ぎゅっ。

桜花(sakura)

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真面目だけど、お茶目な彼女……

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「私弱い人間なんです。自分が傷つくのかこわくて。耳のせいにして逃げて。聞き取れない事が増えて。流行り病が流行ってから。皆さん、マスクをしてるから表情や口元の唇の動きを読みにくくなって」  

「マメちゃん……」  

「いえ、言い訳ですね。きちんと、相手に『耳が聞こえにくいから、補聴器をしています。何回も聞き返すかもしれません』とか。要件を紙に書いて伝える。とかの努力もしないで。下を向いて話かけられないようにしたりとか、失礼なこと」   

  拓眞は、なんて言って上げればよいか分からなくて、心が、ぎゅっ。ってした。  

「私、介護ヘルパーを。週4日。デイサービスで働いているんです。お年寄りのなかにはソーシャルディスタンスがあまり理解出来てない方もいて。必然的に耳に口元を近くに寄せるから、コミュニケーションが取りやすいんです」  


「そっか……」  

「逃げちゃいけないですね。あ、訪問介護も週1でしていて。昨日はお客様の買い物サービスのためにスーパーに行ってたんですけど。初めてのスーパーで戸惑ってしまって。私が店員さんに事情を話して、マスクを外して頂いて。私がしっかりマスクをていたら、飛沫も大丈夫だから、色々分からない事も聞けて……」   

それまでしっかりと、自分の目を見つめて 話しをしてくれていたマミが。急に黙りこくっちゃったのが、拓眞は心配で。  

「マメちゃん。一方的にマメちゃんが頑張っても、相手にも協力してもらわなきゃ成立しないこと……だね」   

  説明したり、もったり 。きっと。一刻も争う接客業のスーパーなどでは、中々難しい、って事に。  

(気づいちゃったんだろうね) 

  拓眞は、マミが黙りこくってしまった理由に。   今日だけで。もう、何度目だろう?

    ぎゅっ。て、心が痛くなってしまって。  

「そうですね……」  



  悲しげに呟いたマミ。


  「諦めちゃダメだよ。マメちゃん 。双方が歩み寄る方法考えるんだ。透明マスクの必要性をまずは訴えるところから。かな? マジで今まで『恥ずかしい』とかいう理由で透明マスクを使ってこなかったのが……本当、俺。自分で自分が嫌になる……」 

   「出塚さん。 真剣に私の側の立場に立って考えてくださったことが。私嬉しくて。そんなに気に病まないでくださいね?」   

  そう言って微笑んだ 彼女。  

(泣き顔より、笑顔の方がいいよね)  


 本当、ずっと笑っていてもらいたいよ。

   今まで。流行り病の中で。図書館の司書という仕事をしながら、真剣にお客様の事情を考える事なく来た事を、 激しく後悔した拓眞。   

  流行り病の中で。健やかな人と助けを必要とする人が。共に、本当の意味で手を取り合っていく生きていくためには……   何をどう変えていけばいいか。  

(真剣に考えなきゃ……)   

  拓眞は、真剣な顔で……  


「マメちゃん、さっき出塚って噛まなかったね」   

  考えなきゃ。と。思うそばから、ツイからかっゃう自分に。   

  ちょっとムッとした表情をしたマミ。  

(俺ってバカって)    

  謝ろうと。口を開こうとした瞬間 。 

 「出塚さんは、噛んでますね? マメではなく。マミです私!」   

  にっこりと微笑みながら、返してくれたマミ。  (可愛すぎだし)   

  真面目なところと、お茶目なところもあるマミに、拓眞は……  

 心惹かれていくのを感じてた……
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