも楽しいと思っている自分がいる。
「あはははははっ!! ダンジョン、現れてくれてありがとう......とても楽しいよ!!」
随分と人外染みてきているけど、のうのうとただ生きていたあの時とは比べ物にならないくらい楽しい。楽しく生きて行けるならば人間なんて枠に収まらなくたって全然いいや。
─────────────────────────────
吉持ㅤ匠
悪魔闘人
職業:血狂い
Lv:83→86
HP:100%
MP:100%
物攻:150
物防:1
魔攻:70
魔防:1
敏捷:150
幸運:10
残SP:8→14
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残291.0L
不死血鳥
部分魔化
血流操作
簡易鑑定
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv8
鈍器(統)Lv2
棒術Lv5
小剣術Lv4
空間把握Lv10
投擲Lv7
歩法Lv6
強呪耐性
病気耐性Lv4
解体・解剖
回避Lv5
溶解耐性Lv2
洗濯Lv1
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
悪魔骨のヌンチャク
肉食ナイフ
貫通寸鉄
鬼蜘蛛糸の耐刃シャツ
快適なパンツ
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
微速のベルト
ババァの店の会員証ㅤ残高220
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空間が揺らいだと思ったら――
モンスターの死体、戦闘痕、破壊痕、飛び散った血や臓物が一瞬の内に消え去り、目の前にモンスターの群れが現れていた。
「............え!?」
いきなりの事で驚いて固まってしまい、隙だらけだった致命的な時間を晒してしまう......だが、モンスターにも同じ事がいえたのか、それともダンジョンがそういう仕様なのか......リポップしたばかりのモンスターは即行動即攻撃とはならなかった。
「ガァ? グァァァァァァァッ!!!」
そんな中でいち早く状況を理解し、行動に移ったのは一番近くにポップしていた一般的にはコボルトと呼ばれているようなモンスターだった。
気が緩んでいた。それはもう盛大に。言い訳のしようがない程に。
「くっっ......そがぁぁ!!」
回避を試みるが、回避は当然のように間に合わずに左腕に噛み付かれる。それでも致命的な部位への被弾は避けられた。
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アークコボルト
レベル:86
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絹ごし豆腐よりも柔らかい自分の腕に、アークコボルトの鋭利な牙が突き刺さっていく。深く刺さりすぎていて直ぐに対処しようとしたが出来そうにない。
前回の戦闘時は開始と同時に理性が飛んだのでどんなモンスターが居たのかあまり良くわかっておらず、死体からどんなヤツが居たのか推理するしかなかった。だが、時間経過でリポップするとは露とも思っていなかった所為で深く考えていなかったのが仇となった。
目視での敵の把握は諦め、空間把握に切り替える。続いて左腕をそのまま噛み砕こうとしているアークコボルトを、弱っちい腕が千切れるのを覚悟の上で地面に全力で叩きつけた。このままヤツが潰れる、若しくは外れてくれればよし、もし外れなければ腕はくれてやれば仕切り直せるくらいの気概で。
「ア゛ァァァッ!!」
ブチィッという余り聞きたくない音が聞こえた。ただでさえ脆い腕に切れ込みと余分な荷物、それに遠心力が加われば仕方ないんだろう。金砕棒とか使ってるから多少はマシになっていて、もしかしたらちぎれないかなぁと淡い期待はしていた。
さすが、脆さに定評のある自分の身体だ......こちらから少し離れた位置に飛んでいったアークコボルトは、いい具合いに地面に身体を叩きつけたらしく痙攣しながら血を吐いている。
続々と状況を理解していくモンスターが増えている。左腕にお荷物を抱えた状況での乱戦突入は回避できたが、武器が一つコボルトに持っていかれた今の状況は少々厳しい。
既にもう目と鼻の先に追加のモンスターは迫っている。......はぁ、リポップって面倒臭い。
「まぁいいや......復活してすぐだけど、もっかい死んどけ!!」
殺る気になるのが一つのトリガーなのか......また理性の箍が外れていくのがわかった。いつかコレをコントロールできるようになるのだろうか......
◆◆◆
『レベルが3上がりました』
前回よりも不利な状況から始まった戦いとはいえ、二度目ともなると慣れたのか疲労度は前よりも圧倒的に少なく終わることが出来た。
「......うーん、仮だけどバーサクしている状態を『血狂いモード』とでも呼んでおこうか。戦闘の度に入っちゃうのはよろしくないけど、『血狂いモード』での戦闘は前よりも楽に終わった事から、バーサクしていても学習能力はあるっぽい......どうにかして制御できないかなぁ......」
戦闘後に、今回の戦闘で使った分の血だけを補給した後、散らばった血を使ってリポップにより強制終了させられた【血流操作】の練習を再開した。
この【血流操作】......血流と言う通りに血の流れを作らなければいけないという制約はあるものの、流れさえ出来ていればなかなか自由度が高い。
今自分は倒したモンスターの血を全て一箇所に纏め、それを使って洗濯機のような物を作成。イメージとしてはカミソリの刃を大量に入れた洗濯機を作動させ、中に入れた執拗い汚れを落とす実験をしている。吸血鬼とかが血を武器にしたりしている作品からアイディアを拝借。
中に入れたのは不意打ちをカマしてくれやがったアークコボルト。
その実験と並行してもう少し試してみようと思いついた事を試していく。試そうと思うのは、同時に二つ以上操れるのか、モンスターの血と自分の血では何か違いがあるのか、どれくらいの規模が一番操り易いのか、操った後の血でも回収できるのか......の四つ。
手首を肉食ナイフで切って洗面器一杯分くらいの血を出して準備完了。さぁ......どうなるかな?
唐突に思いついたこの実験。開始する前だっだけど、思わぬ副産物というかなんというか......ちょっとした成果が転がり込んできた。
これまで自分が受けてきた傷をフルオートで治してくれていた【不死血鳥】だったが、自傷した傷はオートで治さないと解った。
何度か切りつけないと洗面器分くらいの血は集められないかなと思っていたが、なんと全然傷が塞がっていく気配をなかったのだ。そろそろ血が止まってくれないかなぁと思っていたら傷が塞がっていったので、ある程度なら傷を治すタイミングをコントロールできるのだろう。
この実験が終わった後で、止血だけ、傷口から流れ出る血の量のコントロール、モンスターから受けた傷でも同じ事が出来るかも試してみたいと思う。
やる事、試してみたい事、試さないといけない事がどんどん増えていくが、それすらも楽しいと思っている自分がいる。
「あはははははっ!! ダンジョン、現れてくれてありがとう......とても楽しいよ!!」
随分と人外染みてきているけど、のうのうとただ生きていたあの時とは比べ物にならないくらい楽しい。楽しく生きて行けるならば人間なんて枠に収まらなくたって全然いいや。
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吉持ㅤ匠
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Lv:83→86
HP:100%
MP:100%
物攻:150
物防:1
魔攻:70
魔防:1
敏捷:150
幸運:10
残SP:8→14
魔法適性:炎
スキル:
ステータスチェック
血液貯蓄ㅤ残291.0L
不死血鳥
部分魔化
血流操作
簡易鑑定
状態異常耐性Lv8
拳闘Lv8
鈍器(統)Lv2
棒術Lv5
小剣術Lv4
空間把握Lv10
投擲Lv7
歩法Lv6
強呪耐性
病気耐性Lv4
解体・解剖
回避Lv5
溶解耐性Lv2
洗濯Lv1
■■■■■■
装備:
魔鉄の金砕棒
悪魔骨のヌンチャク
肉食ナイフ
貫通寸鉄
鬼蜘蛛糸の耐刃シャツ
快適なパンツ
再生獣革のブーツ
魔鉱のブレスレット
剛腕鬼の金棒
圧縮鋼の短槍
丈夫なリュック
厚手の肩掛け鞄
微速のベルト
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