異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊

文字の大きさ
167 / 183

彫刻

しおりを挟む
 ツキミちゃんのべったり甘々に妬いたっぽいあんこが、寝る時に乱入してきて幸せな夜を過ごせた。これでもかってくらいにべったりだった。


 朝になっても未だにべったり張り付いて寝ていたな甘えんぼさんたちにほっこり。ラブい感情が抑えきれずにチュッチュしてから朝ごはんの用意......



 ......は多少遅れても問題ないとセルフジャッジし、起こさないよう気を付けながらモフる。寝ていても撫でられているのがわかるのか、顔が緩んでいるのがとても可愛らしい。

 そーらあんこちゃーんモフモフのお時間ですよーもふもふもふもふもふもふ......
 ツキミちゃんも一緒にもーふもふもふもふもふもふ......



 ◇◇◇



 ......まぁアレだね。ほんの少しだけやりすぎてしまったかもしれない。
 朝の濃厚な絡みの最中に一度目が覚めたあんことツキミちゃんだったが、今は再び眠りについてしまっている。

 仕方ないよね。

 寝ているのに撫でれば撫でるほど嬉しそうにしてくれるんだもの。そりゃ撫でる手が止まることを拒否しますよ。
 あんことツキミちゃんの目が覚め、寝起きなのにテンションMAXでじゃれてきたらもう......我慢なんてできるはずがない。少なくとも、俺はそんな自制心は持ち合わせていないのだ!!


 はい、今は落ち着いたのでしっかり寝かせてあります。寝顔めっちゃ可愛いわぁ......朝から疲れさせちゃってごめんね。幸せだったよ。

 朝ごはんを準備し、今日も先に食べて行動を開始。


 先ずはアレだね。昨日スルーしてしまったワラビの確認。


「おはよー。今日も寒い中、牛共のお世話ありがとね」

 早起きして色々やってくれているお二人さんに挨拶。
 いつものように敬礼するヘカトンくんと、最近覚えたお辞儀をするワラビ。

「おーおー......立派になったね......脚や角が。ちょっと鑑定させてねー」

 太さが増し、イカつく、そして黒光りするようになった角。
 コウモリっぽさが薄れ、悪魔っぽさとトカゲっぽさが合わさった羽。
 昨日はスルーしてしまったけど、何故か二本増えている脚に、スパイクのようなものが増えた蹄。
 精悍な顔付きにフワフワそうなシカ毛......全体的にカッコいい雰囲気になったはずなのに、そのバランスをぶち壊すピュアッピュアなおめめ。

 ......なーんでお前はそんなに目だけ純粋なのよぉ。どうせならシ〇神さまみたいな目でもよかったやろがい。

 あっと......なんか静止してくれているから、早いとこ鑑定しないと。

 ▼ワラビ

 馬型合成雷獣ㅤ73歳ㅤ

 レベル84ㅤ魔力99,879,520/99,879,520

 スキル:【溶解液生成】【雷魔法】【帯電】【消化吸収】【変質】


 特殊進化を果たしたキメラ
 未だ最終形態ではなく、これからどのような進化を遂げるのか未知数
 食べた生き物の特徴を取り込めるが、適応していない生物の特徴は取り込めない
 この個体は馬の部分以外食すのには向かないが、馬の部分の肉はとても美味▼

 魔力の部分に数字がある事に何故か感動。そして、まさかの一番の年長者でした。

 なんで魔力が表示されているんだろう......



 ......あ、なるほど。仲間にはしていたけど、まだテイムしていなかったからか。

 なんとなく面白そうだから最終形態になるまでは、このまま劇物を食わせ続けていこう。テイムもそれまでは見送り。決して私怨とかじゃないよ。ほんとほんと。
 だって俺と繋がると世の理から外れてしまって、最終形態になる前に生物として終わりそうじゃん?
 どうせなら最終形態になるのを見たくなるのが男の子だと思うの。

 漢のロマンシリーズだ。漢の漢のロッマッンッ!!


 ゴホンッ......まぁそれはさておき、この子......やばくね?
 飛べて溶かせて走れて、更には雷撃もぶち込める。体は色々と食べていればいつの間にか超強化されている。RPGのラスボスクラスのキメラでしょう。
 魔力の初期値は見てなかったからわからないけど、もうすぐ大台に乗る事から順調に育っているのはわかった。
 その調子で頑張ってくれたまえ。ただし、うちのお嬢様の寵愛を独占するのは許さないからな!!


 おやつをあげてから別れた俺は、昨日途中で放棄してしまっていたオブジェの制作を再開させる為に温泉へと来ていた。

 なんとか今日中に完成させてこの血の池温泉を形にしたいと思っている。

 さぁレッツ彫刻。



 ◇◇◇



 昨日作ったリアルなヤツから少しずつリアルさを減らしたのを作っていき、最終形態はデフォルメされた姿になった。

 どう足掻こうが愛らしさが表現できずに心が折れた結果だ。
 どうしてもオカモチから出てきたオブジェのクオリティを基準にしてしまうので、リアルさを含んでいたら勝ち目は無い。アレは本当にずるい。
 俺の願望から生まれた物だから仕方ないけど、真の芸術品の前では全てが霞んでしまうものなのだと痛感した......


 とまぁ言い訳はさておき、あのオブジェと見比べられないように可愛さに特化したデフォルメで落ち着いた訳です。

 うん、素晴らしい。愛らしさと可愛さは完璧に表現出来ている。多分。

 コタツから緩んだ顔を出し、口から血の滝を吐き出すダイフクオブジェ。
 右側の羽根を突き出してバキューンてしているポーズのツキミちゃんオブジェ。お湯は羽根の先から吹き出す仕組みになっている。

 どちらもお湯を出さなきゃイケないのでサイズは大きい......いつかはこのサイズでリアルそっくりな可愛らしいのを作りたいものである。


 今日の入浴タイムでお披露目するから布を被せておこう。今回はいいリアクションを取ってくれたらいいなぁ。

 日暮れまでまだ時間はある。練習を兼ねて皆のデフォルメチビフィギュアでも作ってあげよう。


 いや、やめよう。ヘカトンくんを今から作ったら日が暮れても終わらない。
 うん、今度いつかきっと作ろう。

 この際だからこの温泉をもう少し温泉っぽく改造しようか。
 ......ふむ。今一番必要なのは砂利と道とカポーンとするアレだな。名前なんだっけ? 


 はい、それではこれから岩の道作りと玉砂利を撒いて行こうと思います。こういう時に使用する玉砂利は白い石が定番だよね。

 見分けやすくする為に道にするのは黒い岩。ソレをスライスして地面に等間隔で埋めていく。これだけの事でなんとなく和風になる不思議。
 後は温泉の敷地内いっぱいに玉砂利を敷き詰めるだけの簡単なお仕事。

 面倒な単純作業の繰り返しだけど、頑張って玉砂利をばら撒き続けた。ちょー頑張った。
 腰がブロークンしそうだったけど、強化されているマイボディのおかげでどうにか無事に仕事を終える事ができた。

 うん......いいね。だいぶ温泉地っぽくなった。やったぜ!
 カポーンてするヤツはまたの機会に。



 ◇◇◇



 腰をトントンしながらお家に戻る。お家の扉を開けると、昨日からずっと甘々モードなあんことツキミちゃんの熱烈なお出迎えがあった。

 これだけでパパはこれからもお仕事を頑張れそうでしゅ。もっとギュッてしてほしいねん。もっと癒して!!


 うっ......ふぅ............気持ちよかったァ......

「はい、ただいまー。ご飯にする?  お風呂にする?  それともわ・た・し?」

『『『ご飯』』』
『お風呂』

「......かーらーのー?」

『『『『..................(ジィィィィィィィ)』』』』

「アッハイ。すぐ準備するから待っててね」

 無言の圧力って怖いよね。傍から見ると小動物にガン見されているだけなのに、当事者はほっこりできないのは何でだろう。

 夕飯を食べた後は皆で血の池温泉。毎日温泉に浸かれるって贅沢すぎるわぁ......

 玉砂利を敷き詰めて雰囲気の変わった道でテンションの上がった天使たち。そのままの流れで俺が頑張って作ったお湯を出すオブジェの除幕式を行った。

 口から血を吐き出すダイフクオブジェと、羽根から血液を飛ばすツキミちゃんオブジェ。

 ダイフクオブジェは......まぁ酷い絵面だったけど、不具合は起きてないので概ね成功と言えるだろう。
 オブジェを見たツキミちゃんは喜び、ダイフクは不満そうにしていた。

 あんことピノちゃんは今度自分たちの分も作ってとおねだりし、ヘカトンくんとワラビは無言で見つめてくる。

「......わかった。明日、明日やるから。そんな目で見ないでください」

 またもや圧力に負けた俺は、翌日......一体一体心を込めてフィギュアを作らせてもらった。

 可愛いポーズや決めポーズを取るウチの子たちに癒されたのは言うまでもないが、ヘカトンくんの顔が一つ一つ微妙に違い、それだけが露骨に難易度が高くて疲れました。
しおりを挟む
感想 60

あなたにおすすめの小説

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...