異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
48 / 183

蓄積した恨み

しおりを挟む
 昨日は自分へのご褒美を満喫した。とても充実した時間だったと思う。


 しかし、二周はやりすぎたかもしれない。

 甘いものを定期的に大量摂取していたあの頃と同じで考えていたけど、体の慣れを意識していなかった。


 動きたくない。

 胸焼けしている......昨日は甘いもの以外に何も食わないでダラけた後に寝た。


 本日襲ってきているこの胸のモヤモヤは、仕方ないので甘んじて受け入れよう。

 甘いものや油っこいものを暴食した後に来る懺悔タイムだからね。
 全国のダイエットに励んでいる方々やアスリートの皆様、甘いものを制限されている皆様......スイーツを暴食してしまい申し訳ございません。

 これで懺悔は終わった......さぁ、早くこのモヤモヤを解除しておくれ。



 もう一泊しちゃおうかな......ゾンビや汚いモンスターが居たって事以外、ここかなり快適なんだよね。動きたくないんだもん。

 武家屋敷タイプだったら、ここに永住を考えたのに......洋館にしやがってあの蠅野郎。


 ウチの子たちは畳の匂いと感触がお気に召したらしく、ぐでーっとなっている。

 ふふふ......なかなかわかっていらっしゃる。畳は肌に跡がつくのだけが問題だけど、居心地面では抜群にいいからね。


 眺めながら悦に浸ってると呼ばれた。なんかピノちゃんが俺を呼んでいる。

 どうしたんだろう。主張控えめだから呼ばれる事なんて少ないのに。



 ......アレ?ほんの少し大きくなってる?

 そして何かお口に咥えてる。



 あげる!と、手に乗せられたのはピノちゃんの脱皮した皮だった。蛇の皮でピノちゃんくらいの大きさだったから、きっとその考えで合ってると思う。


 何これ嬉しい......プレゼントをもらってしまった。蛇の脱皮した皮って縁起物だよね?白蛇なので、更に倍率アップ。


 うん、これは大切にしなきゃな。


 ▼妖魔白蛇の抜け殻
 一部では神の遣いとも称される白蛇の中でも特に希少な特殊個体の抜け殻
 安全な環境で魔力も充実している状態での脱皮なので、完全な状態の抜け殻であり希少度は計り知れない
 所持していると【幸運】【再生力UP】【治癒力UP】が付与される▼


 脱皮したてで柔らかい肌を優しく撫でてから、ご飯をあげた。

 鑑定結果を見るに、俺はとんでもない物をもらったらしい。立派な箱を幾つも作って保管しよう。



 お嬢様はヘソ天でぐっすりである。素晴らしい光景なので、バッチリ成長記録と言う名の盗撮を行った。

 動物の完全に油断してる姿って素晴らしい。もっといろんな姿を俺に魅せてくれ!!





 朝からいっぱい良い事があったなぁ......幸せだわ。やっぱり持ち家が欲しい。


 頑張るぞーと意気込む俺。
 朝飯はちゃんと食わないとダメだなと思い直し、目玉焼きトーストとコーヒーを胃に流し込んだ。


 ちゃんと飯を食べて少しサッパリしたけど、まだ胸がモヤモヤする。まだ懺悔が足りないと申すのですか!?


 起きてきたお嬢様をもふもふし、もう一泊するか、それとも先へ進むか......どうしようかを二人に聞いてみる。


 ちょっと成長したピノちゃんにびっくりしてるお嬢様は、お外に出たいと。

 ピノちゃんもお外まだ見たことないので、お外出たい!と元気よく言われた。



 よっしゃ。そういうことならさっさ終わらせてお外に出ちゃいましょうか!

 あんこがご飯食べてる間に、俺は準備をしっかりとしておく。


 食後の休憩はいらないとお嬢様に言われたので、ピノちゃんを俺の肩の上に乗せ、あんこを抱っこし出発。


 どうやらモンスターのリスポーンはしてないみたいなので、昨日のボス部屋までヌルッと到着できたのでそのまま階段を降りる。



 感慨に耽けるなど全くせずに、100階層へ歩みを進める。



 多分だけど最終階層なので、なんかあるのかと思っていたけど、予想通り、階段を降りてすぐの場所にデカい扉があった。



 前回の反省を活かして、扉を引いてみたけど......開かず。


 今度は押す扉だった。ほんと嫌がらせの仕方が上手だなおい!最後の最後までほんとに!!


 出鼻をくじかれイライラしつつも、大人しく中に入る。そこにはボスらしき黒いモンスターが一匹。

 全身を覆う無駄に豪華な黒ローブに、赤黒い大鎌。そんな物騒なモノを装備した、かなり陰険そうなジジイ。ソイツがニヤニヤしながらふわふわ浮いていた。
ㅤとりあえず名前だけでも鑑定。



 ▼タナトス
 タナトスダンジョンの支配者▼


 おっ!これラスボスで確定やん!!

 これを倒せば帰れるな!!
 裏ボスとか、これより下の階層あったら大人しく帰ろう。

 さすがに何かしらの救済措置か、ワープポイントとかが出るだろうし......


 あんこを定位置に納めて、ピノちゃんを胸ポケットにイン。

 からの、居合い一閃。


 ジジイは油断していたので、その隙を突いて【空断】を飛ばした。

 避けようともしないジジイに無事直撃。



 油断してた?それとも反応出来なかったのか?


 あー、これで死ねば楽だったのに......チッ


 目の前に無傷のジジイが浮いていた。
 避ける必要なかっただけか......物理ダメージを無効化とはやってくれる。

 そうなると魔法で勝負しかないか......


 闇レーザーをぶっぱなしてみたがこれも効いてない。

 闇属性が効かないのか、魔法も効かないのか。




 お嬢様とピノちゃんにもぶっぱなしてもらったけど、さっきと同じく効いてないので魔法ダメージも無効化で確定ですかね......
 なんとなくだけど、あのローブが俺のスーツの色に似ている......

 何もしてこないでニヤニヤしてやがんのは、ガチで余裕ぶっこいてるだけですか。クソジジイめ!!

 試しに消滅できるかな?と、やってみた暗黒空間もダメ。



 えー......こんなんどう倒せと?

 どうしよっか?と訊ねてみようとしたところ、お嬢様とピノちゃんが魔法が効かなかった事にショックを受けておられた。





 ......あいつが反則なんだからしょげちゃダメだよ!

 糸で縛ってみよう。ダメなら別の案を......


 そう思っていたら糸では拘束する事ができた。だが、ヤツをそのまま切り刻もうと試すも切り刻めず......



 なので、体は糸で拘束して、アイツの魔法は掌握して無効化した。


 これでジジイの動きも封じれたし、お互い打つ手なしの状態に持ち込んだ。

 さて、時間ができたけど、このジジイをどうしましょうか。
 魔法ダメージ、物理ダメージ、熱も無効。
 変なスキルを使われる前に、ジジイを倒せる案を思い浮かべなくては。


 とりあえず骨喰さんの技を一通り試してみる......しかし全然効果はなし。

 次に、あんことピノちゃんで焦熱地獄と寒冷地獄をしてみるが......これも効果なし。


 反則じゃねぇかなぁコイツ......確か死を司る神だったっけ?タナトスって......




 お?効き目ありそうな道具に二つ程心当たりが。


 反転薬をヤツにぶっかければ、魔法と物理に激弱になりそうだけど、アレが反転したらやばい生物になりそうなので却下。
 どこまで反転するかによるけど、物理や魔法で即死なアンデッド幼女とかになったら目も当てられぬ......

 という事で、もう一つの心当たり......首枷を収納から取り出す。物理はダメージだけを無効にするので、これをジジイの首に嵌める事は可能だろう。


 ダメだった場合は仕方なく諦めて、反転する液体をぶっかければいいか......

 嵌めてみようと試みるが、首枷は普通に嵌った。ご愁傷さまです......これでただのジジイになったタナトスさん。


 あ、大鎌は危ないので没収させていただきますね。


 ▼囚人の首枷
 この枷に囚われた者は全ての能力が封印されて三歳児くらいの身体能力になる
 何をしようが外す事は不可能
 囚われた者が死んだ時に壊れて外れる▼


 三歳児くらいのジジイ。
 ねぇねぇ、自分のダンジョンのボスドロで追い込まれる気持ちはどうですか?

 牛と馬のドロップはとても優秀でした。あの時は、思いっきり文句言ってごめんなさい。


 じゃあとりあえず、一般人化のお祝いをしなきゃね。最初は激痛に悶えて貰いましょう。

 これまた牛と馬からドロップした槍を収納から取り出して、ジジイをチクチク刺していく。



 ジジイが叫び声をあげているが、そんなんは全く気にしないでチクチク刺していく。
 言葉はわからない。全く違う言語だし、俺の翻訳機能も作動しない。


 10チクに1回のペースで、深く突き刺してからグリグリしてあげる。捩れた槍だからグリグリされると不規則な刺激で痛いよね。

 
 このダンジョン攻略中、なんど精神がイカれると思ったか......フフフフフフフフ......

 そーれまだまだ続くよー!チクチクチクチク......

 グリグリグリグリ......チクチクチクチク......


 チクチクチクチクチク......グリグリチクチクチク......





 チクチクチクチクチクチク......あ、やべ。

 5分程チクチクを続けていたらジジイが虫の息になってきているので、高級なポーションを惜しげも無くジジイへぶっかけてからワンモアセッ!!
 まだ限界の向こう側見えてないでしょ!ほら続けるよ!




 ◇◇◇




 五セット程、チクチクグリグリのセットメニューを繰り返し、だいぶ溜飲が下がったのでトドメを刺そうと思う。


 ウチの子たちを少し離れた場所に置き、壁を作り保護。不満げにしているけど、危ないかもしれないから許しておくれ。


 糸でジジイを浮かして、そのまま空中に固定して準備完了。


 この前は細く作ったけど、今回はかめ〇め波くらいの太さでやろと思っている。


 俺は体の中のほぼ全ての魔力を使用して、太めの闇レーザーをジジイに向けてぶっぱなした.........





 黒い閃光が収まると、巨大な穴の空いたボス部屋だけが残っていた。


 威力やっば......

 この前やった時より、かなり魔力量増えてたんだろう。なんも考えずにマダ〇テするようなただの脳筋技が一番強いんだね......
 何はともあれやっとこれで......長かったぜ。



「おっしゃぁぁぁぁぁぁあ!!ダンジョンクリアじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 そう叫び、壁を解除した瞬間、キラキラした宝箱とクリスタルが3つ目の前に現れた。

 これが......このダンジョンの攻略報酬ですか......何を貰えたのかなー。

しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...